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『宣戦布告しない宣戦布告』
At視点
放課後の校舎裏。
夕日の色がまだ地面に残っていて、
ちぐとぷりっつさんが抱き寄せるように寄り添っていた。
俺は、
その光景を校舎の角から偶然見てしまった。
ちぐの手には赤く滲んだ血。
ぷりっつさんはその小さな手を
まるで壊れものみたいに包み込んで、
何度も何度も息を震わせてる。
(……ああ。やっぱり、無理だな)
思い知らされる。
俺がどんなにちぐを気にかけても、
どれだけそばで笑っても、
今日ちぐが頼ったのは俺じゃなくて――
ぷりっつさんだけだった。
ちぐの声が震えてるのに、
ぷりっつさんに触れられた瞬間だけ、
安心したみたいに小さく呼吸が落ち着いた。
その全部が、痛いくらいわかる。
(ちぐ……ほんとに、好きなんだよな)
だけど。
俺の「好き」は渡しちゃいけない種類のやつだ。
ちぐが好きなのはぷりっつさんで、
ぷりっつさんが好きなのもちぐで――
俺が間に入る資格なんて、ない。
……いや。
ほんとは“入りたい”んだよ。
邪魔でも、苦しくても。
ちぐが泣きそうに笑ってたら、
抱きしめたいって思っちまう。
でも、それだけは絶対にやっちゃいけない。
だから俺は、
気づかないふりをする。
「好き」なんて言わないまま。
なのに――
夕日が少し傾いたころ、
ぷりっつさんがちぐを抱えたまま立ち上がった。
その背中を見た瞬間、
俺の足は勝手に動いてた。
「……ぷりっつさん」
声が震えてるのは、
夕風のせいじゃない。
ぷりっつさんは少しだけ振り返って、
俺に短く会釈した。
「……あっと様。ご挨拶もせず失礼いたします。
ちぐ様を屋敷へお連れしなければなりませんので」
「うん、わかってるよ」
そこまで言って、俺は唇を噛んだ。
言いたいことは山ほどあるのに、
言っちゃいけないことばっかりで、
頭がぐちゃぐちゃになってた。
でも――
それでも、言わなきゃいけないことがある。
「ぷりっつさん」
「はい」
「……ちぐのこと、頼んだよ」
たったそれだけ。
それだけなのに、
胸の奥がゆっくり裂けていくように痛い。
本当は、“俺にも守らせてほしい”って言いたかったのに。
“ちぐが泣くとこ見たくない”って言いたかったのに。
“ちぐの手、誰よりも俺が握りたい”って言いたかったのに。
全部飲み込んで、
たった一言だけを差し出す。
ぷりっつさんは驚いたように目を見開き――
すぐに静かに頭を下げた。
「……必ず。命に代えても」
その答えは、
俺の胸にゆっくりと沈む。
(……ああ。これが、敗北宣言なんだ)
言葉にしない宣戦布告。
言葉にしないままの諦め。
俺はちぐに“好き”なんて言わない。
告白なんて最初からしない。
そのルールは、今日でもう確定した。
夕日が沈む前。
最後にちぐが振り返って俺を見た。
心配そうな顔で、小さな声で。
「……あっとくん、また明日ね?」
「……もちろん。また明日ね」
笑って言った俺の声が震えたことに、
ちぐは気づかない。
気づかないままでいい。
――気づかないでくれ。
夕日の色が完全に消えるころ、
俺はようやく目を閉じた。
(ちぐ……幸せになれよ)
たとえその隣に、
俺がいなくても。
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うちは最近コメントとハートでモチベ上げてる事に気づいたぜ
なんでもいいからコメントくれると嬉しいです
🙈💕︎
コメント
8件
atくん切ない…😢 やっぱprtgがいいけど、atくんにも頑張って欲しくなっちゃう… あと、prくんの敬語かっこよ、!
大好きな作品更新されてるぅ~~!!!!! prちゃんの『命に代えても』もat君の『tgのこと、頼んだよ』もイケメンすぎる 🫶
ヤバ......超結構切ねぇ......🩵😭 ぷりちぐには結ばれて欲しいけどあっとくんにも結ばれて欲しい... あっとくんにもいい人がまた現れますように🙏🍀