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「その雪ってのと魁ってのはどんなの?」
「…え?」
一緒になって探してくれていた先輩がふとそう言った。頭をフル回転させて今日の2人を思い出す。雪は確か、お気に入りと言っていたピンク色のワンピースだ。桜の刺繍がついている。髪型はいつもより高めに結んだポニーテールで、キラキラしたビーズのピンをつけている。でも、『夜は冷えるから』と、あたしは黒いジャンバーを着させていた。さすがに家の中では脱いでいたけれど今はどうだろう。来る時でさえ着たくないと駄々をこねていたのだから着ていないかもしれない。魁は最近買った赤いショートパンツに黒いロンTだ。その上からさらに黒いトレーナーを着ていた。その事を伝えると、先輩は頷いた。
しばらくして、先輩が言った。
「家に帰ってる可能性はないの?」
「2人は鍵を持ってないです…」
「家の前で待ってるかもよ」
そう言われ、急いで家に向かう。とっくに空は黒く染まり、街灯だけが光っている。家まであと直線だけとなった時、先輩が言った。
「…あれ」
先輩が指していたのは、家の前にある2つの小さな影だった。
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