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イドゥン教の襲撃があったあと、すぐにマリアとベツレヘムは村の様子を見に行くことになった。
アリィ「…置いてかれちゃったね…」
ジーク「…」
アリィ「ジーク?」
ジーク「あ、いや…そうだな…」
アリィ「…ねぇ。」
ジーク「?」
アリィ「『赤い羽根』ってなに?」
ジーク「『赤い羽根』は…傭兵フェニックスの象徴だ。」
アリィ「傭兵…でもベツさんはハンターじゃ…」
ジーク「…だから分からないんだ。傭兵フェニックス自体ものすごく情報が少ないんだ。俺には…ベツさんがどういう存在か分からない。」
アリィ「フェニックス自体も…?」
ジーク「ああ…。」
アリィ「一体ベツさんは何者なんだろうね…。」
ジーク「マリアさんはアリィに手を出してくることは無いだろう。」
アリィ「アカネ君は…私と同じ…」
ジーク「ああ。…問題はベツさんだ…。」
アリィ「この町は訳ありの人達がいっぱい居るんだよね?なら傭兵フェニックスのことを知ってる人もいるかも!」
ジーク「…あ。どうして気づかなかったんだ…。」
アリィ「皆に聞きに行こうよ!ついでに困ってるなら助けてあげるとかさ。魔法はようは見られなければいいんだし…」
ジーク「アリィはそれでいいのか?」
アリィ「私なら大丈夫。」
ジーク「分かった。それじゃあ行こう。その前にノアに一言、言わないと。」
アリィ「分かった!」
ノア(1人になっちゃったな…いや、アカネ君は居るのか…でも家事してるみたいだし邪魔しちゃ悪いかな…)
ノアが手に握っていたタンポポが枯れる。枯れたタンポポを見てノアはため息をつく。
ノア「…はぁ…。」
「『アヴィニア人は悪を煮詰めた種族』…か。…はは。」
ノアの乾いた笑い声が広い研究所に響く。
「同族のことでも考えてるのか?」
ノア「うわぁっ!?びっくりしたぁ!?」
ノアが驚いて振り向くと、そこにはイニディア村に入った時門前払いをしようとした男が立っていた。
「言っとくが、俺は何度か呼んでたぞ。きちんとアカネから正式に通されてる。」
ノアは驚きながらも男に対して構える。
カイオス「そう警戒するな。俺の名前はカイオス。傭兵『フェニックス』の一員だ。…ほぼ、”元”に近いがな。」
そう言ってカイオスは2枚の赤い羽がついたリングを見せる。
ノア「『フェニックス』…!…まさかこの小さな村に2人も居たなんて…。そうお目にかかれないはずなんだけど…」
カイオス「ベツから聞いたのか?」
ノア「直接聞いたわけじゃないけどね。」
カイオス「そうか。ここは訳ありだらけの村なのは知ってるよな?」
ノア「療養中に聞いたよ。」
カイオス「そうか。だからこそ、フェニックスが2人も居るんだ。護衛のためにな。」
ノア「…一体何しに来たの?」
カイオス「単刀直入に言う。あの二人からは離れてくれ。」
ノア「…どうして?」
カイオス「…最早アヴィニア人の悪い噂は独り歩きしていて止められない。」
ノア「ボクの身を案じて門前払いしようとしたの?あの子達なら大丈夫。1人は悪魔として迫害された子だ。」
カイオス「そうかもしれないが…お前は子供を巻き込むつもりか?」
カイオスがそう聞くとノアは確信を突かれたような顔をする。
ノア「…巻き込むつもりはないよ。ただあの魔法が使える子から僅かな魔力を貰うだけ。それも気づかないレベルの。」
カイオス「回復したらどうするんだ?」
ノア「…ただ故郷に帰りたい。」
カイオス「…それは…」
ノア「…色々疲れたんだ。…もうただただ、故郷に帰って仲間と一緒に眠りたい。…死にたい訳じゃないんだけどさ。」
カイオス「…そうか。」
ノア「止めないの?」
カイオス「部外者が口を出すことじゃない。…故郷を滅ぼされたお前のことを思ったら止められるものでもない。」
