テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
233
78
【紫陽花】(2)
作 つぼみ
2話 狭霧
黒いフードをかぶった男たちが街に現れて荒らし始めて少し経つ。
透真「で、何処から元凶探すよ?」
と、透真は言う。
マリー「本拠地はここの廃ビルなんだぞ、ここに向かって行くのが一番いいと思うんだぞ!」
時翔「いきなりそこ…?テレビ見る限りだいぶ強そうな連中みたいだけど…」
透真「で、上手く警察の目をかいくぐらなくちゃいけない…。」
透真はうーーん。と悩んだ素振りを見せ、数秒間を空けてから話し始める。
透真「警察の組織には中でもだいぶ勢力が大きいやつがいる。
…おれでもかなわないようなやつなんてザラにいる。」
一息置く。
透真「例えば、
さっきの「漆舘 風雅」。
高身長三つ編みイケメン関西人だ。
…おれでも余裕で負ける。実力者だ。刀の扱いが上手すぎる。彼の視界に入った次の瞬間には次の瞬間、風のような速さで切られている……。とか言われてるな」
マリーが反応を示す。
マリー「!あの人そんなつよいんだぞ!?」
透真「もうもはや人間兵器並みだぞ?おれの仲間が端で見ててドン引きするレベルだからな!」
はは!と笑い、また、改まる。
透真「んで、後注意なのは「紅浦 朔也」。警察のくせに問題児なやつだ。色んな難事件をコンビで解決してきた。相方は「夜縋 智也」。頭がいいらしい。こいつらは2人で一つ系のやつだ。署内でも付き合ってるんじゃないかって囁かられているんだってよ」
マリー「強そうな人達なんだぞ…」
透真「正直次言うやつの方が問題児だと思う。最後は「春雨 世那」。朔也と比にならないくらいの問題児っぷりだ。署内男女問わず、いろんな人をナンパしている。セクハラしてくる。怖い。何考えてんのかわからん。」
マリー「…その人に会ったら逃げるんだぞ…。」
と、張り詰めていた空気を裂くように透真は机に寝そべる。
透真「うーーん、正直みんなつよい。あとおれの友人ではあるし」
マリー「今の人たちみんな透真の友達なんだぞ…!?」
とマリーは驚く。
時翔「まあ…、透真は人脈広いからね…。」
こんな俺のような陰キャなんかより友達なんて数倍いるでしょ、と呟き。
時翔「まあ、この辺全部避けるなら警察がこなさそうなところ狙っていくしかないよ」
透真「えー?暦の会社の所有する裏路地行くのー?あそこ強い人いっぱいいるし無理だよあんな無法地帯〜!
裏路地行くならBar.cutleryだろ!湊いるしよ!」
時翔「風雅は常連だし人集まるでしょあそこ。子供みたいに我儘言わないよ、透真。」
透真「うー……わかったぜ」
マリー「じゃあその裏路地とやらに行ってみるんだぞー!探検だぞ!!」
透真「あんま探検するとこじゃないからな…」
と、作戦会議を終え、
暦の会社、「POISON」が所有する裏路地に向かった。
昼なのに薄暗い。
透真「…今日はやけに静かだ」
マリー「え、いつもは沢山いるんだぞ…?」
透真「割とそこら中にいる」
時翔「…何かがおかしい」
そう言いながら歩みを進める。
透真「…?なんか生臭い匂いがする」
角を曲がった先。
そこにあったのは――
人間の山だった。
倒れ伏した者たちが積み重なり、路地は血に染まっている。
マリー「……っ!」
時翔「……最悪だ」
そして、その山の上に。
一人の男が立っていた。
黒いフードをかぶった、
赤髪、髪の先の方は黄緑色。
無表情。
手には、現代では存在しないような刀。
?「誰ですか」
静かな声だった。
?「誰であろうと、斬ります」
透真「……! 柚」
男の瞳がわずかに揺れる。
柚「……? 何故、僕の名前を」
透真「……今は儚月みたいだけどな!」
柚「……貴方、初対面ですよね」
透真「何言ってんだ。あの時も会ったじゃないか」
