ストーカー 第1話
「アローナ、アリーナ、さようなら。育ててあげられなくて…ごめんね。」
「今日も平和だな。」
僕の名前はビター・アルカラム。僕は今殺し屋を辞め、姉のショコラとカフェを営んでいる。
「ビター、今日はお客さんが少ないし、少し散歩に行ってきたら?」
「それならショコラが行ってきなよ。僕はカフェに居たいし」
そう姉のショコラと話していると、慌てふためく女性の声が外から聞こえた。
「助けて!助けてぇ!!」
「どうしたの、貴方。」
ショコラが慌てている一人の女性に声を掛ける。
「アローナが!アローナが…!!」
女性は泣き出した。
「落ち着いたかしら?」
「…はい、すみません。私はアリーナ。そちらの方は探偵さんなんですよね?」
「僕名探偵」
「調子に乗るんじゃないわよ」
「だったら、姉を…姉のアローナを救って下さい!アローナは…ストーカー被害に遭っているんです」
「詳細希望」
「はい、アローナは私の双子の姉です。私達は孤児で、親が居ないんです。それで大人になってから施設を出てお互いに一人暮らしをしていたんです。だけど…」
「だけど?」
「2ヶ月前からアローナと連絡が取れなくて、家に訪ねたら、彼氏の家に泊まるって置き手紙があったんです。でも、さっき姉の家に行って掃除をしていたら、日記が出てきて…そこにはストーカー被害に遭っていることが書いてありました。」
「2ヶ月前…」
「流石に2ヶ月も連絡が取れないなら怪しむものじゃないの?」
「そうなんですよ。おかしいんですよ。だから今日姉の家を掃除しに行ったんです。探偵さん、ビターさんについても調べていたのでそろそろ依頼しようと思っていて。」
「オーキードーキー。依頼確認。調査開始。」
「!よろしくお願いします!!」
「こんなに早く見つかるなんて思わなかった。」
ここは犯人の家。あの事件を調べてすぐ、犯人の家を特定できてしまった。僕は”能力”を使い、中に入る。
「ふっ、あっはははははは、、あ、あ〜」
僕は、入った瞬間すごく驚いた。中にはたくさんの女性がいて、狂ったような声を出していた。
「あーあー!あっははははは!あ”ぁはははは!!」
「うひっあ、あぅっふふふるふふあひ、、っ」
こんな光景だなんて。辺りを見渡していると、依頼人にそっくりの女性を見つけた。
「あ”…っ、ぅぅぅ、」
彼女は普通の意識があるらしく、泣いていた。僕は直ぐに彼女に触れた。
「ひっ、、」
僕は透明化を外した。そして、
「もう大丈夫。」
僕はアローナを抱えて走り出した。もう一度透明化し、犯人の家から逃げ出した。
「ふう、警察に通報しないとね。」
僕はカフェに戻り、警察に匿名で通報した。アローナに温かいホットミルクを渡し、毛布で包ませて依頼人のアリーナに電話をかけた。
「アローナ!!アローナなのね!!よかった、よかったあああ!!!」
アリーナは泣きながらアローナに抱きついた。
「あ、あぁ…。アリー…ナ?」
「ううぅぅ!!」
「ビターさん、改めてこんにちは!」
「ビターさん、ショコラさん、お久しぶりです!」
僕とショコラが談笑していると、アローナとアリーナが入ってくる。
「久しぶり。もう大丈夫なの?」
ショコラが真っ直ぐアローナを見つめてそう聞く。
「大丈夫です!もう元気ですよ〜?w」
「姉は、ショコラさんとビターさんに温めてもらった後は病院へ自力で行ったんです。大したものですよねw」
「よかったわね」
「よかったよかっt」
「「「「「こんにちはー」」」」」
「「?!」」
はあ、忙しくなりそうだ。
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