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⚠️ こちらはd!の二次創作です ⚠️
死ネタ BL要素 が これから出てきます
地雷 彡 は 回れ右 !
夜の病室は、昼より音が少ない。
点滴の落ちる音と、廊下を遠くで誰かが歩く気配だけ。
sha(……眠れん)
目を閉じても、さっきのことが浮かぶ。
泣いた声。
縋るみたいに掴んだ手。
「いなくならないで」なんて、言ってしまった自分。
sha(……重いよな)
医者に向ける感情じゃない。
分かってる。
だから、次はちゃんと引こうって、決めたのに。
コン、コン。
小さなノック音。
sha(……え)
返事をする前に、ドアが静かに開いた。
白衣。
夜の照明に、少し影が落ちた顔。
rbr「……起きとるか」
sha「……はい」
反射で、敬語が出る。
ちゃんと、戻れた。
そう思おうとした、その瞬間。
rbr「……シャオロン」
名前。
それだけで。
先生。
医者。
患者。
そのどれでもなくて。
ただ、名前。
sha(……ずる……)
喉の奥が、熱くなる。
さっき止まったはずの涙が、また溜まってくる。
rbr「……様子見に来ただけや」
ベッドの横には来ない。
触れない。
距離は、ちゃんと保ってる。
それが、余計にきつい。
sha「……大丈夫、です」
嘘。
声が、少し掠れてる。
rbr「……そか」
短い返事。
rbr「ちゃんと休めよ」
そう言って部屋を出ていった。
閉まる音。
一人。
sha(……ああ)
ベッドに顔を埋める。
sha(……名前呼ばれただけで、こんな……)
胸が、苦しい。
sha(……俺、まだ……)
まだ、離れられてない。
距離を取るって決めたのに。
sha(……また、信じそうになってる……)
夜の病室で、シャオロンは、声を殺して泣いた。
――名前を呼ばれただけで、壊れる自分を、どうしたらいいのか分からないまま。
その様子を誰かに見られているとは知らずに。
―翌日・ナースステーション―
夜勤明けの時間帯。
カルテを確認しているロボロの横に、看護師がカップを置いた。
看護師「……ロボロ先生」
rbr「ん?」
何気ない声色。
でも、次の言葉は少しだけ、踏み込んでいた。
看護師「シャオロンくんのことなんですけど」
胸が、反射的に強く打つ。
rbr「……何かあったか」
看護師「いえ、数値は落ち着いてます。ただ……」
一瞬、言葉を選ぶ間。
看護師「先生、あの子に、そんなに冷たくしなくてもいいんじゃないかなって」
rbr「……冷たく?」
思わず聞き返す。
看護師は、少し困ったように笑った。
看護師「本人は何も言わないですよ。でもね、先生が距離取るようになってから、ずっと緊張してる感じで」
rbr「……」
看護師「“迷惑かけないように”って顔、してます」
その一言が、重く落ちる。
rbr(……やっぱり、そう見えるか)
看護師「医者と患者の距離、大事なのは分かります。でも、あの子……安心できる相手がいると、ちゃんと元気出るタイプです」
ロボロは、黙ったままカップを握りしめる。
看護師「昨日の夜も、先生来たあと、泣いてましたよ」
rbr「……っ」
看護師「名前、呼ばれただけで」
それ以上は、言わなかった。
でも、それで十分やった。
看護師「冷たくしろ、って意味じゃないです。ただ……突き放す必要までは、ないんじゃないかなって」
ロボロは、ゆっくり息を吐く。
rbr「……そうですね」
短い返事。
看護師が離れたあと、ロボロは一人、立ち尽くした。
rbr(……名前呼んだだけで、泣く)
昨日の夜の光景が、脳裏に蘇る。
あの、堪えるみたいな返事。
震えていた声。
rbr(……俺、何守っとるつもりやったんや)
線を引くことで、守ってる気になって。
実際は、孤独に追い込んでいただけや。
rbr(……冷たくする必要は、なかった)
ロボロは、シャオロンの病室の番号を、もう一度確認する。
白衣の裾を整えて、廊下を歩き出す。
―シャオロン視点―
その頃、病室で。
sha(……今日、先生来るかな)
期待しないって、決めたはずなのに。
胸が、勝手にそわそわする。
sha(……来なくても、いいし)
嘘。
sha(……来たら、ちゃんと、普通にしよ)
敬語。
距離。
昨日より、上手くできる気がする。
……でも。
sha(……名前、また呼ばれたら)
コン、コン。
ノック音。
sha(……え)
息を整える前に、ドアが開く。
rbr「……シャオロン」
今日は、声が少しだけ柔らかい。
sha(……あ)
胸の奥で、何かが、ほどけかけた。