ノア「…そう。」
カイオス「…いつか俺の力が必要になったら呼んでくれ。アヴィニア人なら出来るだろ?」
ノア「手を貸してくれるの?」
カイオス「フェニックスだからな。フェニックスの想いは変わらないし、死なない。」
ノア「…変わらないね。でも…アヴィニア人として、ボク1人で”復讐”したい。」
カイオス「…そうか。…置いてかれる側の気持ちも忘れるなよ。」
ノア「…。」
アリィ「はぁ〜。もう全然だめだぁー!」
ジーク「壊滅だな…。」
アリィ「後他に聞いてない人っていうと…門前払いしようとした人?」
ジーク「げぇっ!?あいつに聞くのか!?」
アリィ「聞けるなら聞いておきたいよ。まぁでもどこにいるか分からないけれどね…。」
ジーク「アリィの魔法でどうにかならないか?」
アリィ「無理無理。今でも使い方がよく分かっていないんだもの。」
ジーク「そうかぁ…。」
ベツレヘム&マリア「あ。」
ジーク&アリィ「あ。」
ジーク達が歩いていると、ベツレヘム達と鉢合わせをする。
アリィがジークにこっそり耳打ちをする。
アリィ「もう本人に聞くしかないよ!」
ジーク「えぇ!?」
マリア「き、聞こえてるわよ〜…」
アリィ&ジーク「あ…」
マリア「今度から離れたところでお話するのをオススメするわ…。」
アリィ「ご、ごめんなさい…。」
マリア「大丈夫よ、怒ってないわ。誰にだって隠し事の1つや2つあるものよ。」
ベツレヘム「なにか私達に用ですか?」
アリィ「え、えっと…その…」
ベツレヘム「?」
アリィ「ふぇ、フェニックスのことが知りたくて…!」
ベツレヘム「フェニックスのことですか。いいですよ。」
ジーク「えっ!?」
ベツレヘム「どうかしました?」
ジーク「い、いやそんなあっさり教えてくれるとは…。」
ベツレヘム「確かにフェニックスは情報が少ないですからね。まぁそれも理由があるんですが…貴方達なら大丈夫だと思いまして。」
アリィ「なるほど…。」
ベツレヘム「…傭兵フェニックスは、…『アヴィニア人』に忠誠を誓う傭兵集団です。そして悪魔の一切を担っています。」
ジーク&アリィ「『アヴィニア人』!?」
ジーク「って…アリィも『アヴィニア人』を知ってるのか!?」
アリィ「う、うん。…おとぎ話によく出てくるんだ。」
ジーク「ああなるほど…。」
アリィ「おとぎ話に出てくるアヴィニア人はいつも悪者なんだ。でも良い話がひとつもないなんて変な話だよね。皆いい所も悪い所もあるはずなのに…。」
ベツレヘム「アリィさんは素敵な観点をお持ちなんですね。」
そう言ってベツレヘムはアリィの頭を撫でる。
アリィ「えへへ…」
アリィは撫でられてはにかんでいた。
アリィ「ジークは、アヴィニア人のこと知ってるの?」
ジーク「ん、あぁ…見たことは無いが…。噂程度だよ。」
アリィ「噂?」
ジーク「あまりいい噂じゃないが…アヴィニア人が居る場所にはいずれ災厄が降り注ぐんだとさ。迷信だよ。」
ベツレヘム「…ジークさんはアヴィニア人のことをどう思ってるんですか?」
ジーク「どう思うもなにも本人達に会っていないのに、一概に言える訳ないだろう。迷信も根拠も無いし。…まぁ絶滅したって話もあるがな。実際どうなんだ?」
ベツレヘム「ごめんなさい。それは言えないんです。でも絶滅してようがいまいが、フェニックスの想いは死にません。」
ジーク「…そうか。」
ベツレヘムがぽつりと呟く。
ベツレヘム「…皆ジークさんやアリィさんのようだったら良かったのに。」
アリィ「悪魔の一切って?」
ベツレヘム「討伐…とかですね。あまり言えない仕事が多いんです。まぁ最も私は”元”ですがね。」
アリィ「そうなんだ…。」
ベツレヘム(この子達にアヴィニア人の問題は…重たすぎる。…知らない方が幸せだよね。)