柚「意味がわかりませんね」
刀を構える。
柚「……まあいいです。斬りますから」
次の瞬間。
地を裂く勢いで、柚が踏み込んだ。
戦闘。
狙いは透真。
透真「っ、あぶねぇ!」
紙一重で身をひねる。
刀が壁を切り裂き、コンクリートが音を立てて崩れた。
マリー「壁ごといったんだぞ!?」
透真「洒落になってねぇな……!」
柚は無言のまま追撃する。
二撃、三撃。
速い。重い。迷いがない。
時翔「背中、がら空きだよ。柚」
時翔がピッケルを投げる。
柚「……!」
反応が一瞬遅れる。
金属音。
柚は刀で弾いたが、その隙に透真が懐へ潜り込む。
透真「悪いな!」
腹部へ一撃。
柚の身体が吹き飛び、地面を滑る。
だが、すぐ立ち上がった。
柚「……効きません」
その瞳に感情はない。
透真「いや、あるだろ。痛ぇ顔してるぞ」
柚「……」
マリー「なんか様子がおかしいんだぞ」
時翔「うん。自分で動いてる感じがしない」
そのとき、柚の首元に黒い紋様が浮かび上がった。
マリー「……あれ!」
マリーの表情が変わる。
マリー「操術式なんだぞ!」
透真「操られてんのか!?」
柚は苦しそうに頭を押さえる。
柚「……斬れ……命令……排除……」
時翔「無理やり戦わされてる」
透真「なら――ぶっ壊すだけだ!」
柚が再び突っ込む。
透真は正面から迎え撃った。
刃が振り下ろされる直前、透真は銃を素早く取り出し、を柚の首元へ撃つ。
紋様へ、一直線に。
黒い光が弾けた。
柚「――っ!!」
刀が手から落ちる。
そのまま膝をつき、崩れ落ちた。
静寂。
透真「……終わり、か」
時翔「息はある」
マリー「助かったんだぞ……!」
しばらくして。
柚はゆっくり目を開けた。
柚「……ここは」
透真「よう。やっと戻ったか」
柚は透真を見る。
柚「……貴方は」
透真「知り合いだよ。たぶん」
時翔「たぶんなんだ」
柚は周囲の惨状を見て、顔を曇らせた。
柚「……柚が、やったんですか」
マリー「操られてたんだぞ。君のせいじゃないんだぞ」
柚は黙り込む。
透真は肩をすくめた。
透真「責任感じるのは後だ。今は黒幕探すぞ」
柚「……黒幕」
透真「お前を操ってたやつだ」
柚はゆっくり立ち上がる。
柚「……なら、柚も行きます」
透真「よし。新戦力だ」
時翔「増え方が雑なんだよな、このチーム」
マリー「よろしくなんだぞ!」
裏路地の奥から、冷たい風が吹いた。
先に向かって歩いている道中。
柚が喋り出す。
柚「さっきまで、なんだか夢を見ていた気がするんです。」
透真「…?夢、か?」
柚「正直、自分がここまで来た経緯を覚えていません」
時翔「!そうなんだ」
柚「…夢で見たのは、」
語り出す。
それは、自分達はどこかのビルの中、一人の赤髪の男とアンドロイド達と戦い、勝利し、そこに桃色の髪をした少年のようなアンドロイドが施設を爆発しようとし、まだ息があった赤髪アンドロイド……
自分、柚の大切な人が身を挺して守って、死んだ夢、
そして、ある日、朝リビングに行くと自分の面倒を見てくれていた父のような存在の人が何者かに刺され、倒れ伏していた夢、
「何もかも」が終わり、平和が訪れたと思うと、相棒の金髪の少女の記憶が1週間で全て抜けてしまうようになった夢。
自分は頼れる人を皆、失ってしまった。
そう、思い、自害しようとしたところで夢が終わった。
柚「…こんな感じでした」
マリー「……悪夢なんだぞ」
柚「そうですね。柚は1人になんかなりたくないんです」
マリー「今は俺たちがいるから安心してほしいんだぞ」
透真「そうだそうだ!」
時翔「何かあったら頼って。」
柚「はい!ありがとうございます!」
柚は笑顔でそう答える。
2話 狭霧 end.
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!