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そこは、帝国史上もっともブラックな建設現場だった。
「――動きが鈍くてよ! 演武場で汗を流すのも、ここで資材を運ぶのも、筋肉の消費効率は同じですわ」
パラソルの下、私はアンナが淹れてくれたハーブティーを優雅に口にし、扇子をパッと広げた。 視線の先では、精鋭揃いの皇室騎士団が、泥まみれで巨大な石材を運び、基礎を固めている。
「ソフィア様……。防御魔法を、『コンクリート固め』に使い続けるのは、騎士としての尊厳が……」
「あら、ギルバート。工期を一日短縮するごとに、機会損失がどれほど浮くかご存じかしら? さあ、スケジュール通りあと30分以内に外壁を固めてちょうだい。魔力が切れたら、塩水でも飲んで休んでよろしいわよ♡」
「……っ、分かったっすよ! やればいいんでしょ、やれば!」
ギルバートの悲鳴に近い詠唱とともに、魔力が大地を包む。 その横で私は、テーブルの上で『ソフィア式・簿記問題集』の執筆を爆走させていた。
(騎士団を使えば人件費ゼロ、工期1日。これこそ『資本効率の最大化』よ!)
「明日が開校よ! 子どもたちのために、死ぬ気で仕上げなさい!」
私の容赦ない激励(鞭)を受け、騎士団は不眠不休で工事を完遂したのだった。
#溺愛
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