こんにちはミラです。
最近ギャラリアという曲の「どうかどうか与えて 人並みを与えて 何もないから何もできず 空想塔を腐らすのか」って歌詞が身に沁みます。…特に「どうかどうか与えて 人並みを与えて」の部分。
本当に人並みのことが人並みにできるようになりたい。
あぁ、先に言っておきますが現実に黒金なんてものは存在しませんね。白金は存在しますが。
※この物語はどの話からでも読める一話完結型ではございません。プロローグから順を追って読んでいただかないと意味がわからないと思います。
悪役令嬢が悪行の限りを尽くして何が悪い
【第1章 ー悪役令嬢が奴隷拾ったら大抵実はその奴隷滅茶苦茶イケメンだよねー】
〈第5話 その女神、怜悧狡猾につき〉
後から気になったことをフロエに色々と聞いた話によると、さまざまな背景が浮かび上がってきた。
まず流通貨幣について。
この国では江戸時代の貨幣制度に似た方法をとっているとのことだった。つまり札のような預入金額証明書からの発展ではなく、純粋な金属の価値に依存した貨幣だということだ。
詳しくは価値の低いものから順に
鉄銭 ・・・大半の庶民はこれだけで生活している。
[小銅貨] ・・・鉄銭1000枚分
庶民からすれば1万円札くらいの感覚 小金持ちくらいにならないと使わない。
[大銅貨]・・・小銅貨10枚分
庶民からすれば10万円札の束くらいの感覚。街一番の長者などがよく使う。
[小銀貨 ]・・・大銅貨100枚分
庶民の街に通常流通しているのは高くてもここまで。ここからは貴族の領域。小銀貨を持っていれば普通の庶民だと怖くて外出できない、震える。
[大銀貨]・・・小銀貨10枚分
ちょっとお金に余裕のある子爵、男爵、また少々お家の傾いた伯爵家が日常的に使う。
[小金貨]・・・大銀貨100枚分
ここの硬貨を日常的に使えるのが国全体で見た時の富豪の中でも中堅どころの人達。まぁ殆どの貴族が小金貨を使う。
[大金貨]・・・小金貨10枚分
大半の貴族からすればちょっと使うのに勇気のいる金額。いや、見栄を張っているだけで一世一代の大勝負に出たりするときなどにしか使わない。例えば告白のときの婚約指輪を買う、とか。実質のトップエクスペンシブ。
ーここから先は別格ー
ここから先の貨幣は国でも、いや、世界規模で見てもトップクラスの富豪しかもたない特別な貨幣。今までの貨幣は純粋な金銀銅ではなく、国内状況や財政に合わせて国が含有貴金属量を調整できる貨幣である。つまり貴金属を含む割合が多ければ多いほど純粋に価値は上がっていくので、国の決めた含有量によって円高円安のような状況が起こる。
簡単に説明すると、金を含む割合が8割だった時は海外のお金8万円分と交換できていたのに、外国への金流出対策で含有量が6割になったら6万円分としか交換できなくなった。みたいなことが当然起こる。
しかしここから先の貨幣は「別格」である。そう、純然たる一つの貴金属でしか構成されていないのだ。つまり世界共通の貨幣、しかも金は採掘量に限界がある故価値が下がることはない、むしろ年々上がり続けている。そんな貨幣である。
純金貨・・・純粋な金の塊
白金貨・・・純然な白金の塊。通称プラチナ。金より希少度が高い。
黒金貨・・・純然な黒金の塊。非常に希少価値が高く、最早それだけで美術館に飾られてもおかしくないレベル。感覚的には凄く大きいダイヤモンド。
(そして私がおじさんに渡された袋の中には大金貨が9割、純金貨が1割…ふっ、おじさんは頭がおかしいのかしら。お小遣い制になった理由を考慮すれば…いやでも多すぎると思う、この年齢の子供には多すぎると思う。まぁ?対象が私となれば若干少ないくらいだけれど?もっと寄越せ、白金貨くらい出せよ。なんて爪の先程だけ思ったり思わなかったり。思ってないけど。
