テラーノベル
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「ナニコレ……私のアカウントが……炎上どころでないんだけど……」
「これだ……奴隷家政婦…フォロワー数、再投稿、コメント……どんどん数字が増え続けている……」
二人はお互いのスマホを覗いてから
「こっ、こんなフェイク…こんな女の作り話に騙されないでっ!」
遥香が悲痛な叫びをカメラに向けた。
「フェイクなんかじゃない。今日のアナタたちの言葉も……ここにある」
私はワンピースのポケットからボイスレコーダーを取り出すと、再生出来るように操作をする。
「盗聴ってことか?おいっ!そんなことしていいと思っているのか?」
「自分の身を守るためです」
「はぁ?どういう言い訳?」
焦る池田に応えた私に、噛みつく勢いで吠える遥香…強気でいられるのも、ここまでよ。
「アナタの婚約者が、何度も私に愛人になれと言ったり、お尻を触ったりするものですから、身を守るため…」
「愛人になれ?こんな女に?亮一が言ったの?」
池田に掴みかかる勢いで遥香が言うものだから、音声の再生が出来ない。
カメラに音を拾って欲しいのに……その前にバカな二人は自爆を開始した。
「冗談だよ、ただの冗談」
「ただの冗談を何度も言う?おかしいでしょ?しかも昔の知り合いでしょ?黒じゃない⁉」
両手でドーンと……体重を乗せて池田を突き飛ばした遥香のスマホが、おかしな音を立てて落ちる。
けれども二人はそんなことを気にすることなく、ヒートアップした。
「昔のことまで言って何になる?はぁ?遥香こそ中学の通学電車で、されてもいない痴漢をされたと言って冤罪事件を起こすような、嘘を簡単に吐く女だろ?」
「何ですってっ⁉」
「その理由が実にくだらないと、教えてあげます」
私は二人の間に言葉を投げた。
「人には必ず…どこかいいところがあるものだと、そんな風に言う人もいるけれど……そんなことはない。この女の魂は昔も今も腐っている……」
目を見開いた遥香を真っ直ぐ見たまま、私はボイスレコーダーを再生した。
“……あ、そうそう。あの痴漢騒ぎね…大したことではないのよ……あの日ね、定期テストの日だったのよね。で、全然テスト勉強が出来ていなくてテストを受けたくなかったのよ。それで通学途中にトラブルがあれば、学校へ行かなくていいでしょ?って知恵を働かせたのよ。痴漢された!って、誰かの手を掴んだってわけ”
分かっている内容でも、遥香の声でもう一度聞くと怒りで震える……と、篤久様が私の肩をそっと抱いた。
「そんな理由で……下劣な行為に及ぶなんて、道徳観が逸脱した反社会的な問題行動だな」
「それが今も続いている」
「お兄様っ、何を……アンタ、調子に乗り過ぎよっ!どうしてくれるのよっ……私が今まで築き上げたものを……」
大したものを築き上げてはいないでしょ?
「ご安心ください。ご婚約者様も、同じ穴の狢ですから」
「お前っ……」
池田が私のボイスレコーダーに手を伸ばしたのを、篤久様が払い落した。
“「……この前遥香の部屋でしたように、這いつくばって土下座をして“愛人にしてください”と乞うならば、前に無礼にも断ったことはなしにして愛人にしてやってもいいと言っているんだ。愛人になれよ」「お断りします!」「そんなことで生きていけるのか?無理だろ?」「ご心配なく。私は婚約者がいながら愛人になれと何度も言う人の顔も見たくないっ!」”
「信じられない…愛人って言っているじゃないっ!最低な男ねっ」
「自分のことを棚に上げて、そんなことが言えるのか?」
「そんなにヒートアップされていますけれど、今の動画と私がアナタたちに引きずられていた動画は生配信されていましたし、今のここも配信されています……あちらの男性のカメラは想定外でしたから、2か所で配信されているってことですね」
「どうやって……?」
「アナタには教えない。言っても分からないと思うから」
私は第一家事室で玄関ホールとこの玄関外の防犯カメラを自分のパソコン経由で配信出来るように、池田から逃れて鍵をかけた時に操作していた……これは中園でも自社でも罰せられると覚悟の上だ。
コメント
7件
徹底的にやれば良いよ。中園家は大丈夫だから
仕事終わって見たらめっちゃ面白い展開になってる😆中園父出てくる!?バッサリ行っちゃえ〜
自分の身を守る為よ😎