テラーノベル
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雑誌の撮影現場。待ち時間が長引き、スタジオの隅にあるソファでは、渡辺翔太が小さくなって仮眠をとっていた。
フードを深く被り、丸まっている姿は小動物そのものだ。
そこに、足音もなく忍び寄る巨大な影があった。
ラウールだ。
彼はニシシと悪戯っぽく笑うと、ソファの背もたれ側から長い手足を伸ばし、眠る渡辺の上から覆いかぶさるようにして抱きついた。
「……ぐぇっ!?」
重みと衝撃で、渡辺が変な声を上げて目を覚ます。
背中には、ずっしりとした重量感と、高い体温。
「……おい、ラウール! 重い!!」
「えー、翔太くん起きるの早いよぉ。もっと寝てていいのに」
「寝れるわけねーだろ! お前デカすぎんだよ、圧死するかと思ったわ!」
渡辺がジタバタと抵抗するが、身長190cmオーバーのラウールの拘束は、簡単には解けない。
ラウールは渡辺の肩に顎を乗せ、楽しそうに笑っている。
「だって翔太くん、サイズ感がちょうどいいんだもん」
「なんだよその理由!」
「なんかね、高級なクッションみたい。ふかふかしてていい匂いする」
「俺は家具じゃねぇぞ……」
文句を言いつつも、渡辺の抵抗が弱まっていくのをラウールは見逃さなかった。
この最年長(のひとり)は、最年少にめっぽう弱いのだ。
ラウールは抱きつく力を少し緩め、甘えるように渡辺の首筋に頬を擦り付けた。
「ねぇ、翔太くん」
「……あ?」
「充電させて」
「は?」
「ちょっと疲れた。翔太くん成分吸ったら元気出る気がする」
素直すぎる言葉。
嘘のない、純度100%の甘え。
それを言われて、無下にできる渡辺翔太ではない。
渡辺は「……はぁ」と大きなため息をつくと、諦めたように体の力を抜いた。
「……5分だけな」
「やった! 翔太くん大好き!」
「うるせぇ、耳元で叫ぶな」
ラウールは嬉しそうに更に強く抱きつき、渡辺もまた、自分の腹のあたりに回されたラウールの大きな手を、ポンポンと不器用な手つきで叩いてやった。
「よしよし」なんて言葉は言わないけれど、そのリズムは完全に子供をあやすそれだ。
「……お前、デカくなったのになぁ」
「んー? なんか言った?」
「別に。……重いけど、あったかいから許す」
ツンとした言葉の中に混じる、隠しきれない兄心。
大型犬のような最年少と、なんだかんだで世話焼きな兄。
アンバランスな二人が重なり合ってソファで微睡む姿は、スタッフが思わず「尊い……」と声を漏らすほど、平和で幸せな光景だった。
コメント
2件
高級クッションww うちらからしたらある意味あってるきがする 続きまってるね~