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撮影は順調に進み、シンプル4のみんなは一旦休憩に入った。
その間、私達は次の準備を始めた。
『恭香先輩。さっき亮くんと話してましたよね?』
梨花ちゃんが話しかけてきた。
『亮くんがみんなを褒めてくれたんだよ』
『どうしてみんな恭香先輩なんですか?密着カメラが入ってるのに、普通、恭香先輩じゃなくて菜々子先輩か私でしょ?』
それはこっちが聞きたいよ。
梨花ちゃんは、自分に自信があるんだ…
『私って…美人でもないし、可愛くもないから、たぶん逆に話しかけやすいんだと思うよ。美人には声かけづらいとか…あるじゃない』
とっさに出た言葉。
だけど…本当にそうかもね。
たぶん話しかけやすいんだよね…
昔からよく『優しい』って言われてきたから。
そう言われるのは嬉しかったけど…
美人でもなく、可愛くもない私って…
そりゃ…やっぱり…
もうちょっと美人にとか、もうちょっと可愛くとか…そんな風に生まれたかったよ。
欲を言えばね。
一応、私も女性だし。
でもそんなこと、今さら言ってもどうにもならない。
整形する勇気もないし、そういうの怖いし。
結局、私は一生この顔と付き合って行くんだ…
朋也さんは、自信持っていい…って言ってくれたけど、梨花ちゃんみたいには…
『美人には声かけにくいって、まあそれも一理ありますけど~だけど、恭香先輩ばっかり、亮くんや一弥先輩と話してズルいです~』
ため息が出る。
その時、密着番組のディレクターが私に話し掛けてきた。
『お仕事中すみません。実はお願いがありまして。シンプル4の密着番組で、先ほどのあなたと亮くんのやり取りの映像を使わせて頂きたいんですが…』
まさか、さっきの場面をテレビで流すの?
嫌だよ、私は素人なんだよ…
『亮くんが、あなたのことを笑顔がとても素敵なコピーライターさんとして紹介して欲しいそうです。ぜひ、お願いします』
まごまごしてると、
『いいじゃないか、森咲。シンプル4の密着番組ならすごい視聴率がある。そこで紹介されたらお前の仕事につながる。お菓子の宣伝にもなるし、会社も有難い』
朋也さんが言った。
経営者目線の的確なアドバイスだ。
お菓子の宣伝になるのは有難いけど…
『でも、やっぱり恥ずかしいです。すみません』
私が頭を下げたら、一弥先輩が言った。
『恥ずかしがることないよ。恭香ちゃんならテレビ画面を通しても可愛く映るし、笑顔が素敵なコピーライターなんて最高だよ。絶対に出るべきだよ』
『一弥先輩…』
一弥先輩が可愛く映るって…言ってくれた。
お世辞…だよね、可愛いなんてね。
ふと横を見ると、菜々子先輩と梨花ちゃんはあんまり笑ってない…
そうだよね、私なんか…