テラーノベル
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私=ゆうちゃん
友達=そうくん
彼=じょうくん
「ちょっと!この俳優さんめちゃくちゃかっこよくない?」
「いや。僕はこっちの方がかっこいいと思うよ!」
「えー?だってこの人たち結ばれることないじゃん!」
「いやいや分からないって!」
と電話でも盛り上がっているの月9のドラマ。
この月9が放送されている間、私はもどかしくその友達と花火をしていた。
そう。お互いパートナーができるまでは毎年夏に花火をしようと約束をしていたのだ。
今年で既に3回目。。。3年目の夏。。。ここで告白に至らないのはお互い恋愛は無いと分かりきっているからである。
「ねーねーゆうちゃんこの夏さ!江ノ島行かない???」
「え?また急に?どした。」
「いやー憧れてて。」
「ドラマ?」
「そうそう!行く?!」
「行こーか!メンバーメンバー!」
「4人ぐらい??」
「うん!そーしよ!」
そんなこんなで江ノ島へ行くことが決まった。その頃にはドラマも夏も終盤でどこか秋が感じる時期になっていた。
ブーブ-
(電話?)
出てみるとそうくんからだった。
「ごめん。。ゆうちゃん。シフト希望通らなかった。。。江ノ島。。。」
「いいよ!いいよ!また行こーね!私も仕事忙しかったから大丈夫!」
「うん。。。また行こう。。」
そう。憧れの江ノ島はお預けになってしまった。
楽しみにしていたことが無くなるのは悲しいけど。私はその時期、関東に出張が決まっていた。次は10月。
月9の歌を聴きながら関東に向かう。
あ!そーいえば!と関東に住んでいるじょうくんに会えないかとメールをした。
彼からの返事は予定が合えば来週辺りと。
素っ気なく感じるが私にとっては会ってくれるだけでもありがたいのだ。
だって。江ノ島に行けるチャンスがあるからである。
ドラマの話をして今しか江ノ島楽しめないでしょ!!!と彼に江ノ島を提案すると
私よりも詳しくルートを調べてくれていた。
ただ友達と来れなかったところに彼と来るのはこの場所が彼とおいでと呼んでくれていたからだと思う。
江ノ島の夏、小舟に乗って海をわたる。
雲ひとつない空は海の青を吸い取ったかのようだった。
小舟をおりると洞窟がある。
ろうそくを持って歩くらしい。
そっと消えないようにゆっくり歩くのがコツだけど初手で消えてしまうのも私たちらしくて笑っちゃう。
洞窟のあと神社を巡って螺旋階段を使って展望台にのぼる。
地元も海が近いがこんなにも海の青に心が踊るのは彼が隣に居るからだろうか。
それともドラマを見てきたからだろうか。
こんな海に住んでいる生きものたちを羨ましく思いながら眺めていると。
「これ知ってる?360℃撮れるらしい」
と彼が声をかけてきた。
どうやらパノラマ機能というものらしい。
「あー知ってる!撮ったこと1回ぐらいしかないけど!」
「全然上手く撮れんのんやけど」
と笑いながら何度も撮ってる彼。
この目の前の景色をそのまま持って帰りたいとパノラマ機能を作った人は欲張りさんなんだろうか。
だけど彼の笑顔を見てそんな欲張りも悪くないと心で噛み締める。
彼との時間はあっという間で気づくと夕方になっていた。
ここでばいばいか。少し寂しい気持ちになりながら彼に伝える。
「ごめん。この後横浜で家族と合流するんだけど来る? 」
「いや。俺は大丈夫。楽しんで。」
そうだよね。もう少し一緒に居ようなんて言えるわけない。
久々に会えた彼だからそんなことを思ってしまったのだろう。
江ノ島も横浜もまた今度。
次は彼へ告白をしたあとに彼の彼女になった後にもう1度来たい。
また一緒に訪れてくれますか?
なんて言えるかしら。
旅をする。電車、バス、新幹線、飛行機、徒歩、自転車、地下鉄、車。
あらゆるものに揺られて心を弾ませる。
パノラマの世界を持ち帰るのは写真ではなくいつも心の記憶。
360℃の広い世界の同じ日、同じ場所、同じ時間を共有出来る旅の行方はきっと訪れた人にしか分からない。
次はどこへ行きますか?
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