テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
他の実況者様の名前出てきます。
ほんのちょいと長いです。
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次の日も──再び薄明かりの中、静かにページを繰る指
日記の中の文字は少しずつ滑らかに
そして確かな感情を帯び始めていた
ーーー
「今日から123番が僕たちの部屋に
来た」
>「最初は無口だったけど、
“俺、りぃちょって呼んで”って言った」
>「これでみんな名前があるね」
>「いるまが、『名前いいね!』って嬉し
そうに言ってた。僕はあの顔が好きだ」
>「いるまもりぃちょも番号が誕生日
だから お気に入りなんだ!って言ってた」
ーーー
─すちはその一文を見てほんの少し微笑んだ
ー
すち、(あー、……りぃちょって子は自分で
名前をつけてたんだな)
ー
ページは進む
ーーー
「夜になると、3人でこっそり 集まった」
「いるまは話すのが好き。
いっぱい喋る。 ちょっとうるさいけど、
それがいい」
「りぃちょは寝たふりしてたけど目だけ
開いてて、僕と目が合うとウィンクした」
>「僕は何してたかな?空見てたかも」
ーーー
──だんだんと、3人の関係が見えてくる
互いに“名前”を知らない中で
無理やり覚えた数字を抱きしめて
絆を築いていた子どもたち
ーーー
「“名前をつけてくれた人がいる” って、
すごく特別なんだと思った」
「僕に名前はなかったけど、
つけてくれた いるまが、ちょっと大人に
見えた」
「りぃちょは『なっちゃんは俺が守る』って 本気か冗談かわからないけどそれでも
少し安心した」
ーー
すちはそこでページを閉じた。
感情が胸に溜まりすぎてこれ以上
進めなかった 進んだらいけないような
気がした
ー
すち、(……ただの“番号”だったはずなのに
あの頃の彼らは、確かに名前を持たなかったのに、ちゃんと人だったんだ)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
──深夜、アジト内
LANの執務室
報告書の山を前に、コーヒーを片手に
ぼんやりしていたLANのもとへ
ノックの音が響いた
ー
すち、……入っていい?
LAN、あ、すっちーか どうした?
すち、これさ調べてた孤児院関係のやつ
なんだけど、気になるものが出てきて
LAN、ん なに?
すち、子どもが書いた手記
名前がなくて番号だけの記録
…それが 一致する部分が色々あって
LAN、……
ー
LANが表紙に目を落とす
《記録:No.072》
ー
すち、ちょっと読んだんだけど72番って
子 がたぶん……いや、間違いなく暇72だと思う
LAN、……ッ!ほんと?
すち、それだけじゃなくて“220番”って
子が いるんだけど──誕生日が2月20日で
“220って覚えやすいでしょ?”って
しょっちゅう言ってて
LAN、いるまだ……それ
すち、たぶんなっちゃんといるまちゃんは
昔 同じ孤児院にいたと思う
ー
LANはゆっくりと手帳を開いて数ページを読み
その指先が、ある文に触れたまま止まった
ーーー
『ぼくは、72番でもいいって言ったら名前つけてやるって言ってくれたけどやっぱり自分 でもつけたいな』
『72番で暇72にしようかないるまから
つけてもらったなつって名前好きだから
ひまなつって名乗るようにしよ!』
ーーー
LANの表情が、すっと曇る
ー
LAN、──思い出してないのか、なつ
すち、そうみたい 孤児院なんかいたわけ
ないって言い切ってる
記憶がない けど──体が無意識に“番号”
だけは覚えてた
きっと…名前をもらったことも
いるまちゃんの 存在も、
どこかでまだ残ってる
LAN、──いるまにはまだ言わない方が
いいよな?
すち、判断は、らんらんに任せるね
でも……もしこの日記が本物なら
今この瞬間、同じ屋根の下に再会してる
はずの2人がいることになるよね
LAN、これ、預かっていい?
すち、うん。まだ続きあるからいつでも
読んで
LAN、(なつ……お前、本当は、いるまに
会う ため、ここに来たんじゃないのか?)
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