テラーノベル
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「お疲れ様でした」「お先に失礼します」
一人、また一人と社員が去り、フロアの明かりが半分に落ちる。
静まり返ったオフィスに響くのは、空調の低い唸りと、私の心臓の音だけ。
「……舞さん、そんなに固くならないでください。仕事、終わりませんよ?」
向かいのデスクから、黒瀬くんが楽しげに声をかけてくる。
彼は緩めたネクタイを指で弄びながら、いつの間にか私の隣へと椅子を滑らせてきた。
「……黒瀬くん、やっぱり帰った方がいいんじゃ……?」
「ダメですよ。僕が舞さんに教わりたいって言ったんですから」
そう言って私のマウスを握る手に、彼の手が重なる。
昼間の給湯室での熱が、一気に蘇って指先が震えた。
彼は私の反応を楽しむように、わざとゆっくりと、私の指の隙間に自分の指を滑り込ませた。
「……っ、ん……。黒瀬、くん……」
「ここ、誰もいませんよ。警備員さんが回ってくるまで、あと一時間はあります」
彼は私の椅子をくるりと回転させ、自分の方を向かせた。
デスクの上に両手をつき、私を閉じ込める。
その瞳は、昼間の「わんこ」のような可愛らしさは微塵もなく
獲物をどこから食べようかと吟味する肉食獣のそれだった。
「……舞さん。昼間の続き、まだ終わってませんよね?」
「……っ!」
彼は私の膝を割り込み、強引に距離を詰めると、机の上に散らばった資料を乱暴に払いのけた。
紙が舞い落ちる音と一緒に、私の体がデスクの上に押し倒される。
「ちょ、ちょっと…!黒瀬くん、机の上なんて……っ」
「いいじゃないですか。舞さんが僕のこと、放っておいて小笠原さんと仲良くするからですよ」
彼は私のスカートの裾に手をかけながら、首筋の痕をなぞるように深く吸い付いた。
昼間よりもずっと深く、ずっと執拗に。
ひんやりとしたデスクの感触と、彼の熱い体温。
その刺激が、私の理性をさらにかき乱していく。
「……それより、先輩。いい加減名前で呼んでくれません…?」
彼の指先が、私のブラウスのボタンを容赦なく弾いていく。
露わになった肌に、オフィスの冷たい空気が触れる。
でも、すぐに彼の熱い唇がそこを埋め、私は快感にのけ反った。
「…えっ」
「ほら、はやく」
「んあっ…!…や、やめっ…蓮、くん……っ」
「……もっと、僕の名前呼んでください。舞さん」
潤んだ瞳で私を見つめ、彼は極上の笑顔を浮かべた。
その純情そうな顔の裏で、私を壊そうとする激しい情欲を剥き出しにしながら。
深夜のオフィス。
誰にも見られないはずの場所で
私は教育係であることを完全に忘れ、後輩の甘い牙にその身を捧げていた──。