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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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鷹槻れん

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#シングルマザー
水羽凛
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コメント
1件
煉彩さん、第10話読みました…。 義母の「細かすぎる」発言、ちょっと衝撃でしたね。穂乃果さんが言ってること、普通のことでしかないのに。親バカ通して息子を甘やかす感じ、すごくモヤモヤしました。「結局困ったら親」っていう最後のセリフ、胸にじわっと来ました。夫婦って何なんだろうって考えさせられる回でした…🥀
しばらく経っても隼人は帰ってこない。
私は立ち上がり、普段は入ることを禁止されている隼人の部屋に入る。
特に最近は「個展だから集中したい」という理由で、部屋に入るなと言われていた。
もしも有栖と隼人が浮気している関係だったら、何か証拠となるものがあるはず。
部屋に入ると、作業台には書きかけの絵があった。
風景画だ。
都会にはない高い山と一本の杉、川が書かれている。
「隼人の絵は、綺麗なんだけどな」
言葉をぽつりこぼしてしまった。
部屋の中、サッと見た感じ、何も変わっていない。
ギターが増えているのはわかったけど。
クローゼットを確認すると、新しい服も増えていた。
「また買ったの?」
古着のジャケットだと思うけれど、これって高いやつなんじゃないの?ビンテージ品とか。
収入もないのに高い買い物をしてしまうのは、クセとか病気?
私にはこのお金は頼んでこなかったから、きっと両親にでも頼んだのだろう。
ため息しか出てこない。
結局、有栖と隼人が浮気をしている証拠は出てこなかった。
きっと隼人のスマホを見れば、何らかの記録が残っているんだろうけど。
ロックかけているのを知っている。
さっきの会話を元に問い詰めても
「聞き間違いじゃない?」
なんて言ってきそうだ。
それにしても、まだ帰ってこない。
時間にして一時間くらい。
どこまで有栖を送っているんだろう。
私がリビングのソファへ座り、隼人の帰りを待っていると、静かに玄関ドアが開き、隼人が帰ってきた。
「まだ起きてたの?」
ソファに座っている私を見て、隼人は目を大きくさせた。
「うん。あのさ……。さっき聞こえてきちゃったんだけど、隼人って有栖と浮気してたの?」
単刀直入に聞く。モヤモヤしたままじゃ嫌だったから。
例え喧嘩になっても、聞いておきたかった。
「はっ……?そんなわけないだろ?」
隼人は逃げるように自室へ向かう。
私は慌てて彼の腕を引いた。
「聞こえたの!隼人と有栖が親密そうにしている会話が!はじめて会ったわけじゃないけど、雰囲気怪しかったっ……」
「うるさいな!有栖さんと浮気しているわけないだろ。だったら有栖さんにも聞いたらどう?」
バッと力強く私の手を振り払い、隼人は自室へ入ってしまった。
有栖に聞いてみる……か。
こんなの文章で送れるわけない。
直接会って話したい。
私の聞き間違い?
ううん。絶対ない。証拠を掴まなきゃ。
でも――。
証拠を掴んだら、私は隼人に何を求める?
謝罪?離婚?慰謝料?
そこまでまだ考えられていない。
入浴を済ませ、ベッドへ倒れるようにして横になる。
「疲れた。なんか、もう」
目は閉じているのに、眠れない。
隼人と有栖の二人のことをグルグルと考え、気づいた時には朝だった。
その日は休日。
ゆっくり家事をして過ごそう。
そんな風に思っていたのに――。
<ピンポーン>
チャイムが鳴った。
「お義母さん?」
モニターで相手を確認すると、義母が映っている。
オートロックを解除すると、玄関のインターホンが鳴った。
どうしよう。
部屋、そんなに片付いていない。
酔って帰ってきて、疲れて寝てしまった。
怒るんだろうな。
嫌な予感を感じながらも
「こんにちは。どうしたんですか?」
玄関で義母と挨拶を交わす。
「隼人から呼び出されてね。来たの」
マイペースな義母、怒鳴り散らしたりする人ではないが、その代わり、ネチネチ嫌味を言ってくるタイプの人だと私は思っている。
正直、義母と私の仲はそんなに良くはない。
義父は義母の言いなりだ。
「そうなんですね。どうぞ、すみません。散らかっていますが、あがってください」
私は嫌々ながらも義母をリビングに案内し、キッチンテーブルの椅子へ義母に座ってもらった。
「隼人さんを今連れてきますね」
二人きりなんて耐えられない。
私は隼人の部屋をノックし
「隼人のお母さんが来てるよ」
しっかりと聞こえるよう彼に伝えた。
「わかった」
隼人は起きていたようだけれど、部屋着のままだった。
私は義母にお茶を出し、隼人が呼び出した目的を聞くために、近くで待機をしている。
「隼人。《《あのこと》》を穂乃果さんに伝えればいいのね?」
「うん。そう。母さんからも言ってくれよ」
あのことってなに?
義母は私へ視線を向け
「隼人は今、個展に向けて頑張っているの。穂乃果さん、隼人が家事をしなくても、ちょっとくらい我慢してくれないかしら?」
はぁとため息を吐かれた。
「えっ?」
なにこれ。
どうしてそんなこと言われなきゃいけないの。
「最近、穂乃果さんが厳しくて、集中して絵が描けないみたいなの。個展にはお父さんの知り合いも来てくれるって言うし、隼人の可能性を広げるチャンスなのよ。妻として応援してくれないかしら」
義母は、怒るでもなく、中間に入って隼人からの悩みを聞いているだけかもしれないけど。
「私も応援したいと思っています。ただ、私は、隼人さんに普通のことをしてもらいたいだけです。ゴミはゴミ箱へ。使った絵具は洗う。絵具で汚れたら掃除をする。私が仕事の時、食べた後のお皿は洗っておく。それだけですよ?」
もっと言いたいことはあるけど。
「何か私、間違ったこと言っていますか?」
義母に尋ねると、義母は困ったような顔をしていた。
「そうねぇ」
義母は呟き
「穂乃果さんは細かすぎるのよ。そこで隼人が疲れちゃっているかもしれないわね」
「えっ?」
義母の感想に絶句する。細かすぎる?
どこが?
呆れてものが言えない。
親バカにもほどがある。
「この機会は隼人にとっても大きなチャンスになるの。だから穂乃果さんにはもっとしっかりしてもらわないと」
お茶を一口飲み、義母は私の予想よりも遥か上の話をしてきた。
「穂乃果さんだって、そんなにお給料が良くないんだから。隼人が有名になって稼いでくれた方が楽でしょ?」
はっ?
だから、それはいつになるの?
先の見えない未来。
稼いでくれた方が楽って、本当に絵描きだけで食べていけるようになる?
世の中にはもっと努力しているアーティストさん、才能に溢れている作家さんも多い。
作家活動で生活ができるなんて、ごくわずかなのに。
隼人の絵はすごいと思う。
だけど、たくさんの人に認めてもらうためには、もっともっと努力が必要だ。
私は義母の質問に答えられない。
彼を否定する言葉しか出てこないから。
きっとそんなことを言い返したら、もっと倍になって返ってくる。
そしたらまためんどくさい。
「これできっと穂乃果さんもわかってくれたわよ。隼人。頑張ってね。お母さん、応援しているから」
母は、息子を優しい眼差しで見つめている。
「ありがとう。母さん。助かったよ」
ああ、こんな人だったんだ。
結婚する前は「俺はマザコンなんかじゃない」って言って、お義母さんとお義父さんに連絡すら取ろうとしなかったのに。
結局、困ったら頼る人は親なんだね。