少し話したら、ロボロは病室を出ていった。
―病室・夜寄りの時間―
rbr「……体調、大丈夫か?」
sha「……はい。大丈夫です。」
敬語。
でも、昼より少しだけ柔らかい。
rbr「そか」
短く頷いて、ロボロはベッドの横の椅子に座った。
立ったままじゃない。
sha(……座った)
それだけで、胸がざわつく。
rbr「……無理に喋らんでええからな。しんどかったら、黙っててもいい」
“話さなくていい”って言葉が、「突き放し」じゃなくて「許可」だった。
sha「……先生」
声が、勝手に小さくなる。
rbr「ん?」
sha「……夜も、来るんですね」
探るみたいな言い方。
rbr「……心配やったからな」
医者として、って言わない。
理由を、濁す。
sha(……心配)
その一言で、胸の奥がじわっと温かくなる。
sha「……俺、泣いてましたよね」
rbr「……ああ」
否定しない。
sha「……引きますよね、普通」
自嘲気味に笑う。
rbr「……引かん」
即答。
sha「……」
rbr「泣くくらい、苦しかったってことやろ…?」
“正しい”“立場”じゃなくて
“気持ち”として受け止めてくる。
sha(……ずる)
sha「……先生、優しいですね」
rbr「……昨日は、優しくなかった」
rbr「だから、もう……冷たくしない。絶対。」
その言葉が、静かに落ちる。
sha(……冷たく、しない)
約束じゃない。
でも、宣言。
sha「……それ、反則です」
小さく、笑ってしまう。
rbr「……ごめんな」
謝るのに、距離は縮めない。
でも、心は、近づいてる。
少しの沈黙。
rbr「……なあ、シャオロン」
また、名前。
sha(……あ)
rbr「名前呼ぶの、嫌やったら言ってな」
選択権を、渡してくれる。
sha「……」
胸が、きゅっとなる。
sha「……嫌、じゃないです」
消えそうな声。
rbr「……そか」
それだけで、十分みたいに。
rbr「今日はここおる。眠れそうになったら、出てくから」
sha「……はい」
その夜、シャオロンは久しぶりに、“一人じゃない”感覚を取り戻していた。
夜更けの病室。
照明は落とされていて、ベッドサイドの灯りだけがついている。
点滴の音が、一定のリズムで落ちていた。
rbr「……眠れそうか」
sha「……うん。さっきよりは」
目を閉じかけて、ふっと気が抜けた瞬間。
sha「……ロボロ」
呼んでから、呼んだことに気づく。
sha「……っ」
一気に目を開ける。
sha(……やば)
sha「ご、ごめん……。今の、無意識で……」
慌てて言い繕う。
sha「……先生、の、名前……」
ロボロは、一瞬だけ、固まった。
rbr「……」
否定しない。 でも、すぐに視線を逸らす。
rbr「……寝ぼけとったんやろ?」
少し笑って言ってくれた。
sha「……うん」
嘘。
でも、そういうことにしてくれたのが分かって、胸が苦しくなる。
ロボロは何も言わずに立ち上がる。
ベッドの横に回って――
sha(……え)
ずれていた毛布を、そっと持ち上げて、シャオロンの肩まで、静かにかけ直した。
指先が、ほんの一瞬、布越しに触れそうになった。
rbr「……冷えたら風邪引くからな」
医者の言葉。
でも、声が、やたら優しい。
sha「……ありがとうございます」
ちゃんと、敬語。
rbr「……うん」
短く返事をして、ベッドから一歩、下がる。
rbr「……無意識でも、名前呼ばれたのは……嫌やなかったで」
ぽつり。
sha「……っ」
心臓が、どくんと鳴る。
rbr「でもな、今日はここまで」
線を、示す。 でも、拒絶じゃない。
rbr「……そろそろ寝たほうがええで」
sha「……はい」
ロボロは、ドアの方へ向かう。 出ていく前に、一度だけ振り返る。
rbr「……おやすみ、シャオロン」
名前。 柔らかい声。
ドアが閉まる。
病室に一人。
sha(……ずるすぎる……)
毛布を、ぎゅっと掴む。
sha(……こんなん、好きにならない方が無理やろ……)
でも、さっきまでの不安は、少しだけ薄れていた。
次の日は、朝も昼も普通に過ごせた。だが、夜は…。
―夜・病室―
夜は、静かすぎて不安が大きくなる。
点滴の音が、今日はやけにうるさい。
sha(……息、浅いかも)
胸の奥が、きゅっと縮む。
苦しい、ってほどじゃない。
でも、落ち着かない。
sha(……また、これ)
手足が冷えて、思考がまとまらなくなる。
「大丈夫」って言い聞かせるほど、心拍が早くなる。
sha「……っ」
呼吸が、少し乱れた。
コン、コン。
sha(……?)
