あぁ、今日もだ。
今日も父さんを怒らせてしまった。
父さんは、怒ると僕をこの薄暗い部屋に入れる。
ここで反省しろ、と言われるんだ。
平均して、1〜2時間
多い時には4時間ここで反省するなんて時もあった。
今日は多分弟のカナダを泣かせてしまった事だ。
お兄ちゃんが弟を泣かせた。
その出来事でお父さんは僕をここに入れた。
ここは昔、父さんのお父さん、
すなわち、僕にとってのおじいちゃんの部屋だったらしい。
あと、父さんのお兄さん?の部屋でもあったんだって
でも結構昔だからこの部屋は掃除されていない。
正直言って綺麗とは程遠い。
僕はお兄さん、おじいちゃんに会った事はない。
名前は…イングランド…?とかだった気がする…
あと…スコット…もういいや。
その人(国)は今は遠い所で優雅に暮らしてるんだと。
素晴らしい生活だよな。
でも、おじいちゃん達は、お父さんによると、クソ野郎らしい。
どっちがクソ野郎だよ…
子は親に似ると言う
僕は絶対父さんみたいにはなりたくない。
お父さんはカナダばっかりを溺愛している。
カナダの方が頭が良くて、
可愛くて…
僕の弟とは思えないぐらい完璧な存在だとさ。
確かにカナダは僕の大切な弟、
カナダには何かしらの才能があるとは思ってる。
けど、僕だって
僕だって何か才能があるんじゃないか
その才能が芽生えて父さんに褒められる、
そんな事を妄想しては、現実の苦しさを思いやらされる。
父さんは僕の事は嫌いらしい。
僕は、悪い子だから、
気に食わないから
頭が悪いから
そんな事を毎日言われる。
もう暴言には慣れた。
前は、
前は優しかった父さん
でもいつの日か怖くなってしまった父さん、
いつからだろう…
昔、父さんによく高い高いをしてもらったのを覚えている。
体が宙に浮くような感覚、
空を爽快に飛び回る飛行機になった気持ち、
そして何よりも、
父さんのあの大きく口を開けて幸せそうだった笑顔。
今でも鮮明に脳に焼きつかれている
またあの時の父さんに戻って来てほしい。
ずっとずっと願っている事だ。
ドアは…
鍵がかかっているか…
当分このドアを開けてはくれないだろう。
ふと、僕は何を思ったのか耳をドアに付けて、外の音を聞いてみた。
どうせカナダを可愛がっている父さんの声しか聞こえないだろうけど、
もしかしたら
もしかしたら、僕の事裏では可愛がってるんじゃないか!
そんな思考は、父さんの言葉を聞いた途端、崩れ落ちた
イギリス「はい、アメリカです。正直ヤンチャですけど、忍耐力があるので、奴隷には最適かと…何円で売れますか?」
僕は絶句した。
父さんが僕を売ろうとしている。
昔から疑問に思ってた、
なぜ僕の事が嫌いなのに追い出さないのか。
その謎が一気に解けた。
それと同時に目頭が熱くなる。
やっぱ僕なんて子はそうなる運命なんだ。
もう、涙は乾いた、
どうでも良くなってしまった。
こんな家よりも他の家で奴隷として働いた方がいいのかもしれない。
でも
でも、僕の中で奴隷なんかになってたまるか、と言う感情があったんだ。
その感情の方が強かったのかも知れない。
気がつくと僕は、部屋の窓から脱走していた。
行く先もないのに…
けど、あんな家に居たら奴隷にされてしまう。
それだけは御免だったんだ。
それにしても、靴とかを履けば良かった。
コンクリートの道路のせいで、足の裏がズキズキ痛む。
でも、あの家に居る時より全然心が楽だった。
兄だから何でも出来る、
兄だから泣かない、
兄だから、兄だからって言うレッテルを貼られて
…やっば…w
そんな事考えてたら、また泣きそうに…
はぁ…これからどうして行こうか…
するととっても背の高い人が僕に近寄ってきた。
僕は、何でだろ…反射的に防御の姿勢に入った。
相手はびっくりしてる。
あぁ、癪に障ってしまっただろうか、
相手がこちらに手を伸ばしてくる。
もう殴られたくない…
逃げたい、逃げたい…そう思っていると、相手が見覚えのある顔の事に気がついた。
写真で見た顔…これは…父さんのお兄さん
大英帝国だ…
英帝「お!お前なんで裸足なんだ!」
うーん、痛い所をついてくる…
どうしよう、言ったら心配されるか?
