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コメント
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ここで働いた間の事は勿論だけど、何年間もの間に受けた迫害を洗いざらい話して 慰謝料請求しましょう。そしてお父さんお母さんに渡してあげてください😊
真奈美ちゃん最後に池田に餞の一言言っておやりなさい!
まだまだ‥。ワクワク‥。
呆然とする遥香と池田。
そこへ奥様が駆け寄り、遥香の腕をグイグイと揺らしながら、自分のスマホを見せる。
「どうしたらいいの……酷い、見たこともないような誹謗中傷の嵐よ…」
開け放ったままのドアの向こうには、いつからか広瀬さんと田中さんもいるようだ。
業務中だけれど……これでは中断してしまうよね。
彼女たちもスマホを見ているので【奴隷家政婦】の内容を確認しているのかもしれない。
「な…んで……?」
か細い震える遥香の声は、あのカメラマンのマイクに届いただろうか。
私の配信は防犯カメラからなので絶対に無理だから、一応ボイスレコーダーを起動させる。
それを見た篤久様は、小さくカメラマンへ手で合図を送った。
するとキャップを被った彼は、大きく一歩前へ出てカメラを遥香母子と池田だけに向けた。
だけど、次々と途切れることのない誹謗中傷コメントにわなわなと釘付けの3人は気づかない。
隣の篤久様は、自分のスマホを出すと
「見せて」
私にそう言って手渡した。
遥香のアカウントが炎上している状況を把握したいのだろう。
私は篤久様のスマホに遥香のアカウントを出すと
「これです……え……すごい数……」
予想以上というか、桁違いの数のコメントが読めないくらいのスピードで動いて行く。
「なんで……友達からこんなこと言われなきゃいけないのっ⁉」
「お友達…?どれ?」
「さっきの“いつもマウント取ってくる女だから、使用人さんに底辺発言なんて日常だと思う”っていうのも……これも友達……」
「“こんな人と相互だというのが黒歴史。最悪……家政婦さん、ケガお大事になさってください”……これが遥香のお友達?」
「そうよっ、この“お似合いの婚約者サマ”って、ハートをいっぱいつけている奴も“二度とわたくしたちに関わらないで”っていうコイツも、みんな……知らない人からもこんなに“死ね”とか言われる筋合いはないでしょ⁉」
「これ“家政婦さんはお尻を触られた時も、愛人と言われた時もはっきりと断っているのに今日もこれって可哀想すぎる”って…池田さんもどうしてこんな……」
「そうよっ、こんな女に手を出してっ!アンタなんかと、結婚なんてしないから!」
遥香母子の行き場のない怒りの矛先は池田に向いたようだ。
「言われるまでもない。こちらから断る」
そう言って帰ろうとする池田に
「二度と中園の敷居を跨がないでください。あと、うちから派生する仕事にあなたの会社の名前が連ならないように周知していますので、一応お知らせしておきます」
篤久様がきっぱりと言った。
「へっ?そんな……サブコンからうちへ降りてくる中園関連の仕事が……?」
「今後はゼロです。現在進行中の現場については、職人さんたちを守れる形であなたの会社からは切り離す方向で、サブコン各社が動くと思います。真奈美さん、もう二度と会うことはないと思いますから、最後に言いたいことを言えばいい」
篤久様がそう言うと、パチパチパチパチ……
スマホを持った手で鈍い音の拍手をする田中さんと広瀬さんに気づいた。
「桑名さん、今は会社とか関係ないわ。女性として許せない行為があったのだから、篤久様がおっしゃる通り、言いたいことは言いなさい」
「田中さん……」
「そうよ、気が済むまで罵ったっていいと思う。今、桑名さんのアカウントにも“言えー”“言ってしまえー”ってエールがたくさん来ているわよ。頑張れ!」
広瀬さんもスマホを振って、私にエールを送ってくれる。