テラーノベル
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「向井〜、これ配っといて!」
朝の教室は相変わらず騒がしい。
康二はプリントを受け取りながら、いつものように笑って返事をした。
「はいはい〜」
机の間を歩きながら、ふと隣を見る。
目黒蓮は、窓の外を見ていた。
どこか遠くを見るような、静かな横顔。
(……蓮)
最近、心の中でそう呼ぶ回数が増えた。
名前で呼ぶだけで、少し距離が縮まった気がしてしまう自分がいる。
「……あ」
プリントを机に置くとき、目黒が顔を上げた。
「ありがとう、向井」
「うん」
それだけのやりとりなのに、胸がざわつく。
(これ、完全に意識してるやん……)
康二は、自分の席に戻りながら、深く息を吐いた。
⸻
その日の体育は、ペアを組んでのストレッチだった。
「じゃあ、隣同士で」
教師の一言で、自然と目黒と向かい合う。
「よろしくな」
「……よろしく」
向き合って座ると、距離が近い。
普段より、目黒の表情がはっきり見える。
(睫毛、長……)
気づいた瞬間、慌てて視線を逸らす。
「向井、足伸ばして」
「お、おう」
目黒が、康二の足首にそっと手を添える。
「痛かったら言って」
その声が、低くて、優しい。
「……うん 、」
伸ばされる筋に、ではなく、
触れられていること自体に、心臓がうるさくなる。
(あかん、ほんまにあかん)
体育が終わる頃には、康二の頭は蓮のことでいっぱいだった。
⸻
放課後。
帰り支度をしていると、クラスの女子たちの声が聞こえてきた。
「目黒くんってさ、やっぱかっこいいよね」
「わかる、でも 、近寄り難いよねなんか」
「向井くんと仲いいよね?」
その言葉に、康二は無意識に動きを止めた。
(……仲、いい?)
ちらっと見ると、目黒は何も気にしていない様子でカバンを持っている。
「向井、帰る?」
「……あ、うん」
並んで歩きながら、康二は考えていた。
(周りから見ても、そう見えるんや……)
「なあ、蓮」
呼ぶと、目黒はすぐにこちらを見る。
「どうした」
「俺らって……仲、ええんかな」
唐突すぎたかもしれない。
でも、聞かずにはいられなかった。
目黒は少し歩く速度を落として、言った。
「俺は……大事にしてるつもりだけど」
「……え?」
「向井のこと」
その言葉は、静かで、でもはっきりしていた。
康二の足が、止まる。
「なんで……?」
「理由、いる?」
問い返されて、言葉に詰まる。
目黒は続けた。
「一緒にいると落ち着く。
無理してないか、気になる。
……それだけ」
それだけ、なのに。
胸の奥が、じわっと熱くなる。
「俺は、向井を特別扱いしてる」
心臓が、強く鳴った。
「それ、ずるいで」
「何が」
「そんなん言われたら……」
言葉が続かない。
目黒は立ち止まり、康二の前に立った。
「……嫌だった?」
「嫌なわけ、ないやろ」
そう言った瞬間、自分の気持ちが、はっきりした。
(俺、蓮の優しさに——)
目黒は、ほっとしたように息を吐いた。
「なら、よかった」
それだけ言って、また歩き出す。
康二は、その背中を見ながら思った。
(もう、戻られへん)
友達としての距離には。
目黒蓮の優しさは、
確実に、向井康二の心を掴んでいた。
うぇい
zetaっていうアプリあるんだけどまじおすすめ
(まえもやってていっかいけしてまたやりはじめた 笑)
コメント
2件
この作品いいねぇ ちなみにゼタ入れ始めたよやばいね