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突如どこからともなくベツレヘムが現れる。ベツレヘムのしっぽは小さく先が揺れており、どうやら怒っているようだった。

ベツレヘム「自分達が誰を殺し、誰を殺していないかすら覚えていられないんですか?」

マリア「ベツ…。」

男達「お前は…!あの時の…!」

ベツレヘムはただただ黙って片方の男の首にナイフを突きつける。

ベツレヘム「私の質問に答えて貰えますか?…それとも、そんなことも答えられないくらい可愛らしい脳みそなんでしょうか?頭を開いて確かめてあげましょうか。」

刺したはずの男がゆらゆらと立ち上がり、ベツレヘムに銃を向け弾丸を放つ。

マリア「ベツ!」

マリアの心配とは裏腹に、ベツレヘムはその牙で、弾丸を受け止める。

刺された男「あ、あああ…ありえない…!」

ベツレヘム「人間ならでしょう?人間に獣人が勝てるとでも?貴方の名前は覚えていますよ。アロン。かつて私があの日取り逃した相手。私は、殺した相手の名前も覚えている。テッセに、ヴォンに…ああ、1人は女性でしたね。ヴェロニカ。」

ベツレヘムのスカートの隙間から、ちらりと『2枚の赤い羽根』がついたリングが見える。

アロン「赤い羽根…お前は…!」

ベツレヘムはアロンの返事を待たず、容赦なくもう一度ナイフを突き刺す。そして残りの2人に話しかける。

ベツレヘム「まとめてかかってきてください。」

マリア「…私はどうしたら…」

ベツレヘムはただマリアに優しい笑みを浮かべただけだった。それでもマリアには守っててと言ってるように聞こえた。

マリア「分かったわ」

だからそう返事をした。


どれくらいの時間が経ったか、1人の男の許しを乞う声が聞こえる。

残党の男「も、もう許してくれ…!俺は下っ端で命令されただけなんだ…!も、もう近づかないから…!」

ベツレヘム「私の機嫌が変わらないうちに行ってどうぞ。二度と私の命の恩人”達”に近づかないで、侮辱もしないで…!」

そう言うと残党は研究所の外にかけ出す。

マリア「ベツ!逃がしたりなんかしたら…」

ベツレヘム「大丈夫、マリア。あれは油断をさせるためのただの口上だから。私追いかけてくるね。」

そう言ってベツレヘムは走り出す。

マリア「あ、ちょっと…!全く…あのこは…」

アカネ「ご、ごめんなさい母さん。あの…皆を避難させようと思ったのですが、ノアさんの姿が見当たらなくて…」

マリア「怒ってないから大丈夫よ。私の説明不足だったわごめんね。」

そう言ってマリアはアカネの頭を撫でる。

マリア「…もう出てきても大丈夫よ。」

マリアはジーク達に話しかける。するとアカネがとてとてと歩き木箱の蓋を開ける。その音を聞いたジークはさっとナイフを上着にしまう。

アリィ「眩しい…!」

アカネ「ごめんなさい、ここしか隠し場所がなかったんです。」

マリア「大丈夫?しばらく時間かかりそう?」

アリィ「ううん、もう大丈夫になってきた。」

そう言ってアリィは目をぱちぱちとする。

マリア「意外と順応が早いのね。」

アリィ「…助けてくれてありがとう。」

マリア「ええ。」

マリア「ごめんなさい、私少しノアを探してくるわ。」

アカネ「分かりました。」

ジーク「…ああ。」

アリィ「…ねぇアカネくん。…どうして助けてくれたの?」

アカネ「…貴方達が指名手配者なのはベツさんから聞いていました。アリィさんが悪魔ということもジークさんが殺人を犯しているということも。」

ジーク「アリィは…!」

アカネ「もちろん、アリィさんが悪魔じゃないことも分かっています。」

アリィ「え…?」

アカネ「…私のモチーフ元であるアカネ君は…貴方と同じ理由で殺されました。」

ジーク「馬鹿な宗教って…」

アカネ「はい。…世界的に進行されている宗教。イドゥン教に殺されたんです。」

アリィ「…元のアカネ君は魔法が使えたの?私みたいに…」

アカネ「はい。」

ジーク「…だから助けてくれたのか?」

アカネ「そうです。」

ジーク「アリィを守ってくれたのは分かったが…俺は…」

ベツレヘム「子供が殺人なんてただ事じゃないって正常のヒトなら分かりますよ。」

ジークが疑問を投げかけると、部屋に入ってきたベツレヘムが答える。

アリィ「ベツ…さん…?」

ベツレヘム「はい。どうかしましたか?」

アリィ「ず、随分もふもふになったね…。」

ベツレヘム「え?あっ!これですか?」

アリィ達がベツレヘムを見ると、ベツレヘムの肌が見えていた場所は毛で覆われており、動物に近い姿になっていた。

ジーク「…原種だったのか…」

アリィ「原種?他にも種類があるの?」

ジーク「ああ。原種がベツレヘムみたいな特徴で、もう1つは亜種がいる。」

ベツレヘム「マリアは亜種なんですよー。」

ジーク「原種は最近めっきり見なくなったけどな。」

ベツレヘム「自分が原種という自覚が無いだけの子なら割と居ますよ。」

ジーク「そうだったのか…それは初めて知った。」

アリィ「なんで自覚がないの?」

ベツレヘム「戦う必要があることがめっきり少なくなったからですよ。」

アリィ「なるほど…」

ベツレヘム「私はたまたま自覚があっただけです。」

アリィ「も、もふもふしてもいい…?」

ベツレヘム「そ、それはくすぐったいので…お、お手柔らかに…」

アリィ「わーい!」

ジーク「どういう状況なのか分かってるのかお前は…」


ポルポル「ギ?」

マリア「んふふ…ずいぶん…んふっ…可愛らしい…ふふっ…」

ポルポル「ギッ」

マリア「圧縮装置付きバッグって聞いたからもっと無骨な感じかと…んあははっ…!」

ポルポルは、ヒトの姿に戻りマリアに文句を言う

ノア「ちょっと。ヒトの姿に文句言うなんて、失礼なんじゃないの?」

マリア「だって…ふふっ」

ノア「はぁ…こっちのが効率いいんだよ。あの姿は魔力消費が極端に減るんだ。休眠と言ってもいい。それにこれならイドゥン教に、アヴィニア人だってバレないしぬいぐるみのフリを…」

ノアの説明など露知らずマリアは笑い続ける。

マリア「あははっ!」

ノア「…もうっ!」

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