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カコ…カコカコ……

(ガラケーのボタンの音、ちょっと好きだったなぁ…。)





…カコ


……よし、この電話番号に……。




「…いや緊張するなぁ………」


手汗がじわっと出てきている……


まぁでも、うじうじもしてられないし……!


よっし!


プ…プ…プ…プ…


プルルルルルル……プルルルルルルルル……


!!かかった…!


プッ

「…やあ、もしもし?もしかして、スミレ…?」


おおお、ちょっと年下くらいの女の子の声だ…


彼氏じゃないとしたら……

一体どんな関係性なの…!?



……てか、話すこと決めてなかった…!


「あ〜……。もしもし……??」







「───! スミレじゃない…?」


……ま、そんな反応にもなるよね…



『……ぁ、えーっと、スミレじゃあなくってごめんなんだけど……。』


『スミレは…………死んじゃったよ。3ヶ月前に。』





「…!! ぇ、し、死んだ……!?

んですか……!!!?」



『…………うん。』



「……ってか、いや、ううーん、3ヶ月…。連絡ないと思ったら、まさか……」


「いや、いいですよ、っていうか、むしろかけてきてくれて安心というか……」





『うん……びっくりってもんじゃあ……ないよね……知り合いの死を急に知らされるなんて』


「まあ、ちょっと……いやだいぶ驚きましたけど、うん、大丈夫です。えと、スミレのお友達?ですか?」



『うん、そうだよ、凪。赤橋凪っていうんだ。スミレの友達だよ。私は親友だなと思ってるくらいには仲がいい自信があるくらいな感じ!』




「……っふふ、仲がいいんですね……!」

「実はスミレも名前は出さないけど、たまーに

「親友」の話をしていましたよ」

「…いま、凪……さんと話して、その親友が凪、さんなんだってわかりました!」


柔らかな笑い声と息遣いが、音質の悪いガラケーから聞こえる。解像度が低いはずなのに、相手の表情がとても鮮明にわかった



『……いやまじかよ!』


恥ずかしうれしが混じった酸っぱい気持ちになる。

なんか、スミレと隣で話してるみたいな感じでなつかしい


それと一緒に、んはは、とカワリバの笑い声が聞こえる


『てか、カワリバさん?も、スミレとはどこで会ったの?』




「それなんですけど、……まぁ、話し相手が欲しくって。


掲示板とかちょっとしたSNSで、もうほとんど使ってないし、使う予定がないような電話番号を公開したんです。

そしたら、本当に偶然スミレさんから掛かってきて、そこから……5ヶ月行かないくらい?続いてる感じでした。


まあ、いわゆる電友ですかね?」



ほお。と思った。スミレってなんかよくわからない趣味とかを持ってたりするからつかみどころがない感じだなと思っていたけれど、まさか電通の趣味もあったのか!と、沸いた感情は驚きと発見だった。


死んでからその趣味を知るだなんて、皮肉なものだけれど……。



『……なるほどねぇ〜……。』



…そういえば、なんで私が掛けているのか説明してないな……。

説明した方がいいだろうか、と悩みかけたときに


「って!あ!思い出したっ!

まずい……。すみません、いいところだし、まだまだ話したいことがあるんですが、学校の課題をチャチャっと終わらせたいので、もうそろそろお暇してもいいですか……?」


『おー……学生さんかな、大変だね…。』


かれこれ、ガラケーを発見してから3時間ほどは経ってしまっていた。

……もうそろそろ空が赤くなる時間だ。

課題も大詰めという時間に少し話し込んでしまった。


『課題、頑張ってね!』

「はい!ありがとうございます。……後、最後にひとつ、また電話していろいろ話し合いたいので、自分が暇な時、教えますね〜!

自分は水曜日の24時あたりか、土日の14時あたりには大抵暇なので、いつでも掛けてください!スタンバってますよ!」


「おっけー!」



【ブツン】


せっかち〜……!

なんかところどころがスミレに似てて困る。

類友ってやつだろうか……?

そして私は「やあ、」と言う

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