「これはなかなか美味しいのだ」
亜里砂さんは2個目に突入。
「確かに美味しいです。電子レンジでこんな簡単に食べられるのですね」
美洋さんも2個目。
「そう、中だけにしてしまえばこれはとっても美味しいんです。中身だけなら冷凍でかなり長い事保たせることも出来ますしね。そんな訳で明日はこれを剥いて各自持ち帰って、冷凍庫で冷凍保存するところまでをやりますよ」
「ただ1日に食べていいのは7個以下にした方がいいそうだ。弱いけれど神経毒があるらしいからさ」
神経毒!
そんな恐ろしい毒が入っているのか。
「食べ過ぎるとどうなるのだ?」
「神経毒としてはけいれん症状を起こすみたいですね。あとはアレルギー症状とか、腹痛とか」
「何か怖い食べ物ですね」
彩香さんが、次を食べようと出した手を引っ込めた。
「実際はそこまで恐れることもないのですけれどね。体質などで症状が出やすい人もいるので、念の為にという事です。7個というのはよっぽどのことが無い限り、6歳以上の子供でも大丈夫だろうという値です。だから余り心配はしなくて大丈夫ですよ、食べ過ぎなければ」
彩香さん、ちょっと安心した様子で次の銀杏に手を出す。
そして。
「そんな訳で銀杏講座は明日まで。あとは各自勝手に取ってきて処理すればいい。寮でやると色々言われそうなら、この部屋で処理すればいいしさ。
何なら放課後自転車で走り回って探してもいい。ただ効率が良いのは早朝だけれどな。拾っている人も多いし、掃除で結構なくなるしで」
「了解なのだ。まずは学校の門の前のイチョウ2本からスタートなのだ」
先輩がそこでにやりとする。
「あそこは難しいぞ。家庭科の七橋先生が常に目を光らせているからさ。七橋先生は大体6時過ぎにはあそこに来て落ちているのを全部確認している。狙うなら別の場所だな」
七橋先生、流石というか……
「あとは今週末の合宿だな。2泊3日ドングリ拾いと処理のハイキング」
「どんな感じでやるのですか」
「最初は学校近くの山を回ってスダジイを採取、その後楠木山のハイキングコースに行ってマテバシイを採取かな。途中移動は先生の車にお願いするけれど、それでもコースタイムが休憩含めて半日の結構ハードな日程だ。ただ山を下りればすぐ先生の家だからさ、その辺は大分楽だけれど。
昼飯はこっちで用意する。だから行動水1.5リットルから2リットルを用意してくれればいい。あとは歩きやすい靴だな。雨具は先生から借りればいいし、ザックは普通に使っているディパックでいい。悠はいいのを買ったみたいだけれどさ」
バレたか。
50リットルというちょっと大きめのザックを、実家に帰った時に購入したのだ。
家的なスポーツ専門店で安かったのと、親にハイキングをすると言ったら買ってもいいと言って貰えたのとで。
既に亜里砂さん家までの夜のハイキングで使用して、荷物の入れやすさと容量の大きさは確認済み。
しかも安いディパックと比べて、背負い心地が遙かにいい。






