夏、其れもかなり暑い日。
「君、高専来ない?」
白髪の高身長の男。年は恐らく自分より十二歳くらい上であろうか。
「…高専?」
「そ、呪術高専」
呪術高専、と言われて、あぁ、と納得した。
呪術師を育てる為の学校である其処。
其処には寮もあると聞いた。…行くか
「…分かった、行くよ」
「というかその包帯何?」
「この包帯は僕の体の一部だよ」
「ウケる」
「___という事で、転校生でーっす!」
ハイテンションの大人ってキモイな…と感じた今日この頃。
気弱そうな黒髪の男の子、気が強そうな緑髪の眼鏡を掛けた女の子、白髪の口元を隠した子、パンダ。
パンダ?上野動物園から脱走してきたの?
それよりもシーンとしたこの空気何とかしてよ。の感情を込めて男___五条悟を睨む。
「悟、其奴どうしたんだ?」
「スカウトしてきた」
「で、着いてきたのか?」
「うん」
五条悟が答えたので、僕も答える。パンダと緑髪の子が喋った。
「転校生来たんだよ?もっとこうさ…テンション上がるものじゃないの!?」
「包帯まみれすぎて逆に怖ぇよ」
「ちなみにこの包帯僕の体の一部だから」
「は?」
シンプルに引かれた。酷い。
ほら、あれだよ。眼鏡キャラで眼鏡が本体みたいな。まあ包帯が本体なんて事は無いけど体の一部だよ。
なんて声にも出さず頭の中で弁解していると、五条悟が僕に自己紹介して、と振ってきた。
「…太宰治。好きな物は蟹で、嫌いな物は犬。術式は呪力無効化。あ、後領域展開も使えるよ。よろしく」
場がザワつく。何か可笑しい事言ったかな。
「領域展開!?んな高校生いるかよ!?」
「此処にいるじゃない」
「普通居ないでしょ!」
「でも使えちゃうし」
「高菜!」
「…それは何言ってるの?」
白髪の子が喋ったと思ったらどうやら語彙がおにぎりの具みたいです。呪言師って言われて納得した。僕の父さん呪言師だし苦労はよく分かるよ。
それとパンダは本当になんなの?どっから拾ったの?喋るの?なんで??
「まあ、今日からこの子入るから!よろしく!」
という事でその場は一旦落ち着いた?のかな。
一限目は体育らしい。いやだ。
「じゃあペア組んでー」
それで僕は緑髪の子と組む事になった。他の三人は三人で組むらしい。
というかこの子絶対運動神経いいじゃん。なんで僕がこの子相手なの?
「行くぞ。加減はしねえからな」
「期待はしないでよ?」
すると背後を取られ、後から呪具が飛んでくる。
屈んで避けると、足が此方に来る。その足を掴み、緑髪の子___真希を後ろに投げる。
いやいや、真希早すぎでしょ!?呪具を使ってることから、多分天与呪縛とは思ってたけど、強すぎじゃない!?
「あ、大丈夫?」
投げてごめん、と言うと、突然笑い出す。
「そこまで出来んのかよ、ヒョロいのによくそんな動けんな」
「父さんが体術得意で、よく教えられてたから」
でも対応するしか出来ないよ、と言うと、後ろから「それでも真希の相手出来るやつは少ないぞ」と言われた。五条悟からも誇っていいよと言われた。
「…続ける?」
「続けるに決まってるだろ」
五条悟やパンダに気を取られてる間に立ち上がっていた真希に言われる。
早速此方に向かってきて、顔に向かって足が飛んでくる。その足を叩き落として対応する。
結構本気出してきてない?怖いんだけど。
そう思っている間に、呪具が此方に投げられる。
其れを掴み、いつの間にか後ろにいた真希に当てようとしたが、其れを捕まれ、奪い返されて足元を狙ってくる。其れを読んで前に出る。
これまでの間、約ニ、五秒。
その後数十分、戦い続けて出た結果は二勝二敗。引き分けだ。
慣れない運動をしまくってへとへとに疲れた僕は、肩を上下に揺らして息切れを起こしていた。
「中々にやるじゃんか」
そう言われ、頬に冷たい感触と水滴が付く。冷たい飲み物を持ってきてくれたみたいだ。
真希は全然汗をかいてなくて、さすがフィジカルギフテッドと思った。
「今日は偶々何時もより身体がよく動いただけ、普段の僕なら全く対応できないよ」
謙虚、と言われた。本当の事なんだけどな。
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