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管野アリオ
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#イケメン
蒼乃 月
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その様子を見た瞬間、朝陽ははっきりと理解した。
亜佑美はこの男と話したくないのだと。
「亜佑美さん、行きましょう」
朝陽は自然に亜佑美の手を取ってそのまま歩き出すと、男の横を通り過ぎる際、軽く会釈だけを残した。
突然手を引かれた亜佑美は目を瞬かせたが、抵抗することなくその後に続く。
「お、おい」
陸人が呼び止めるも二人の足が止まることはなかった。
「亜佑美!」
少し大きくなった声に亜佑美の肩がぴくりと震える。
「久しぶりに連絡してもいい?」
陸人は笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「飲みにでも行こうぜ」
その言葉に朝陽が足を止めると、亜佑美も止まる。
そしてゆっくりと振り返った朝陽は陸人を見据え、
「申し訳ないですけど、亜佑美さんには連絡しないでください」
ハッキリと連絡しないよう口にすると陸人の笑みが引き攣る。
そんな中朝陽は真っ直ぐに視線を向けたまま続けていく。
「それと、飲みにも行かないので」
そこにいつもの柔らかな雰囲気はどこにもない。
鋭く細められた瞳に、相手を牽制するような冷ややかな眼差し。
そんな朝陽を前に亜佑美は思わず息を呑んだ。
普段は穏やかで人当たりが良くて、誰に対しても丁寧な人なのに。
今の朝陽からは一切の譲歩を許さない強い意志が感じられる。
陸人もそれを察したのか言い返して来ない。
その沈黙の中で、亜佑美は意を決したように口を開いた。
「……飲みに行くつもりも無いし、今更関わるつもり無いから……連絡してこないで……さよなら」
そしてそれだけ言うと亜佑美は朝陽の手を握り返し、二人はそのまま踵を返すと再び歩き出した。
背後から声が掛かることはなかったけれど、遠ざかる足音の向こうで、「……チッ」という小さな舌打ちだけが聞こえてきた。
残された陸人は苛立ちを隠そうともせず、苦々しい表情を浮かべ、思い通りにならなかったことへの不満を滲ませながら去っていく二人の背中を睨みつけていた。
二人はその後暫く無言のまま歩き続けていた。
先程の出来事が頭から離れず、亜佑美も何を話せばいいのか分からなかったし、朝陽も何も聞いてこない。
ただ、手は繋いだまま。
やがて視界の先に一軒のアパートが見えてくると、それまでどこか張り詰めていた雰囲気がふっと和らいだ。
「あ、着きました、ここです。俺の家」
足を止めて振り返った朝陽の表情はいつもの穏やかなものに戻っていて、陸人に向けていた鋭さはどこにもない。
その姿を見て亜佑美も自然と肩の力が抜けた。
「へぇ……綺麗なアパートだね」
「築浅なので。それなりに家賃はしますけど」
少し照れたように笑う朝陽に、ようやくいつもの空気が戻ってくる。
向かったのは二階の角部屋で、玄関の鍵を開けた朝陽が扉を開く。
「どうぞ」
「お邪魔します……」
亜佑美は少し緊張しながら中へ足を踏み入れ、靴を脱いで案内された先は広めのリビングダイニングだった。
1LDKの間取りらしく、一人暮らしにしては十分な広さがある。
「結構広いね」
「弟が頻繁に泊まりに来るので、広めの間取りを選んだんです」
「弟くん、結構来るんだ?」
「はい。今高二なんですけど、しょっちゅう親父と喧嘩してて、そのたび俺の所へ来るんですよ」
「そうなんだ」
室内は黒を基調としたシックな雰囲気で統一され、ローテーブルもテレビボードも落ち着いた色合いでまとめられていて、余計な物もほとんど置かれていない。
整頓された空間は、どこか朝陽らしさがある。
「適当に座っててください。コーヒー淹れてきます」
「うん」
そう言われた亜佑美はソファーへ腰を下ろし、柔らかなクッションに身体を預けながら改めて部屋の中を見回す。
(ここが朝陽くんの部屋……普段、どんな風に過ごしてるんだろう……)
そんなことを考えていると、亜佑美は何だか少しだけくすぐったい気持ちになる。
少ししてキッチンの方からコーヒーの香りが漂ってくると、
「お待たせしました」
朝陽がマグカップを二つ持って戻ってくる。
ローテーブルへ置くと、自身も亜佑美の隣へ腰を下ろした。
「ありがとう」
「いえ」
二人はそれぞれカップを手に取り、温かな湯気が立ち上るコーヒーを一口飲む。
しかし、その後は自然と沈黙が落ち、静かな部屋の中で時計の秒針だけが小さく音を立てている。
その沈黙を破ったのは朝陽だった。
「あの……」
少しだけ言いづらそうに視線を落とし、
「話したくないなら言わなくていいんですけど……」
一度言葉を切ってから慎重に続けた。
「さっきの人との関係って……」
その言葉に亜佑美の指先が僅かに動き、暫くカップの中のコーヒーを見つめたまま黙り込んでから小さく息を吐くと、
「あの人は……大学生の時に半年くらい付き合った、元カレなの……」
亜佑美の口からそう告げられた。
亜佑美は視線を落としたままマグカップを両手で包み込み、その横顔を見つめながら朝陽は何も言わず次の言葉を待っていた。
コメント
1件
うわあああ今回の話、朝陽くんマジでカッコよすぎん??😭💕 いつもの柔らかい雰囲気から一転、亜佑美さんを守るためにピシッと一線引く姿に胸がギュッてなった…!手繋いで連れ去るのも、陸人に「連絡しないでください」ってハッキリ言うのも、全部がエモすぎて何度も読み返したよ〜⋆♡ 最後の部屋での沈黙も、お互いの距離感が絶妙で続きが気になりすぎる!!🔥