「ジェイド!付き合って!」
「無理です」
笑顔で断られた…。
コレで何回目だっけ?
あ、どうもこんにちは。
告白回数三桁のラブマスター、ユメです。
前世では普通の女子高生だったのに、
気がついたらこのツイステ世界で、
しかもオクタヴィネル寮の人魚として転生してました。
ちなみに現在、絶賛片思い中のお相手は――
「今日も爽やかに振られてたね、ユメちゃん」
「ユメもよく飽きねーよね~。その根性、ちょっとオレに分けてよ」
――はい。アズールとフロイドです。
ご存じ、オクタの問題児トリオ(自己申告)。
そして、毎日私に塩対応だけど、
笑顔はマジで100点満点でズルい幼馴染……
「ジェイド・リーチ」
好き。ほんと好き。ずっと好き。
何百回だって告白できる。
それが私の「愛」だから!
「ジェイドー! 今日もかっこいいよー!!」
「それはどうも。ですが、その発言をするならせめて
廊下の端でお願いします。通行の邪魔ですので」
はぁ~~……冷たいのに礼儀正しいとこも好き。
でも、ジェイドはずっと変わらない。
小さいころからずっと、どれだけ私が好きを伝えても、
毎回にっこり笑って「無理です」の一点張り。
振られた数、数えるのやめたあたりから
思考もだいぶバグってきた気がする。
でも、アズールが言ってた。
「ユメ、まさかとは思うけど……ジェイドの気を引きたくて、
いろんな男の子に声かけたりしてないよね?」
「え? いや、別に?たまには恋愛の研究として
ちょっと距離感測ってみたりはしてるけど……なんで?」
「はぁ……やっぱり気づいてないんだね、ジェイドのアレに」
「アレ?」
アズールとフロイドが顔を見合わせて
溜め息ついたのは気のせいじゃない。
……最近、妙に周囲の人魚男子が
私から距離を取ってる気がする。
もしかして、私が重すぎて引かれてる……?
ううん、違う。なんかこう、気配を感じる。
深海のような、冷たいけど鋭く刺さるような「視線」。
(まさかね。ジェイドが……?)
ないない。それなら、なんで告白受けてくれないの。
「ジェイド、今日も言うね。
好き、大好き。付き合ってほしい!」
「……無理です」
今日もダメだった。
…そろそろ、潮時かな。
監督生が来るまでにダメだったら、
陸に上がろうって決めてた。
私を、ジェイドが見てくれないのなら――
いっそ姿を消すしかない、って。
「なあ、ジェイド」
「……なんですか、フロイド」
「ユメちゃんさ、もうすぐいなくなるっぽいよ?」
「…………え?」
「まったく……。貴方、そろそろ
素直にならないと後悔しますよ?」
アズールの声が、いつになく静かだった。
……ジェイドの表情が、少しだけ、曇った気がした。
気のせい?いや、私の知らないジェイドの顔だった。
🐚To be continued…