ノックのあと、すぐにドアが開く。
白衣。
見慣れた背中。
rbr「……どうした」
sha(……あ、来た)
ロボロは、今回は立ち止まらなかった。
ベッドの横まで来て、迷いなく椅子に座る。
rbr「息、浅いな」
sha「……ちょっと、だけ」
強がり。
でも、声が震えてる。
rbr「……大丈夫や。ゆっくりでええ」
呼吸に合わせるみたいに、落ち着いた声。
sha(……近い)
sha(……安心、する……)
意識が少し緩んだ、その瞬間。
sha「……何処にも行かないで」
掠れた声。
頼むつもりなんて、なかったのに。
rbr「……」
一瞬、息を吸う音。
rbr「……行かないよ」
短く、でも即答。
rbr「……ここにおる。朝まで」
sha(……朝まで)
sha「……ほんま?」
子どもみたいな声。
rbr「ほんまや」
それだけで、さっきまでの不安が、少しずつ薄れていく。
sha「……ありがとう」
敬語でもなく、距離を測る言葉でもなく。
rbr「んふ、ええよ」
それ以上、何も言わない。
ロボロの、静かな呼吸が聞こえる。
sha(……このまま、寝てもええんかな)
まぶたが、重くなる。
rbr「……寝てええよ」
気づかれてる。
sha「……うん」
その夜、シャオロンは、途中で目を覚まさなかった。
―翌朝・病室―
目を開けると、朝の光。
sha(……あ)
椅子は、空いている。
sha(……帰った、よな)
少しだけ、寂しい。
コン、コン。
看護師「おはよう、シャオロンくん」
sha「……おはようございます」
いつもの声。
でも、昨夜のことが頭から離れない。
看護師は点滴を確認しながら、ふっと笑った。
看護師「先生、昨日シャオロンくんのこと相当考えてたよ」
sha「……え」
心臓が跳ねる。
sha「……な、何で……」
看護師「夜勤中、何回も様子見に行こうとしてたからね。来すぎって言ったくらい」
sha「……」
耳が熱い。
看護師「安心できた?」
sha「……はい」
小さく、でも正直に。
看護師「それなら、よかった」
意味ありげに、にこっと笑う。
―ナースステーション―
ロボロがカルテを確認していると、同僚医師が肩を叩いた。
同僚「なあロボロ」
rbr「ん?」
同僚「シャオロンくんに名前で呼ばれるの、嫌じゃないんだろ?」
rbr「……っ」
言葉に、詰まる。
同僚「否定しないってことは、そういうことだろ」
rbr「……」
同僚は肩をすくめる。
同僚「医者と患者、線は大事。でもさ」
少しだけ、声を落とす。
同僚「それぞれ気持ちはあるじゃん。立場ばっか気にして、向き合わんのも、違うと思うな」
rbr「……」
同僚「シャオロンくん、お前の前では顔違う」
それが、決定打。
rbr「……分かっとる」
低い声。
rbr「せやから……ちゃんと、向き合う」
同僚は、満足そうに笑った。
同僚「それでいい」
ーシャオロン視点ー
コン、コン。
ノック音がした。
rbr「入るで〜」
ロボロ先生が入ってきた。
俺はロボロ先生に聞きたいことがあったので聞くことにした。
sha「……あの」
rbr「……ん?」
sha「……俺、昨日……重たかったですよね」
rbr「……」
rbr「……重いとか、思わん」
即答。
sha「……でも」
sha「……医者としては、困りますよね」
言葉を選びながら。
sha「……患者が、こんなん……」
rbr「……シャオロン」
遮る。
sha「……」
rbr「……“ただの患者”やと思ってるなら」
rbr「……こんなふうに、接しとらんで」
sha(……)
心臓が、大きく鳴る。
