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伝えなきゃ。
今伝えなきゃ。
じゃないと、きっと…
私には好きな人がいる。
彼は同じ中学校出身の友達で、中学を卒業してから海外に引っ越しをした。
なので、彼とはあまり会えない。
彼は夏に帰ってくる予定だった。
だが、春に帰ってくることになった。
私はそれを聞いてソワソワしていた。
久しぶりに会えると。
そして、決めた。
彼に気持ちを伝えようと。
彼が帰国する日。
私は友達と彼を空港まで迎えに行った。
その日は、そのまま彼の家まで送った。
その日は伝えられなかった。
だが、帰り道に遊ぶ約束をした。
みんなで彼が帰る前日、水族館に行こうと。
みんなで水族館は行ったことがなかったので、私は楽しみだった。
水族館に行く日当日。
私は心に決めた。
絶対に伝える。
私はタイミングを探していた。
だが、中々タイミングが見つからないまま夕方になってしまった。
私は感じた。
今しかない。
雰囲気とかタイミングとか。
全て計画外で、全て予想外。
でも、今じゃないと。
伝えなきゃ。
今伝えなきゃ。
じゃないと、きっと…
もう、彼に伝えられない。
この気持ちが心を締め付けたまま。
彼と会えない生活が始まる。
それは、何よりも辛いことな気がした。
私は彼を呼び止めた。
そして深呼吸をしてから声に出す。
なのに…
どうして?
「君のことが…すきで…っ」
どうして…っ
「っ…つき…あっ…」
私の声は震え、掠れていた。
心は覚悟を決めた。
はずだったのに。
声が出なくなった。
出せなくなった。
何かが喉に詰まっているような…
彼は聞き取れなかったのか首を傾げてこちらを見ていた。
その目が追い詰めてくるように見えるまで。
やめて…
そんな目で…見ないで…。
私の目からは涙が零れ落ちていた。
そして少し声が出そうになった時呟いた。
「君と…一緒がいい…」
やっと出せた言葉の一番最初は私の気持ちの一部だった。
彼は優しく微笑みながら私を慰めてくれた。
私は、”好き” も ”付き合って” も何も言えなかった。
ただ、一部の気持ちを伝えたら心にかかっていた力がストンと落ちてしまった。
言いたいことは言えなかったのに…。
その日の私は満足してしまった。
彼がまた海外に行く日。
みんなで空港まで送る事になった。
私はその日も何も言えなかった。
迷惑掛けられないし…という言い訳をして。
また帰ってくると言っていたから、
その時に言おう。
そう決めて私は空港を後にした。
彼女はその後どうしたのか。
この後の未来はまだ誰も知らない。