翔太Side
フリーズのループ術を止めるべく、そしてふっかと阿部ちゃんの力を完全に取り戻すべく、俺と涼太は水晶玉を探していた。
涼太の鋭い洞察力のおかげで2つの水晶玉を見つけた俺たちは、2手に分かれて、同時に水晶を壊すことにした。
チラリ、と涼太が俺の方を見た。涼太が標準を定めるところを確認して……今だ。 バンバンッ……!!
戦いの最中、一際大きく鳴ったほぼ同時の2発の銃声。そして、
バリンッ……!!
大きな音がして、二つの水晶が割れた。
水晶からはどす黒い液体が溢れ出し、その間から緑と紫の光が現れて真っ直ぐに阿部ちゃんとふっかのところへ飛んで行った。どうやら、涼太が割った方がフリーズの力の源、俺の方は二人の力の源だったらしい。
💙「二人の力、ここにあったんだ」
「うああああ!!!!」
途端、フリーズが胸を押さえて苦しみだし、攻撃するわけでもなくその場で暴れ始めた。
完全に力を取り戻した阿部ちゃんとふっかは、さっきまでとは比べ物にならないくらいの火力の攻撃を連発する。
💜「……あんたのその技、美味しくいただくね?」
目を紫に光らせたふっかが不適な笑みを浮かべてフリーズに言うと、始めの頃にフリーズが使っていた触手を出してフリーズを縛り上げた。
「なっ……その、術は!」
💜「今だよ〜」
ふっかが言うと、本気の阿部ちゃんが肌が切れるような鋭い風を浴びせ、半兵衛の目黒が槍でフリーズの胸を貫いた。
「グッ……」
わずかな声を漏らし、フリーズの姿は消えていった。
💙「……終わったか」
全てを椅子の後ろから見守っていた俺は、立ち上がってみんなのいる方へ戻った。
……え?何をしてたかって?
……。
戦うのめんどくなって、椅子の裏で休憩してたの。多分、これ涼太にはバレてるな……
🤍「なんか、最後はあっけなかったね」
1人ずつじっくりと回復をしながら、ラウールが言った。
🩷「四人衆の一人とはいえ、俺らの強さには敵わなかったみたいだな!」
既に回復してもらった佐久間が元気よく言うと、疲れ切ってたみんなの顔に笑顔が戻る。
💚「ゆり組とめめのおかげだよ〜!ありがとね!」
天使のような笑顔で阿部ちゃんが言うと、
🖤「いやいや、あべちゃんのおかげだって!」
❤️「阿部がやつらの洗脳に耐えてくれたから、俺たちはこうして勝てたんだよ」
🧡「そんなに謙遜せんといて、阿部ちゃん!」
目黒を筆頭として、みんなが口々に阿部ちゃんのことを褒める。
でもこれは決してお世辞という訳じゃなく、みんな本当に阿部ちゃんに感謝してる。
この戦いで1番辛い目にあったのは、間違いなく阿部ちゃんだ。
当の本人・阿部ちゃんはこんなに褒められると思ってなかったのか、驚きつつも照れ笑いを浮かべる。
💛「じゃ、いろいろ聞きたいこともあるし、早く帰ろうか」
全員が回復を終えた頃を見計らって、そう照が言った。俺たちが並んで塔をあとにしようとした、その時だった。
🩷「ふっか?!」
俺たちの後ろの方にいた佐久間が声をあげて振り向くと、割れた水晶のかけらを手にしたまま倒れているふっかがいた。
💙「おい、ふっか!しっかりしろよ!」
🤍「退いて!俺が診る」
ラウールが俺と佐久間を退けてふっかの隣にしゃがむ。
💚「水晶に何かあったのかな……」
🖤「もしかして、フリーズの怨念?」
💛「いや、呪いっぽいものは特に見えなかったけど……」
簡単にふっかの容態を診たラウールは、不思議そうな表情を浮かべる。
🧡「……どうやった?」
おそるおそる康二が聞くと、ラウールは言った。
🤍「……寝てるみたいなんだけど、ふっかさんの意識がここに無いの」
☃️「……え?」
(続く)
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