sha「……それ、」
喉が詰まる。
sha「……どういう、意味なん?」
rbr「……そのままや」
視線を逸らす。
rbr「……医者の線引きで、シャオロンを守れると思っとった」
rbr「……でもな」
声が、低くなる。
rbr「……シャオロンが苦しそうなん見て」
rbr「……それでも距離取る方が、よっぽど間違いやった」
sha(……)
sha「……じゃあ」
勇気を振り絞る。
sha「……今は?」
rbr「……今は」
ロボロは、少しだけ椅子を近づける。
ほんの数センチ。
でも、決定的な距離。
rbr「……名前呼ばれて、安心して嬉しくなる自分を」
rbr「……否定するの、やめた」
sha(……)
sha「……俺は、」
掠れた声。
sha「……ロボロがいるだけで……」
sha「……生き返る感じ、するよ」
rbr「……」
rbr「……それ、ずるいな」
苦笑。
sha「……同罪だね」
小さく、笑う。
rbr「……なあ」
sha「……なに?」
シャオロンは少し微笑みながら俺を見た。
rbr「……医者としてじゃない時間も」
rbr「……一緒におってええか」
sha「……」
返事が、すぐ出ない。
嬉しすぎて。
sha「……それ、」
息を吸う。
sha「……逃げられないよ?」
rbr「……逃げないから言ってる」
即答。
sha「……じゃあ」
目を伏せて。
sha「……今も、逃げんとってな」
rbr「ん、わかった」
短く返してから、ロボロは一度、息を整えた。
rbr「……今も、これからもずっとおる。」
sha「……そっか」
胸の奥が、じんわり熱くなる。
sha「……じゃあさ」
少し照れたように、視線を逸らす。
sha「……今日は、名前で呼んでもいい?」
rbr「んふ、もちろん。俺はその方が嬉しいな」
rbr「まぁ、医者としてはな、ほんまはこういうの全部アウトやけど。シャオロンは特別やからな」
sha「……じゃあ、なんで?」
rbr「……シャオロンがここにおるときの顔見たら……やめる方が、できんくなった」
そう言ってロボロは少し笑っていた。
sha「……責任、取ってよ」
冗談みたいな口調。
でも、目は真剣。
rbr「……ちゃんと取る」
rbr「……時間かかっても」
rbr「……ちゃんと向き合うよ」
sha「……ちゃんと?」
rbr「……恋とか……そういう名前、つけるのも含めて」
心臓が、跳ねる。
sha「……ずるいなあ」
笑いながら、目が潤む。
sha「……それ、もう……」
rbr「……せやな」 苦笑。
rbr「……せやけど、俺は急がんつもりでおるから。シャオロンのペースに合わせるよ」
sha「……じゃあ……それまでの俺は?」
rbr「……守る」 即答。
rbr「……医者としても……それ以外としても」
沈黙。
でも、苦しくない。
sha「……なあ、ロボロ」
rbr「ん?」
sha「……今日も、夜……来てくれる?」
rbr「ん、わかった。来るよ」
sha「ほんと!?じゃあ約束!忘れんとってな?」
rbr「約束する、忘れん」
シャオロンは、ゆっくり目を閉じる。
もう、不安はない。
ロボロは、その寝顔を見ながら、静かに思う。
rbr(……ここからは……もう絶対逃げん)
コメント
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うぁぁぁぁ、え?これだいぶ距離縮まったよね!?え!?そうだよね!?尊すぎんだよぉぉ、😇最近の楽しみがこの話になってきて幸せ。新年早々こんな神作品に出会えるだなんて、今年は大大大吉だ🙃