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語り手:ニウ
昔、山の中の小屋へ友達と行ったことがあるの。歴史館とかで見る昔の木造建築って感じなんだけど、人形がやけに沢山おいてある部屋とか、木片が床に散らばってる部屋とかあって薄気味悪くて、今度の肝試しはここでも良いかもねなんて話してたくらいなんだ。
ふと入り口から1番遠い部屋から明かりが漏れてることに気付いて、私たちの他に探索してる人でもいるのかなって扉を開けてみた。でも、中には電源がついているパソコンが一台置いてあるだけだった。その小屋はもう10年以上も使われてないし、管理もされてないから誰かが住み着いているのかも。大人に伝えたら大手柄だ。なんて喜んでたけど、少し気になってパソコンの画面を覗き込んだの。ホームページと書かれたゲーム画面のようで、しばらく経つといきなりムービーに入って、動かせなくなった。画面には少し質素な家と、3人のイラスト。画面を覗いてた友達が、うちの家だって呟いたの。
そしたらカーソルが勝手に動き出して、母親のイラストの腕を反対に曲げ始めた。それと同時に人形がある部屋からミシミシとかゴキッとか鈍い音がして、友達が急いでその部屋から真新しい人形を3体持ってきた。その中の女性の人形は腕の関節部分が壊れていた。カーソルはどこから取り出した枝で母親の胴体を刺し、人形も連動して穴が開いた。次に父親を持ち上げ、画面端にぶつけ続けた。男性の人形はだんだんあざのようなものが増えていく。カーソルは父親の口元で長押しする。しばらくそうすると、人形は痙攣し始め、やがて動かなくなった。最後にカーソルは妹の首を回そうとする。友達がやめてくれと叫び、先程からやっていたパソコンの操作での抵抗を更に強めるが、カーソルはお構いなしに回す。人形の首が回るのを阻止しようとするが、力負けしてしまう。どうしたら止まるかわからなかった私は、一か八か、床に落ちていた尖った木片をパソコンに思いっきり投げつけた。木片はパソコンに刺さり、そのまま火花を散らして壊れてしまった。
帰った後に知ったんだけど、その家族の所に丁度土砂崩れが来て、友達の妹だけ助かったんだって。
その数か月後に小屋も工事で取り壊されて、あのパソコンがなんだったのかもわからなくなってしまった。
語り手:りと
いたずらをしたら罰が当たるぞって話なんだけど、美術部が海をテーマにコンテストをして、見事優勝した女子がいた。休み時間や放課後を使ってずっと鉛筆で下書きしてたから、努力の成果だねって周りも喜んでた。ただ、それを面白くないと思った男子二人組が、翌日に絵画の上から白と黒のアクリル絵の具でぐちゃぐちゃに塗って台無しにさせた。でもそいつらがやったという証拠もないから皆何も言えなかったし、二人はそれをわかってて見事なドヤ顔をして満足そうだった。大体の人がその二人が真面目に部活動もせず、今回も他の人達と圧倒的差を付けて負けた事を知っているのがよほど悔しかったのだろう。逆恨みってやつだね。
次の日のプールの授業、その男子達は足を誰かに引っ張られあがれなくなった。だけど二人以外はもうあがっていて、わざわざ潜って足を引っ張るような人はこの学級にはいない。二人があがれなくてじたばたしていると、はたから見てもわかるくらいに水温が上がっていった。いくら夏場だとしても、湯気が出るほど水温があがるわけがない。さすがに先生たちが助けに行こうとしたけど、既にふれるだけで火傷するような熱湯になってた。男子二人は最後まで泣き叫びながらもがき苦しんでいた。力尽きる直前、あの女子が「私は大丈夫だからもうやめて」と小声で言ったのが聞こえた。そしたらそれに答えるように、水温はぬるま湯程度になって、先生たちの救助がギリギリ間に合った。結局、二人があがれたのは絵の具のような白と黒の姿になった後だった。白い方は重度の火傷でまだすんだが、黒い方は植皮手術とか、一か月以上の治療とか、よくわからないが大変そうだった。
後で聞いたけど、あの絵は水難事故で無くなってしまった幼馴染が、生前好きだった海と、そこで楽しそうに笑う幼馴染を描いた絵だったらしい。幼馴染が一生懸命描いた自分の絵を汚されたから、自分とは真逆の熱い淡水で苦しんでもらおうとしたのかもしれないね。
語り手:フミト
クラスメイトのSっていう奴が主演になるからってチケット貰ってアルとわいわいしながら見に行ったんだ。ちゃんと劇の出演者とついでにアルの分も花買ってった。劇のクオリティは高すぎて一周回って怖かった…。いやこれで終わりじゃないから。
気になったのは、Sの後ろらへんに青髪の子が突っ立ってた事。別にセリフとかはないけど、Sと他の奴が絡む度にそいつの体の一部…手とか足とか、触るんだよ。小声で「綺麗だね」とか、「いいなー」とか言っててさ、Sにも頭に近い位置の髪の毛触ってた。誰も何も言わないし、劇の内容も心の自分と向き合う的なテーマだったから、そういう立ち回りだと思ったんだよね。
劇が終わるとさ、皆集まってお辞儀するだろ?さっきの青髪はやらずにずっと上を見てるんだ。上に何かあんのかって見ても舞台用のシャングリラぐらいで、シャンデリアだ?細かい事は良いんだよ別に。とにかくよくわかんないやつだなーって思ってたら幕も降りきって、S達に花を渡しに行ったんだよ。1人1本渡して、花を入れてた袋が空っぽになったのを確認してアルと帰ったんだ。
その日の夜にSから電話がきて、こんな深夜に何事かと思って出てみた。出演者全員、シャングリラが落ちる事故で怪我したって。シャングリラに当たんなかった奴も、そのはずみで崩れ落ちた柱やらなんやらで全滅。この時点でも怖いんだけどさ、何が1番やばいって、怪我した箇所が全部青髪が触った所なんだよ。手を骨折したり、足がつぶれたり、幸いにもSは頭に近い髪の毛に当たって、軽く切っただけで済んだんだと。んで最後に思い出したかのように「花ありがとうね。皆荷物は別の場所にあったから、ちゃんと飾っとくよ」で切ったのよ。数秒立った後にあれ?なんかおかしくね?と思って出来事を振り返ってみたら…冷汗が止まんなかったわ。