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守は、小百合に手を引かれホテルの駐車場前で立ち尽くしていた。体が固まったまま、
言葉も出ない。小百合の言葉が頭の中で繰り返される。
「小百合さん、ボクはこんなことのためにあなたに会いたかったわけじゃないんです。」
守は声を震わせながら、必死に言った。
小百合はその言葉にきょとんとした顔をした。
「そうなの?あのサイトで知り合うのはみんな体目的なんだよ。」
守はさらに戸惑い、顔を赤らめた。「ボクは、か、体目的じゃない。」
小百合は小さく笑いながら、守を見つめた。「え、まさか本気で恋愛したいとか思ってるの?」
守は真剣に答えた。「う、うん。」
その言葉を聞いた小百合は、突然大声で笑い出した。「きゃははは、そんなやついねーよ、バカか。」
守は唖然とし、言葉が出なかった。「え?」
小百合は手を組んで、目を細めた。
「おい、おっさん、あんたみたいなおっさんが若い女のこと恋愛できるわけねーだろ。鏡見ろよ。」
守はその言葉に胸を突かれた。「そ、そんな…」
小百合はさらに言葉を続ける。「少し課金したぐらいで本気の恋愛だと?ふざけんな。」
その言葉に守は震えるような感覚を覚えたが、
小百合は容赦なく手を引いてホテルの中へと引きずり込もうとした。
「ちょっと待って、なんで?」守は必死に抗おうとした。
「金だよ、あんたも私みたいな女子とやれるんだからいいだろ。」小百合は冷徹に言い放った。
守はその言葉を聞いて、胸が締め付けられる思いだった。「いや、待って。ボクはそういうんじゃない。」
そのとき、背後から冷たい声が響いた。「やっぱりな。」
守は驚いて振り向くと、そこには天城が立っていた。
「天城くん。」守は困惑の表情で言った。
小百合もその声に反応し、「え、なんでここに?」と驚いた。
天城は一歩近づき、小百合の左腕を掴んで袖をまくった。
そこには無数の痛々しいリストカットの跡があった。「これ、リストカットでしょ。」
小百合は顔を歪めて腕を引いた。「あなたに関係ないでしょ。」
守はその光景に驚き、「ど、どういうこと?」と聞き返す。
天城は少しため息をついた。「守さん、この子とどこで知り合ったんですか?出会い系?」
守は少し躊躇しながら答えた。「う、うん。」
天城はさらに続けた。「この子、有名人だよ。ホテルでやったが最後、そのあと、
この子の彼氏が出てきて『おれの女とやったな』とか言って脅してくる詐欺みたいなことやってるんだ。」
守は驚愕し、「え、そうなの?」と目を見開いた。
小百合は怒りに満ちた顔で天城に向かって叫んだ。「なんなのよあんた!私の邪魔する気?」
天城は無情に続けた。「ボクの友達もやられたんだ。
ツインテールのロリータ―ファッションで、左腕に無数のリストカットの傷あと、
探してんだよ君。警察行こうか?」
小百合はその言葉に顔色を変え、足元がふらついた。「ちょっと、離して…」
守はそのとき、すべてを悟った。天城は最初から知っていて、
小百合の本性を暴こうとしていたのだ。
「天城くん、最初から知っていて、ダブルデートに誘ったんだ…」守は心の中で気づき
胸が痛むのを感じた。
天城が小百合の手を掴んで引っ張ろうとすると、小百合はその場にしゃがみ込んだ。
天城の顔に冷たい汗がにじむ。「さあ、行くよ」と言いながら、小百合の腕を強引に引っ張ったが、
小百合はそのまま動かない。彼女の表情は一変し、目を見開いて天城を睨みつけた。
「泣いても無駄だからね」と天城が冷たく言ったその瞬間、
小百合が静かに口を開けた。「・・・すんな」その声に、守は一瞬耳を疑った。
「え?」
「私の邪魔すんな!!」突然、小百合は両手で天城の首を掴み、息を呑むような力で絞り込んだ。
「ぐっ!!」
その手の力強さに、守は驚愕した。小百合の顔が歪み、まるで別人のような形相になっていく。
「小百合さんやめて!!」
天城の目が見開かれ、苦しそうに喘いでいる。守は必死で小百合を引き離そうとするが、
彼女の腕の力は信じられないほど強かった。
「ダメだ、このままじゃ天城君が死んじゃう!!」守は必死になり、
小百合を引き剥がすために力を振り絞ったが、彼女はそのまま天城の首を締め続けている。
天城の顔が青ざめていくのを見て、守は震えながら声を上げた。
「やめろぉぉ!!」
その時、小百合の動きが止まった。
「はぁ、、、はぁ、、、、う、うっぷ、、、」
お腹と口を押え何か苦しそうにもがく小百合
「だ、大丈夫ですか?」
「う、、、うう、、」
(いったいどうしたっていうんだ?)
そして小百合の口から何かが出てきた。初めは小さなものだったが、次第にそれは膨らみ、
ドロドロした粘液に覆われた卵のようなものが口からあふれ出してきた。
「ぐえーっ!」という音と共に、粘液が床に滴り落ちる。
「ひぃいい!!」守は恐怖に震え、足を引きながら後退した。目の前で、
小百合の顔がどんどん変わっていくのを見て、頭が真っ白になった。
顔の皮膚が裂け、ハエのような不気味な顔が現れた。目の中には蛆のようなものがうごめき、
口からはまだ卵が吐き出されていた。
守はその場に凍りついた。「うぅわぁぁぁ」と、恐怖の声を上げた。
だが、その顔をどこかで見たことがあるような気がした。
「これ、何なんだ…?」守の頭は混乱していた。小百合はゆっくりと立ち上がり、
顔がますます恐ろしいものに変わっていく中、守に向かって近づいてきた。
英子の姿がどんどん変貌していく様子に、守の心は押し潰されそうになった。
息を呑むような気持ち悪さと、胸の奥に広がる恐怖が、彼を圧倒していった。
英子はじっと守を見つめ、その目には冷たい輝きが宿っていた。守はその目を見て、もう一度息を呑んだ。