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「気にしなくていいのよ。でもそれなら……協力してくれるということかしら?」
「はい……私のお母さんをあんな目に遭わせたやつが本当にお父さんだったら……とても憎いですし、仇を取りたいです」
そう告げたダイキリの瞳には、怒りと悲しみと……そして強い決意の光が宿っていた。
「希望」という名の少女が、復讐という名の毒を自ら仰いだ瞬間だった。
(よし、作戦成功ね……)
その感情を煽るように私は芝居がかった笑みを深める。
「ありがとう。貴方ならそう言ってくれると思ったわ」
すると、ダイキリが唇を引き結ぶ。
「……でも、本当にいいんですか? 私みたいなのが加わっても……役に立つか分かりませんけど」
「構わないわ、協力者は多い方がいいもの」
その言葉にアルベルトも短く頷く。
彼の沈黙は、彼女の戦力価値を認めた証拠でもあった。
ダイキリの目に決意の光が宿る。
「わかりました。私、やります。お母さんの為にも」
「契約成立ね」
私は微笑む。
「ただし条件はひとつだけ。この計画は公にはしない。秘密を共有する“仲間”として行動すること」
「はい! 秘密の仲間……なんかワクワクします!」
目を輝かせるダイキリ。
悲劇を知った直後だというのに、彼女の根底にあるその明るさが
今はひどく危うく、そして痛ましく感じられた。
「ふふ、よろしい」
私たちはグラスを軽く合わせて乾杯した。
カチンという高い音が、裏切りの宴の始まりを告げた。
ダイキリの提案で、このまま一晩酒場で過ごすことになった。
父の追及に必要な資料を洗い出し、作戦を練るために。
夜が更ける。
店の奥から漏れる電子音を聞きながら、私はぬるくなったダイキリを一口飲んだ。
背後ではアルベルトが、まるで眠ったように壁にもたれているが
その意識が完全に覚醒していることは、呼吸の僅かなリズムで私にはわかる。
私は椅子を少し寄せ、彼にそっと耳打ちする。
「……うまくいったわね」
「……言っておきますが、私が貴方に協力しているのは、あくまでも貴方の父親と私の実施者に繋がりがあったからです。それを忘れないでくださいね」
アルベルトは目を開けず、チクチクと冷淡な言葉を返してくる。
相変わらず可愛げのない男。
「わかってるわよ」
私は彼の顔を見ずに微笑んだ。
これでまた一歩、目的へ近づいた。
父が隠し通そうとした醜悪な秘密。
私たちが追う父の罪の証拠へ。
「希望」を飲み込み、私たちは「絶望」を武器に、夜の深淵へと潜っていく。