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…………前の電話は新しいような、不思議なような出会いだった。
よく考えてみたら、すみれ以外の人間と打ち解けたように話すのは、割と久しぶりの事だ。とても楽しかった。
けど、二日酔いなのも相まってか、とっても疲れた……。
明日は仕事だということも思い出し、まだ夕方だけどさっさと寝てしまおうと、さっさと風呂に入りマニキュアを塗り直したあと、コトンと寝てしまった。
4話
6日後……
土曜日の14時頃……。
私は古びたガラケーの前で正座し、妙にドキドキしていた。
いやね?ちゃっちゃとかけてしまえばいいものを、なんて思うかもしれないけど、電話って緊張するよね?
分かるよね?
ね??
うーん……。
本当に迷惑じゃないのかな……?
てか、この時間帯いるって言ってたけど出てくれるのか……?
……せえぇーい!もうどうにもなれぇーい!
カコン
プ…プ…プ…プ………
プルルルルルル…プルルルルルルルル
おーかかった!
この前の電話って酒の飲み過ぎとかじゃなかったんだなぁ〜!
「やあ、どうも!凪、さん!」
『おー!6日ぶりー!』
「…元気そうでよかったです!
まさか、本当に掛け直してくれるなんて思ってなかったので…また会えて嬉しいですよ!」
『んー!わたしもまた電話出てくれるのかわからなかったから心配だったけど、出てくれてなんか安心だよ〜』
「えと、この間話せなかったこと…ですよね!
確か、凪さんがどんな経緯で私に電話を掛けてきたのか、聞けてなかった…。ですよね?」
『そぉそぉ!気になるだろうに話してなかったから、きっとカワリバ気になってるんだろうなーと思ってさぁ』
『どこから話そうかなぁ…、そーねぇ…。
まず、3ヶ月前くらいにスミレの荷物をどうするかって話し合いをしたのよ。』
「なるほど…」
『うん、で、スミレのお母さんは私が持ってても特にすることもないし、貴重品なんかはもう預かっているから、身辺の荷物は凪ちゃんに任せるって言ってくれたんだ。』
「………。なる…ほど…。」
『そんで、6日前に母さんがウチに来てね。荷物を置いてったのよ。』
「ぁーそれで、その荷物の中にあったガラケーの連絡先である私に、掛けてきてくれたんですね」
『そーゆーことよ!』
『…なんか、話してると、物分かりいいなってなるんだけど…カワリバって絶対頭いいよねー!』
「まあまあですって!」
『またまたあー…!』
ふと、時計をチラリと見る。
針は14時10分を指している
『……おっ!まだまだ時間あるじゃん!』
「そーですねぇ…自分も課題は終わらせちゃって暇なんで、色々話しましょーよ!」
…そこから他愛のない会話が続いた。
途中から楽しくなって、冷蔵庫にダースで買ってある酒を何本か取り出し、戸棚を漁り漁り、ようやっとノシイカを見つけた
カシュッ
ん〜!ビールのいい音だね!
『へへへ、楽しくなってきたからお酒開けちゃうわ!』
「…うお?え、休日のお昼からお酒って飲むもんでしたっけ…?」
ゴッキュゴッキュ……
『ぷヘェ〜!!
ま、気にしちゃダメよ!』
「ん〜…。ほどほどにしてくださいね…」
『おうよー!』
「…、えーと、凪さん、今って何年の何月あたりでしたっけ…??」
『…んー?何年か忘れちゃったのー?ドジっ子じゃーん!』
「んへへ…うっかり忘れちゃいまして…」
『…ふーん…。ん〜とね、いまは20x3の11月13日ねー!』
「ありがとうございます!前回は忘れちゃいましたけど、毎日、日記をつけてまして…。」
「はへー!まじめだねぇー!!」
…………………………………………………
『そんでさぁー、職場のねー?え、聞いてるぅ〜??』
「はぃ…。(凪、ベロベロだ…..)」
『んあー…。あんねぇ、さいきんねぇ?
ずぅーっとさあ、思ってることあっててさあ…。
なんかね、スミレってさ、写真がきらいだったんだよ
まじで。旅行行った時も、撮らせてくれなかったくらいにはきらいなんだよぉ?』
「……。」
『…んでねぇー、遺影ってさ、あんじゃんか。
あれの写真がさあ、高校生のときの写真なの…』
「…………ふむ…。」
『んふへ、なんかね…写真撮ろうとするとさ、すごい勢いでブレに持ってくの!
………っまともな写真ないんだよねぇっ…!』
『…それがさあ…?なんかさあ……っ悔しくってさあっ!』
凪の声がひどく震えはじめた
すこししゃくり上げ始めている。
『そんでさ、ずっと考えててさぁっ!っグスッ…
なんで凪の写真を撮っとかなかったのかなって、
もっとはなしときゃよかったよなあってッ!』
「凪さん…。」
『このこと、すぐ考えちゃうから、お酒飲んで、考えないようにしててさぁっ…。』
「凪さん…!」
『なんだよぉ!もう、うまく行かないんだ、最近はぜんぶ…もう、スミレがいなきゃあ…。スミレぇ…!
……っう……。』
「凪…落ち着いて…」
『…ぇ?』
「もう、そんなに泣いて何に…なるの…?」
『……すみれ…?』
「………。」
「……深呼吸してください。お酒も飲んでるし、情緒が
不安定ですよ。お水飲んでください。」
『う、ん。そうするよ……。』
「……。」
「(…写真……。)」