貴族のくせしてお小遣い制となったのはヴァンデミアの愛されすぎが原因だそう。両親二人ともヴァンデミアにガバガバお金を使ってしまい一時期家が傾くかもしれない、となったとき金庫番の執事に金額制限をかけられたそうだ。要するにヴァンデミアにかけていいお金を月ごとに決めたのだ。そう、最初は両親に対する規制だった。故に今渡された金額とは比べ物にならないくらい上限が高かったらしい。その後ヴァンデミアがドレスやアクセサリー類に興味を持ち始めたため、ヴァンデミアが自由に使えるお金を作ろうというコンセプトに切り替わった。そして子供がお金に慣れる為の金額として上限が大幅に引き下げられたのだ。因みに両親は自分たちの時とそっくりそのままの金額をヴァンデミアに渡そうとしたらしい、ちょっと頭のネジが…
と、いうか絶対これで使ってない分殆どメイド共にせしめられてたわよね。メイドもまぁ家族の為に沢山仕送りしてあげたいとか、ちょっと奮発して綺麗なドレスを買ってみたいとか理由はあったのでしょうけど今貰っている給金で満足できないのなら死ぬ気で働くべきだったわね。ここはホワイトだから仕事のできる人ほど給金が高いのは目に見えてわかる。だって仕事のできる母付きの専任メイドの大半と、ベテランメイドは肌艶がいいし、しれっと高価な髪留めとかつけてるし。)
「フロエ、書けたわ。侍女長にもう一度確認を取って、これをダイナ亭の主人に。」
(さっきフロエに都で一番大きな飲食店を聞いたらダイナ亭だって言ってたからまぁここでいいでしょう。
あのメイドにはきっちり返して貰うわよ…勿論利息付きでね!)
「…うちのお嬢様ってこんな方でしたっけ。」
侍女長室にてフロエがぽそっと呟く。
「いいえ、もっと。もっと…。少しばかり頭の弱い方だったわ。」
「ですよね。」
「でもお嬢様の紹介状、中々な内容よ。」
「え、少し見てもいいですか。」
「ええ、ほら。」
侍女長が手元の紙をフロエの方に向けて見せる。フロエは覗き込むようにて紹介状の内容を読んでいたが読み終えると『うわぁ…』という顔をして黙りこんだ。
そこに記してあったのはだいたい以下のような内容である。
・まず今回騒動を起こしたメイドをダイナ亭で是非雇って欲しいということ。
・職務内容の指定はなく雑用から接客までなんでもやらせて良いということ。
・職員寮住まいで食費、家賃代、水道費、光熱費等の生活費を引いた残り全ての給金はヴァンデミアへと支払うこと。
・生活費は絶対にメイドへ現金のまま渡さないこと。
・契約期間はヴァンデミアへの支払い額が大金貨2枚分に達するまで。そこから先は先方と当人に任せる。
要するに、メイドには別の場所で労働をさせてその分発生した給金は全てヴァンデミアが貰うと言っているのだ。
フロエと侍女長は顔を見合わせる。
「これは…えぐいですね。」
「そうね。えぐいわね。」
「あ、お嬢様より侍女長に伝言を預かっていたのでした。今回の紹介状の内容は、絶対にメイドたちに漏らさないように。とのことです。」
「怖…絶対逃がさないつもりなのね…」
「私も、今これほどまでに真面目に生きてきてよかったと思った瞬間はありませんよ。」
「ほんとね…」
二人してガタガタ震えるフロエと侍女長であった。
続く。
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【次回】
超俺様なイケメン襲来!!
ヴァンデミア、寝巻き姿を見られちゃって…⁈
どうするヴァンデミア!
次回、「その天使、邪智暴虐につき」乞うご期待!
宣伝・・・
もう一作一次創作を同時進行する予定なので、そちらも投稿されたら是非読んでみてくれると嬉しいです!
家族にも人にも、蔑まれ、虐められ、挙句の果てに捨てられた忌子が最強の吸血鬼のお姫様に拾われるお話です。お姫様は普段とっても怖いけど、どこか情を捨て切れずに優しいところもある素敵なナイスウーマンです。お姫様といってもマフィアのボスのような貫禄と、大柄な身体、鋭い眼光をもつ女王のようなキャラクターです。そっちのお話もよろしくお願いします!
コメント
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お金の価値の説明が終わった後のヴァンデミアの()の所の、爪に先程だけ。の所何ですけど爪の先程だけ。ではないでしょうか。合ってたら申し訳ありません…。 おじさん、お小遣い多くありません…?ヴァンデミアが愛されてるのもありますけど、それでも大金貨が九割だなんて…。頭のネジ吹っ飛んでるわね。きっと。