⚠彰杏体調不良パロ⚠
・CP表現有
・体調不良
・両サイド視点有
大丈夫な方はお進みください。
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彰人の様子がおかしい。
今日は、冬弥とこはねが委員会の仕事で遅くなるらしいので、私と彰人の2人で先に練習をしていた。のだが……
「……彰人、大丈夫?」
「…………」
「彰人、、彰人ってば!」
「……ん?あ、悪ぃ……大丈夫だ。」
心做しか、いつもよりも歌にキレが無いように思える。集中力も無いし……本当に、今日はどうしたのだろう。
「ねえ、とりあえず休憩挟もう?ね?」
そう促してみても、
「……いや、オレはこのまま練習する。杏は休んでて大丈夫だ。」
と言って、頑なに練習を辞めようとしない。
こうなったらもう止められないのが、東雲彰人という男だ。だが、こんな状態で、ひとりで練習を続けさせる訳にもいかない。
「だめ。休むの。」
「いや、オレはまだ……」
「いやじゃない。休んで。」
「……分かったよ」
よくやく折れてくれた、安心安心。
ふらふらしながらこちらへ歩いてくる彰人が見えた。いや全然大丈夫じゃないじゃん。
そう思ったのも束の間。
「……っ」
苦しそうな顔をしながら、彰人が倒れるのが見えた。そこまで体調が悪かったとは流石に思わなかった。
「ちょ、彰人!彰人!!」
何度も呼びかけてみたが、返事はない。
どうしよう。とりあえずベットに入らせて、横にさせたいのだが……男子高校生1人ともなると、体格も違うし、軽々と運べる訳では無い。
「……あ。セカイ……」
急いでスマートフォンを開き、《UNTITLED》を押した。
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……今日はなんだか調子が悪い。
歌の調子もそうなのだが……1番は体の調子だ。なぜだか分からないが、物凄く体が重い。まるで、鉛を付けられているかのよう。風邪でも引いたのだろうか。
「……彰人、大丈夫?」
「彰人ってば!」
そんな杏の問いかけにも気づかないほどだった。
……そして、目の前が暗くなって、倒れてしまった。
不甲斐ない。よりにもよって好きな人に、こんな情けないところを見られてしまうなんて…
そんなことを考えながら、眠りに落ちた。
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「……人、彰人……」
「……ん……?」
「……あ、彰人……良かった……」
杏の声がした。……気を、失っていたのか。心配させてしまって申し訳ない……
ここは何処だろうか。見慣れない天井であることから、自室では無いことは分かった。そして周りを見て気がついた。洒落たBGM。料理をする音。ソファー。机に椅子。そしてマイク。機材。
「……セカイ?」
ようやく声を絞り出すと、ばたりとドアを開ける音がした。
そして、今度は聞き馴染みのある声。
「あ、彰人くん……起きた?良かった……私、これから用事があるのだけれど……2人で大丈夫?」
「あ、はい、分かりました。ありがとうございました……!」
そんな会話が聞こえる。さっきの声はMEIKOさんか。MEIKOさんにまで迷惑をかけてしまったなんて……
「……ん、、」
起き上がろうとしたその時、
「ちょっと彰人、起きちゃだめでしょ!病人はちゃんと寝てて!」
と制止されてしまった。
「……ねえ彰人、今日、いつから体調悪かったの?」
「えと、、朝、から……」
「それなら休まなきゃでしょ……もう……」
……杏に、心配させてしまった。
「……悪い」
「謝らないで。今、MEIKOさんが作ってくれたゼリー、取ってくるから。食べられる?あと、熱測ろうか。」
ばたりと部屋のドアが閉まる。自身の額に手を当てると、濡れたタオルがあるのが分かった。横を見ると、汗を拭いたであろうタオル、オレ自身の額に今付けている、冷えピタの箱。その他沢山の、病人を介抱する為の物が沢山置いてあった。
少しすると、杏が戻ってきた。
「……あ、彰人。大丈夫?休んでていいんだからね。」
「ゼリー、食べられる?他もあるから、ちょっと待ってね。その間に熱測っちゃうね。」
手際よく動いていく。なんだか本当に申し訳ない気持ちになってきた。
杏から差し出された体温計を、素直に脇に挟む。10秒ほど待つと、ピピピと音がした。表示された数字を見る。
「あ、熱測れた?何度?」
「……38.8」
「高熱じゃん!?」
朝からの不調の原因はこれか。
最近は歌の調子が悪く、寝ずに練習したり作曲したりする日が続いていた。徹夜なんてするものではないなと改めて思った。
「……ゼリー食べさせてあげるから、口開けて。食べ終わったら薬飲むんだよ。」
「いや、申し訳な……」
「いいから。ほら、あーん。」
杏に促され、仕方なく口を開ける。甘くて冷たい物が喉を通る。申し訳ないという気持ちが加速していく。全て食べ終わり、薬を飲んだ。
「……どう?少しは楽になった?」
「ああ……ありがとな」
「別に大丈夫だよ。もう少し体調が回復したら、家まで送っていくね。」
「……悪ぃ」
「気にすることないって!」
杏の優しさが心に染みる。
「……大丈夫そうだし、私、ちょっとMEIKOさん達に報告してくるから───────」
ああ、分かったと返事をしようと思ったのに、口が言うことを聞いてくれない。そして、オレの口から零れ出た言葉。
「……待って」
「行かないで……」
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「行かないで……」
……今、何が起きてる?彰人が、私の服の裾を掴んで……なんて言った?
