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____翌朝。
「ん”っ…んんんー….っるせェ!!!」
アラームを止めるのはこれで3度目。
(そろそろ起きるか…..ってあれ、俺こんなアラーム使ってたか?)
恐る恐る辺りを見回すと、見知らぬ景色が広がっていた。
「っはァ!?ここ…え?待って待って、どうなってんだ、俺昨日任務に出てそれで….」
事態が掴めず混乱していると、今着ている服も自分のものでないことに気づく。
(でっっか….これ男物だよな?)
「う”ーーん…まこと…うるさい」
と俺の横で寝ている弦が言う。
「は?!弦お前なんでここに…あれ?てことはここもしかして弦の家?は?もうどういうこと?!」
2度寝しようとする弦を叩きながら言うと、弦は顔を顰めて俺を腕の中に引き寄せる。
「まこと…ちょっと静かにして….」
「んむ”..静かにできるわけねェだろ!!!!起きろー!!!」
寝ぼけている弦を突き飛ばす。
「痛……あ、真起きたの….おはよ」
「おはよ…ってそうじゃなくて!!!なんで俺がお前の服きてお前の部屋で寝てたンか説明しろ!!」
あぁ…と呆れた顔で弦が説明する。
「昨日…任務が終わっても真が泣き止まなくて…落ち着けるように撫でてたら真寝ちゃって….抱えたはいいけど真の家知らないし…置いていく訳にもいかないから俺の家に連れて来た….雨野さんの水で制服もびしょびしょだったしそのまま寝たら風邪ひくと思って服替えた….」
「ちょっっっと待て」
「?」
「え?つまり何?ギャンギャン泣いた挙句道端で寝落ちした俺に服貸してくれた上ベッドで寝せてくれてたってこと?」
「….まぁ……俺の服着て欲しかったし…一緒に寝たかったし…」
「え?俺そこまでしてもらっといてお前のこと突き飛ばしたの?え?なんでお前に正座させてんの?ちょ….は?」
最低な事実を確認した俺は光の速さでベッドから降り目の前にいる聖人君子に土下座した。
「ほんっっっっとうにすみませんでした!!!!ま、まじでありがとう….突き飛ばしてごめん..」
一息に謝罪し、恐る恐る顔を上げると、眉を八の字にして可笑しそうに笑う弦の姿があった。
「ふっ…ふふ….そんな謝んなくても…ふふっ…変なとこで真面目だなっ….」
「わ、笑うなよ〜….こっちは真剣なんだぞ」
と言いつつ、微塵も怒ってなさそうな様子に安心する。
「ッつーか…まだ4時じゃねぇか…..学校9時からだぞ….」
「あれ…ごめん、6時に設定してたはずなんだけど…このアラーム壊れてて」
「買い換えろよッ」
何のために血盟から莫大な給料貰ってんだ、と思わず突っ込んでしまった。….そう、血盟は”警察のようなもの”であるが警察ではない。つまり公務員にならないので、仕事も不定期だし給料も高校生にはとてもじゃないが不相応な額なのだ。
「目….覚めちゃったな…」
「あ”ー…お礼になるかはわかんねェけど..朝飯作ろうか?」
「えっいいの?ていうか真…作れるの?」
「ふっふっふ、人を見た目で判断しちゃならんよ弓矢君。料理だけは任せなさいよ!」
「…やった、真の手作りだ」
弦が嬉しそうに微笑む。
(…ほんとこいつ、最近よく笑うなぁ…)
「…お前教室でもその感じでいた方がいんじゃね?」
「….?」
「あー!いいやいいや、キッチン案内してくれよ!」
「うん」
大理石で出来た螺旋階段を下ると、使用感が全くないキッチンに着いた。
「なんか….めちゃくちゃデケェ家だなとは思ってたけど….でかい上に物がすくねぇから使えるスペース広くていいな!!」
「…まぁ..普段食べないし….」
「え?食べないって…飯を?」
「うーん…..栄養補給飲料水とinゼリーだけ..」
(は?こいつそれでこのガタイと背?キレそう…っつーかそれより)
「いやお前体壊すだろ!!!!え、何お前一人暮らし?!このデケェ家に?!」
「うん….とにかく親元を離れたくて….家賃は給料貯めてあるから問題ないし….」
…何か事情があるんだろう。俺がむやみに触れていいものでもなさそうだし、話題を変えよう。
「ふーん….でもまじで3食ちゃんと食えよ、、っあ!俺持ってくるよ、家で作ったのとかめちゃくちゃ余らせちまうし」
我ながら名案だと思った。傷を増やして戦う弦には癒す体力も必要だし、こいつは普段から頭使って動くから余計しっかり食べた方がいい。
「え….でも悪いよ…」
「ばーか、食べてくれた方が俺も助かるから」
「..ありがとう…」
嫌がっている感じではなくて一安心。
「あ!つーかエプロンある?飛ばしたら悪ぃし貸してくれたら嬉しい」
「あぁ、あるよ」
はい、と渡されたエプロンはいかにも弦のという感じの、黒単色でシンプルなものだった。
「…似合うね、エプロン」
「んー?だろっ!何食いたい?」
「真の得意なやつ」
「何でも得意だぜ〜?んー…何にしよっかなぁ」
スタミナがつくものの方がいいだろうか、でも朝だからあまりガッツリしてない方が…と鼻歌混じりに考えていた時だった。
「….真」
「ん?」
顔を上げると、弦の唇と俺の唇が重なったのを感じた。
「……は?」
「………..あっ」
今起きたことを理解はしているが頭が追いつかない。
(は?今…は?キス?なんで?弦が俺に?は?)
「え、ちょ、は?」
「……ちょっと、走ってくる..ご飯やっぱりいいや…ごめん….」
心ここに在らずという顔でそう言って弦はフラフラと家を出ていった。
(いや、、はぁぁあ?!何ッか説明くらいしろや!!!意味わかんねぇ….犬の甘噛みと同じ感じ….っつーのは無理があんな…)
とりあえず面倒見てもらっておいて何も返さないというのは後味が悪いので、オムライスをつくりラップをしておいて置いた。
服は後日洗って返したいので着たまま家を出た。
その間、俺はもぬけの殻状態だったと思う。