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気がつくとそこは真っ暗な空間が広がっていた。
目の前には、小さなドアが少しだけ空いていて、中から出ている黄色の光が見える。
好奇心だった。私はそのドアを開けてしまった。
その中は…
パレードが広がっていた。
さっきの暗闇とは想像できないような景色。
おかしいのはパレードだけじゃない、パレードに参加してる人みんな、人間ではなかった。
キリン、クマ、サル、ウシ…など
様々な動物が二足歩行で歩いていた。
現実とは到底思えない光景。気がつくと、ボーッと目を取られていた。
「幸せの楽園へようこそ!」
急にスピーカーから声が聞こえてきて、ハッとした。
しかし、途端にスピーカーの音は聞こえなくなってしまった。
若葉: (幸せの楽園…?)
さっきの言葉を繰り返し考えている。
??: 「わーかばさん!」
若葉: 「わぁ!!!」
目の前には、私よりも少し背が小さい、水色のゾウが立っていた。
トンタ: 「僕の名前はトンタ!キミをこの楽園へ案内するよ!」
若葉: 「楽園…?って、それよりもなんで私の名前知ってるの…!?」
驚いて大声を出してしまった。
トンタ: 「僕には名前が “見える” んだ〜」
何を言っているのかさっぱり分からない。
トンタ: 「まぁ話は後にして、僕の後に着いてきて!」
ボーッと突っ立っていると、トンタがいそいそと先を進んでしまう。
若葉: 「あ、待って…!」
トンタ: 「ここはキリンおばさんのパン屋、隣にあるのはブタさんのオイルマッサージ!」
前を進みながら、横にいるトンタが説明していく。
お店がたくさんありすぎて全部覚えられる気がしない。
トンタ「ここはアリクイさんがやってる観葉植物屋!僕のイチオシだから行ってみてね〜」
トンタ: 「っと…」
急にトンタが立ち止まる。
私も慌てて足を止めると、トンタは右通路に向かって行った。
通路の中にはさっきみたいなお店は一つもなかった。
前を進んでいくうちに、パレードの音がだんだん小さくなっていく。
静かで、どことなく冷たい雰囲気。
そんな奇妙な感覚に、私は緊張していた。
すると、目の前に真っ黒な小さなドアを見つけた。
若葉: (次はこの中に行くのかな…?)
と思っていたが…トンタはそのドアをスルーして、ドアに辿り着く前にある右通路へ曲がった。
トンタ: 「あれ〜?ここじゃなかったかな〜」
どうやらお目当ては違う場所みたいだった。
けれど、さっきのドアがとても気になる。
私はトンタに聞いてみた。
若葉: 「ねぇ、さっきの黒いドアなに?」
トンタ: 「あぁ、あそこはね…」