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翌朝。
こさめは不機嫌だった。
🦈「やだ」
🍵「だめ」
🦈「やだ」
🍵「だめ」
🦈「やーーだーーー」
🍵「だめだよ」
すちは穏やかな笑顔のまま答える。
現在、遺失物センター管理課。
朝から職員たちはその光景を眺めていた。
なつがコーヒーを飲みながら呟く。
🍍「始まったな」
いるまが頷く。
📢「始まったな」
その原因は単純だった。
保護対象。
つまりこさめは一人で行動できなくなったのだ。
🦈「こさめ、一人で倉庫行けるもん」
🍵「うん、でも一人で行かないでね」
🦈「なんで?」
🍵「危ないから」
🦈「大丈夫だよ!」
🍵「だめ」
すちの声は怒ってもいない。
焦ってもいない。
ただ穏やかに拒否している。
それが逆に強い。
昨日とはまるで別人のような雰囲気。
こさめは机に突っ伏した。
🦈「監視されてる〜」
🍵「保護ね」
🦈「同じだもん」
🍵「違うよ」
🦈「違わないもん」
完全に子供である。
なつが吹き出した。
🍍「すち、お前すごいな」
🍵「そう?」
🍍「普通こさめ相手にそこまで根気よく付き合えない」
🍵「慣れてるから」
🍍「何に?」
🍵「面倒な人」
🦈「聞こえてるよ!?」
こさめが勢いよく顔を上げる。
するとすちは少し笑った。
🍵「聞こえるように言ったからね」
🦈「ひどい!」
🍵「ごめんごめん」
全然悪びれていない。
そのやり取りに周囲から笑いが漏れる。
昨日までの重苦しい空気が少しだけ和らいだ。
しかし。
そんな空気を壊すように警報が鳴った。
ピコン。
『落とし物搬入』
🦈「あ、仕事だ」
こさめが立ち上がる。
すると。
すちも立ち上がった。
🍵「行こうか」
🦈「え」
🍵「一緒に」
🦈「えー」
🍵「一緒に、行こっか」
🦈「……」
逃げられない。
こさめはしぶしぶ歩き出した。
受付へ向かう途中。
すちは少し前を歩いている。
こさめはその背中を見ながら首を傾げた。
変な人だ。
昨日会ったばかりなのに。
なんだか昔から知っているような気がする。
その時。
すちが振り返った。
🍵「どうしたの?」
🦈「見てた」
🍵「俺を?」
🦈「うん」
🍵「なんで?」
こさめは少し考えた。
🦈「なんとなく」
🍵「そっか」
すちは笑った。
優しい笑顔だった。
それを見た瞬間。
また胸が少し痛んだ。
知らないはずなのに。
懐かしい。
そんな感覚。
だがその違和感はすぐに消えた。
受付に到着したからだ。
そこには小さなガラス瓶が置かれていた。
中には金色の光が入っている。
受付職員が説明する。
「遺失物名、『勇気』」
🦈「勇気?」
こさめが覗き込む。
🦈「誰かが落としたんですか?」
「そう」
職員が頷く。
「持ち主は七歳の男の子」
🦈「七歳?」
「近日、大きな手術を受ける予定」
空気が少し静かになる。
「勇気を落としちゃったから泣き続けてるらしい」
🦈「……」
こさめは瓶を見る。
小さな金色の光。
こんな小さなものなのに。
誰かにとっては、とても大事なもの。
🦈「返してあげなきゃ」
ぽつりとこさめが言った。
職員が頷く。
「配送課が向かう予定――」
🦈「こさめ行く」
「え?」
🦈「届ける」
受付職員が困惑する。
「いや規則が」
🦈「届けたい」
真っ直ぐな目だった。
気まぐれなこさめだけれど。
こういう時だけは妙に譲らない。
すちはその様子を見て少し笑った。
🍵「じゃあ俺も行こうかな」
🦈「ほんと?」
🍵「うん」
🦈「やった!」
ぱっと表情が明るくなる。
なつが遠くから見て呟いた。
🍍「ちょろいな」
いるまが頷く。
📢「ちょろいわ」
🍍「どっちが?」
📢「両方」
その頃。
誰も気づいていなかった。
保管庫の最奥。
封印されているはずの『人類の未来』の箱が。
ほんの少しだけ。
青く光ったことに。
まるで。
こさめが「勇気を返したい」と願ったことに反応したかのように。
コメント
1件
めっちゃすき……!!すちの「だめ」の繰り返し、あの穏やかさが逆に強くて怖いくらいなのに、こさめとのやり取りが完全に子供と保護者で可愛すぎるw「勇気」っていう抽象的な遺失物、すごくこの作品らしいなって思った。こさめが「届けたい」って目を輝かせたところで胸がじんわり…最後の青い光、絶対何かあるよね。続きが気になる〜🥀
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