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岡田は、自己満の中で歩んできた。正義を捨て、犯罪者を根絶するという名目で、数々の罪を重ねてきた。だが、その行動がついに彼にとって避けられない結末を迎えようとしていた。
一週間前、岡田が手を染めた取引の場面に、目撃者が現れた。かつての同僚だった藤田が、黙ってその様子を見守っていた。藤田は、岡田と共に捜査をしていた仲間だが、岡田がこのような道に進んだことに心を痛め、しばらく距離を置いていた。
だが、藤田が何をすべきか決断するのに時間はかからなかった。彼は岡田の行動を知り、警察内部に報告する決意を固めた。そしてついに、彼は証拠を持って、上司に告発することを決めた。
その日、岡田はいつも通りに警察署に出勤した。だが、彼の胸中には、もはや警察官としての使命感はほとんど残っていなかった。数ヶ月前には理想を抱えていた自分が、今では闇に沈んだ存在でしかなかった。周囲の人々の目が、岡田に向けられるたびに、彼は少しずつ疎外感を感じていた。警察の制服を着ることが、次第に重荷となっていた。
その日も、彼はいつものように無感情で事件報告書をまとめ、署内の仕事をこなしていた。しかし、午後の終わり頃、突然、署内の扉が開き、数人の警官が入ってきた。その中には、藤田の姿もあった。
「岡田…」
藤田の声には、どこか痛みが感じられた。
その瞬間、岡田の胸に冷たいものが走った。藤田が真剣であり、非難の色がはっきりと浮かんでいた。それが何を意味するのか、岡田は瞬時に理解した。
「お前が…」
岡田は立ち上がろうとしたが、藤田は無言で手を挙げ、彼を制した。
「岡田、逮捕する。」
藤田の言葉に、岡田は一瞬、世界が止まったかのように感じた。
「逮捕?」
岡田は淡々と返す。その声には、驚きも恐れもなかった。ただ、空虚な響きがあった。
藤田は頷いた。「お前は、警察の倫理に反する。それに、お前が関わった事件は、もはや隠しきれない。証拠も揃っている。」
岡田は一歩後退した。彼の心の中で、何かが崩れ落ちる音がした。それが正義であると思い込んでいた自分が、今や犯罪者となり、捕まる側になっている現実に、彼はただ愕然とするしかなかった。
「自分がしたことを、俺が許されると思っていたのか?」
彼の目には、冷徹な決意が宿っていた。それは、警察として正義を守ることに燃えていたあの頃の岡田ではなかった。今や彼は、もうその責任を感じることなく、自らの行動に無感情に向き合っていた。
藤田は手錠を取り出し、岡田の腕にかけた。彼の目には哀しみが滲んでいたが、それを表に出すことはなかった。
「ごめんな、岡田。でも、これはお前が選んだ道だ。」
藤田は静かに言った。
岡田はそれに対し、何も答えなかった。ただ、無表情で立ち尽くしていた。
その後、岡田は署内の控室に連行され、取調室に向かうことになった。彼はすでに知っていた。自分の罪がどれほど深いものか、そしてそれに対してどれだけの罰を受けなければならないか。だが、もはや後悔は感じていなかった。彼にとって、全てが終わったのだ。
取調室に座らされると、岡田は警察の捜査官たちに囲まれた。彼の過去の行動が、どれだけの犯罪を生み出したのかが、逐一、証拠を持って告げられた。
だが、岡田は黙ってそれを聞いていた。今更何を言っても、どうしようもないことを知っていたからだ。彼が犯したことは、もう取り返しのつかないものとなってしまっていた。
「お前がやったことが、裏切ったんだ。」
捜査官の一人が冷たく言った。岡田はその言葉に、何も感じることはなかった。彼はただ、目を伏せるだけだった。
「岡田、君が警察官であったことすら、今となっては無意味だ。」
藤田の声が遠くから響く。その言葉も、岡田の耳には届いていたが、彼の心にはもう何の響きもなかった。
彼の物語は、ここで終わりを迎えた。正義を求め、犯罪をなくすために踏み外した道。その結果が、今、この瞬間に全てを裏切り、破滅をもたらした。
岡田は、ただ静かにその後の運命を受け入れるだけだった。