「えと……彰人?」
彰人の傍に行った、その瞬間。
刹那。
私は、唇を奪われた。
「………へっ?」
理解が追いつかなくて。
彰人の瞳が私を捉え、訳が分からなくて。
「ちょ、彰人…!?何して……っ」
やっと、言葉を絞り出すことができた。
恐らく、耳まで真っ赤なんだろうな。
そんなことを考えていると、
「……杏。」
彰人の、緑がかった綺麗な瞳が私を離さない。
動けないでいると。
「……っふふ、」
「ははっははは、っ」
と、笑いだした。
訳も分からず目を泳がせていると、彰人が口を開いた。
「っ、悪ぃ悪ぃ、ちょっとからかっただけだ。」
そう言って笑った。
なんだよもう、と言おうとしたが、そこで気がついた。彰人の耳も、私と同じように真っ赤だった。
「ふふ、彰人、、耳まで真っ赤、っ」
「……人のこと言えねえからなお前」
耳まで真っ赤に染まっている彰人を見ていると、なんだか愛しい気持ちになって。
恥ずかしく感じると同時に、少し嬉しい気持ちが湧いてきた。
「……それじゃ、彰人も大丈夫そうだし、家まで送ろうか。立てる?」
「……ん、、」
彼の体を支えるために、少し屈んで、彼の背中と肩に手を回した時だった。
「……ありがとな」
いつもの彰人からは考えられない、小さな声。
照れてるんだろうな。
「っふふ、どういたしましてっ」
その日は、彰人を家まで送ったあと、冬弥とこはねと合流して、練習に励んだ。
家に帰ってから、彰人との会話を思い出しては、耳を真っ赤に染め上げていた杏がいたのは、また別のお話。
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「……は?杏が?」
翌日。昨日の杏の介抱のおかげか、体調が回復したので、杏にお礼を言おうと思っていた時。
こはねから電話がかかってきたので、何事かと思ったら……
「うん。昨日の東雲くんの風邪が、移っちゃったみたいだね。東雲くん、何か心当たりある?」
「……いや、ないな。」
「そっか。まあどちらにせよ、東雲くんは悪くないから、気にしなくて大丈夫だと思うよ。今日、練習の前に、杏ちゃんのお家にお見舞いに行こう?」
「そうだな、うん。そうしよう。」
「良かった。それじゃあ、またあとでね。」
そこで電話が切れた。
電話ではなんとか誤魔化すことが出来たのだが…
「……彰人」
「なんだよ」
「……本当に、心当たりがないのか?」
「……」
「まさか、白石に変なことしていないだろうな?」
相棒となると、なんでも分かってしまうらしい。若干嬉しく感じると同時に、恥ずかしく感じる。
今日、練習前に見舞いに行った時は、杏に謝り倒そうと改めて思った。
END
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いや小説書くの苦手なんですって(小説家志望)
表現下手くそなのは許してください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
(もしかしたら続編もあるかも……?)
コメント
6件
そこで杏ちゃんを病気で亡くしてしまう展開とかどうです???ねぇねぇねぇねぇ
あんちゃん編もみたいです!