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しばらくぼーっとしていると、頭上に影が降ってきた。見なくてもわかる、落ち着く匂い。
「…何してんの?」
先輩だ。今まで先輩のことが苦手だったのに、最近では居心地がよく、落ち着くようになってきていた。自分でも信じられない。
「先輩…」
と、力ない声をだし、先輩に困ったような顔をされてしまった。
「こんなとこで何してるの。さっきの幼なじみは?」
「あ…」
「…まぁ、言いたくないならいいよ。」
そう言って、あたしの隣に座った。…本当に、この人は何を考えているのか分からない…。
「先輩こそ…こんなところで何やってるんですか?」
何か会話しなければ、と思い咄嗟に頭に出てきた質問を口にした。すると先輩はゆっくりと瞼を開き、あたしを見つめた。時間が止まったかのような、この不思議な時間は携帯電話の着信音によって止められた。予想していた通り、相手は夕弦だった。
「…もしもし」
『あ、真白!?今どこっ!?』
「…なんで…?」
『雪と魁が家出てっちゃったんだよ!!!』
「…え?」
「雪!!!!?魁!!!!?」
「どこにいるの!!!!」
真っ暗になった住宅街を走り回る。まさかこんな事になるなんて…。