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「キヨくん先シャワー入ってきなよ」
レトさんは右肩、俺は左肩が
同じ様に雨に打たれている
けどそれは俺と会わなかったら成り得なかった事だから、 少し罪悪感を覚えていた
『や、それはレトさん先っしょ』
『上がらせてもらっているのに悪いよ』
「いやいや、俺マジでいいから先で良いよ」
『本当にいいの?』
『ジャンケンでもする?』
「ジャンケンしても俺負けるだろ。ほら早よ入り」
俺がいつもやるチョキからパーにする手法を下手ながらも真似しながらレトさんはクローゼットの方へ向かう
「洗面所のとこに着替えとか置いとくから」
『ごめん、ありがとう』
俺はお礼を言い、風呂場に向かった
…
シャワーの飛沫が異様に気持ち良い
『ふぅ…』
レトさん、なんか優しいな
いつもとはまた違う、むず痒い様な優しさというか…
ま、それはそうとして
早く出ないとないけないのだ
レトさんも早く入りたいだろうし
『ここに来れたのも本当雨様様なんだよなぁ…』
と、思わず小声で囁いた言葉は
思った以上に風呂場の壁に反射してよく聞こえた。
それを聞き、自分の気持ちを再確認してしまって、少し顔が赤くなった気がした
これ以上風呂場に居るともっと顔が赤くなる!、と思い 風呂場のドアを開ける
「へ」
『…あ』
そこには俺の為に、着替えやタオルを置いていた レトさんが居た
この状況に耐えられなくなって
バタン!とすぐ風呂場のドアを閉めた
『ごめん!!急に開けちゃった …』
『あの…着替えとか、ありがと』と
風呂場のドアをちょっと開け、その 隙間に顔を出して言う
レトさんの顔は隠れて見えないまま
「ぜ、全然大丈夫!俺もごめん」
と言い残し、出ていってしまった
はぁ、恥ずかしくて死にそうだ
メンバーと一緒に温泉とか行った事あるけど、それとこれでは状況が違う
ましてやレトさんは、今は俺の好きな人だ
そして俺は風呂場で爆弾発言をしたのを忘れていなかった
聞こえている保証はないけど、聞こえていない保証もない
最悪な展開になっている気がするが、
俺の都合のいい様に思考を持って行き、
持ってきてくれた着替えを着て、 リビングへ向かった
…
『レトさーんお先ありがとー』
『さっきごめん、俺急にドア開けちゃったから』
何も気にして無い様に振る舞うと、
レトさんは何も気にしてない様で別に大丈夫と言ってくれた
見向きもされていないのが目に見えていて少し引き攣った笑顔になってしまったかもしれない。
「じゃあ、俺も入ってくるね」
『うぃ〜』
さっきの聞こえてた?って
レトさんに聞くべきだったのか?
頭の中でぐるぐると回る思考
もうとりあえずこのまま安泰に終われ、と心の中で誰かに願いながら 1人ソファに寄りかかった
借りたTシャツからはレトさんの匂いがする
落ち着く匂い
…俺の好きな匂い
こんな彼シャツもどき、
『…最初で最後だろ』
その香りに当てられたのか
俺はすっと目を閉じた
25/3/11 修正