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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
2,014
鷹槻れん

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鷹槻れん

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#シングルマザー
水羽凛
261
「二人がケンカしているって聞いて心配になっちゃったよ。仲直りしなよ」
私たち二人をソファへ座らせ、中間に有栖が入っている。
隼人が謝ってくれたら……。
無言の時間が続く。
「ほら。隼人くん、何か言いたいことないの?」
有栖が隼人の肩をトンと指でつつく。
「俺が悪かったところもある。だからって、俺の夢を邪魔しないでほしい」
「はっ?」
思わず口に出しちゃった。
「俺は俺なりに頑張っているんだよ。個展だって親の知り合いが見に来てくれるって言っている。そこで名前が売れれば、一気に生活も楽になる」
親の知り合いって。
隼人のお父さんが大手企業に勤めていることは知っているよ。
でも、そこも親頼みなの?
「だから穂乃果は、うるさく何も口を出さないでほしい」
「口を出さないでって、それは隼人がっ……」
私が言い返しそうになると
「ほらほら。隼人くんも謝ってくれたんだから。穂乃果も許してあげなよ。応援してあげるって決めたんでしょ」
有栖が中間に入ってくれたものの、私は<普通のこと>を<普通にしてほしいだけ>なの。
例えば、洗面台に絵具をそのままにしないとか。借金あるのに必要ないものを買わないとか。
これって普通のことじゃないの?
もしも隼人が直してくれなかったら、その時は――。
「わかった。口うるさくしないようにする。だけど、隼人だって当たり前のことをきちんとやってほしい」
私がそう伝えると、彼はコクっと頷いた。
有栖はそんな隼人を見て
「可愛いねー。さすが年下。良い子良い子。隼人くんだって、隼人くんなりに頑張ってるんだもんね」
隼人の顔を覗き込みながら、彼を見つめる。
ちょっと待て。
酔っているからって、さすがにその距離、近すぎないか?
人の旦那なんだけど。
私が気にしすぎ?
「有栖さんに見てほしい絵があるんです」
隼人は顔を赤くさせながら、ぼそぼそと声を出した。
「えっ。見せてくれるの?ありがとう」
有栖は私の許可もなく、隼人のうしろについて行き、彼の部屋へ入って行く。
なんだろう。この違和感。
今日の有栖って、途中から変だった。
玲央と会った時くらいからかな。
それまではいつもの有栖だったのに。
一人、ソファの上で考えていた。
ていうか、隼人もなんなの?
有栖さんに見てもらいたい絵があるとか。
私には<部屋に入るな>って言ってくるくせに。
だんだんと腹が立ち、直接文句を言ってやろうと、隼人の部屋に向かう。
扉をあけようとすると
「あっ。ダメダメ。隼人くんっ!それはヤバいって……」
有栖の艶っぽい声が中から聞こえてきた。
私の心臓が大きく鳴る。
「俺、有栖さんにずっと会いたかった」
「ああー。ダメ。私が鎖骨、弱いの知っているでしょ?」
ふふっと笑う有栖の声。
なにこれ。この部屋の中で何が起こっているの?
ドアノブに手をかけたまま、私は動けない。
「隼人くんが個展で頑張って、めっちゃ稼いだら、またエッチしてあげる。私、将来性のない男の子、嫌いだもん」
なにそれ。《《また》》エッチって。
いつからそんな関係なの!?
「わかりました。やる気が出ました」
やる気出たってなによ!?
ああ、こんな現実、知りたくなかった。
私はドアノブを開け、隼人の部屋に入ろうとするも――。
「開かない。カギがかかってる」
すぅと吸い
「ちょっと、二人とも何してるの!?」
怒鳴りつけるように中の二人に声をかけた。
私が部屋の扉をドンドンと叩くと
「はいはい。今、開けます」
有栖の呑気な声が聞こえた。
「隼人くんの素敵な絵を見せてもらってただけ。私、もう遅いから帰るね」
有栖はそう言うと、玄関へ向かった。
私、今、聞こえてきた二人の会話のこと、言った方がいいのかな。
言わなかったら、絶対後悔する。
「ちょっと待って、有栖っ!」
「俺、有栖さんを送ってくから。もう夜遅いし、危ない」
「隼人っ!?」
隼人が自分と有栖の分らしきジャケット二枚分持ち、彼女のあとを追って出て行く。
私は一気に脱力して、その場に座り込んでしまった。
あの会話を聞いてしまった。
こんな事実、知りたくなかったよ。
親友だと思ってた子と夫が不倫しているかもなんて。こんなことあるんだ。
もしかして……。
有栖は高校の時から実は私のことが嫌いだったとか?
陰で私の不幸を聞いて笑っていた?
辛かった時に、真剣に話を聞いてくれた有栖は、偽りだったの?
何も考えたくなくて、涙も出てこなかった。
コメント
1件
うわ……これはまた衝撃的な展開だったね。親友だと思ってた有栖と夫の隼人がまさかそんな関係だったなんて。特に「またエッチしてあげる」の「また」が効いてるなあ。長年の関係を疑い始めるラストの心理描写がすごくリアルで、胸が締め付けられたよ。伏線として、玲央と会った後の有栖の変化、そして隼人が穂乃果には「部屋に入るな」と言ってた描写がここで繋がった感じがする。次の展開が気になる…!