父さんのお兄さんだぞ?
やばい人(国)なんじゃないか?
英帝「言いたくなければ言わなくても良いけどよぉ!」
良かった…
優しい人(国)かもしれない
まだ分からないけど…
英帝「なんか大変そうだな!どうだ?俺の家来るか?いや、来い!」
え?
家に行く?
…今は行き場がないし、家があるだけマシか…
あと、来いって命令されてるし
アメリカ「分か…りました…」
英帝「良かった!じゃあ行こうぜ!(手を繋ぐ)」
アメリカ「え?」
なぜ手を繋ぐのだろう、
本当にこの人(国)は、考えてる事が分からない。
なんか、怖いな…
もしかしたら、家で僕の事を奴隷として働かせるつもりじゃないか?
そんな考えはすぐにぶっ壊れた。
英帝「ようこそだな!俺の家へ!」
あぁ、久しぶりに見たこの笑顔、
やっぱり父さんのお兄さんさんだな…
自然と僕も嬉しくなる、
アメリカ「あ…ありがとう…ございます…」
英帝「良いってことよ!あ、あと!敬語無しな!」
アメリカ「はぃ!?」
何故だろう、
僕は拾ってもらった身。
敬語はつけた方が良いのではないか?
アメリカ「わ、分かった、」
英帝「そういえば!お前!名前なんて言うんだ?」
アメリカ「えっと…アメリカ…」
英帝「アメリカ、アメリカか!なんか聞いた事あるな!」
アメリカ「あの、イギリスの…」
英帝「あ!お前イギリスの子供か!」
正直もうイギリスと言う名前は聞きたくない
殴られた時や暴言を吐かれた時を思い出してしまう。
英帝「まぁ、アイツがいろいろヤバかったんだろうけど、俺様が居るから!安心しろ!」
アメリカ「う、うん!」
この人(国)には心を開いて良い気がしたのは、何でだろう。
〜〇〇年後〜
アメリカ「親父!行ってくる!」
英帝「あぁ!行ってこい!楽しんで来いよ!」
俺はアメリカ!
今日は新作のバーガーを食べに行く!
ずっと楽しみだったんだよ!
でも、人気だから中々行けないんだ!
けど!今日はちゃんと朝早くに来たからな!
俺天才!
着いた!
店員「いらっしゃいませ〜」
アメリカ「お一人様だぜ〜!」
店員「こちらの席へどうぞ〜」
結構オシャレな感じだな!
アメリカ「すいません!このBIGバーガーください!」
店員「分かりました〜」
これか〜!
噂のBIGバーガー!
本当に親父が美味しそうなバーガーあるって教えてくれなかったら食べ逃してたぜ!
店員「いらっしゃいませ〜」
カナダ「1人です」
店員「こちらの席へどうぞ〜」
カナダ「ありがとうございます!」
ん?
あの顔…どっかで見たような?
あぁ、あれか?
有名人とかか?
店員「お待たせしました〜」
アメリカ「ありがとな!」
記憶のピースが抜けた、
そんな感覚がする。
まあ!でも!
今は目の前にあるバーガーに集中しよう!
アメリカ「頂きま〜す!」
カナダ「(心の中)兄さん♡兄さん♡可愛いなぁ♡無我夢中で食べてる♡ここに来て正解だった♡せっかく会えたんだし…♡♡」
アメリカは自分に迫っている危機に気づく事無く、幸せそうにバーガーを頬張っているのであった。
コメント
4件
コメント失礼します!アメ虐、いいですよね…。それでブラコンカナダもセットなんてお得すぎませんか!(?)