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いるまちゃんが好きだ。見た目とのギャップ。可愛いものが好きで部屋にたくさん飾っているところ。俺の作ったご飯を美味しそうに食べてくれるところ。負けず嫌いなところ。 いるまちゃんの良いところ、悪いところも全てが愛おしく感じてしまう。
だが最近、大好きないるまに不満がある。
「……まーたその子抱いてる」
そんなすちの思いも知らずにソファーでスピスピと眠るいるま。その腕の中には大きめのクマのぬいぐるみがいた。
なんの害も無さそうなこのクマのぬいぐるみがすちの不満の種であった。
先日、ゲームセンターのクレーンゲームで見かけたクマのぬいぐるみ。残っていた紫色のモチーフのクマは何となく、いるまの事を思わせた。
取ったら喜んでくれるかな、そんな思いでクレーンゲームに挑戦した。少し手こずっていますしまったが、無事にお迎えすることができた。
すちの部屋のソファーにそれを置いておくとそれを見つけたいるまの反応はとても可愛かった。
「なに、コイツ……かわい」
「すちがとったん?え〜、かわいい……」
反応は控えめだが、キラキラと目を輝かせてムギュムギュとクマのぬいぐるみを抱きしめ、喜んでいたことは一目瞭然だった。その反応も始めの内は可愛いとニコニコと眺める余裕があった。
だが、いつもなのだ。そのクマがいるまの腕の中にいるのは。テレビをみているときも、2人でダラダラと話す時も、寝る時も。
すちに対してそんなくっつくことは無いのにぬいぐるみは当たり前のようにそのポジションに鎮座しており、すちの嫉妬心は募るばかりであった。
「ねー、いるまちゃんその子貸して?」
「え、やだ。いま癒されてんの〜」
「それ俺のなんだけど、」
「……だめ?」
「ッ、だめ、じゃナイデス」
距離をとらせようともしたが、可愛いいるまの姿に強行突破はできずにいた。
しかし、すちも男だ。いつまでも可愛いだけでは流されない時もあるのだ。
「……いるまちゃんが悪いんだよ」
そーっと腕の中にいるぬいぐるみを抜きとる。抱きしめるものがなくなり、いるまは寝心地が悪くなったのかしかめた顔を浮かべた。
「ふっ、こわい顔」
「……かわいいなぁ」
しかめた顔をほぐそうと眉間を撫でると段々と穏やかな表情に戻っていく。そしてゆっくりと目を覚ました。微睡んだ瞳ですちを見つめる。
「すっち、?くまは、?」
「……俺じゃだめ?」
「ん〜、?だめじゃない、」
「おいで、」
ぬいぐるみが腕の中に居ない事に気がつくと存在を確認をするが、寝ぼけているのか、いない事に対して機嫌を損ねることはなく代わりにすちを腕の中に招きこもうとする。
腕を拡げてハグを待ついるまを抱きしめて二人で眠りについた。
いるまがすちに甘えたい変わりにぬいぐるみを代用していることはまた別の話。