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【能力者】栗毛色あるは
【能力名】わたしのR
《タイプ:友好型》
【能力】 自殺衝動を吸い取る能力
【以下、細菌達の記録】
《早朝、あるはの自宅にて》
ピピピピ、ピピピピ…..カチッ。
「ふぁあぁ……..だっる。学校、いきたくねー …….。」
私はそう言ってパジャマ姿で伸びをした。
私の名前は栗毛色あるは。自殺衝動を吸い取る能力『わたしのR』を持つかわいいかわいい高校二年生女子だ ……..。
今朝の私はひどく憂鬱だった。
それは昨日、 私のヒーローシリアスブレイカー様が、 腕と肩を大怪我したのでしばらくTiktok の動画投稿を控えるという旨の動画を投稿したからだ。
なんでも翼の生えたクマと格闘したらしい。
なんだよクマって…….大事件じゃん。
不幸中の幸いでシリアスブレイカー様達が
皆を守り抜いたから死人は出なかったらしい。
それでも私はひどく憂鬱だった。
私にとってシリアスブレイカー様の投稿する動画は 生きがいだった。
辛い、しにたい。
こんな しょうもない理由でしにたがるのも馬鹿馬鹿しいけど本気でしにたかった。
「おはよう、母さん。」
「おはよう、あるは。」
私はリビングの机で味噌汁を飲んでる
お母さんに挨拶をした。
お母さんの左の手首には また新しい傷が出来ていた。
私の能力は 自殺衝動を吸い取ることはできても完全に消すことは出来ない。
私の能力は、どうしようもなく無力だ。
朝の憂鬱なニュースを見ながら私はお母さんと取り留めのない会話をした。
その会話の 中で、私は自殺衝動を吸い取る能力 『わたしのR』を使い、お母さんの自殺衝動を吸った。
私はお母さんにこの能力を教えたことはない。
私の能力を知ったらきっと、お母さんは私と話してくれなくなる気がするから。
「それじゃ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「お母さんもパートのお仕事、頑張ってね。」
「うん。」
私はバッグと昼食用のメロンパンと珈琲牛乳とわずかばかりの自殺衝動を抱えて、学校へと向かった。
その日はやけに憂鬱な気分だった。
街行く人の自殺衝動が、いつもよりはっきりと見えた。
私の前を、三毛猫が通り抜けていった。
私は人間の自殺衝動しか見れない。
猫にもしにたい時ってあるのかな?
そんなとりとめのないことを 考えていた。
私は歩きながらシリアスブレイカー様のことを考えてた。
もしシリアスブレイカー様がクマに襲われて死んでいたらと思うと怖くて怖くてしかたが
なかった。
どうしようもなくシリアスブレイカー様の声が聞きたくなった。
私は歩きながらお母さんのことを考えてた。
お母さんが私に内緒で水商売をしているのを
私は知っていた。
別に後ろめたいことなんかなにもないのに。
仕方がないじゃないか。
お金がないんだから。
お母さんが父親の自殺を止められなかったことをずっと悔やんでいるのを私は知っていた。
どうして私の能力は自殺衝動を完全に消すことは出来ないんだろう?
私は少し疲れてしまって公園のベンチに
座って休んだ。
餌を貰えると勘違いした鳩達が私の足元に群がってきた。
「シリアーーーーッス!!!!シリアスシリアスッ!!!シリアスブレイカー参ッ上!!!!おはようッ
あるは!!!!……どうしたんだあるはッ!!?そんなシリアスな顔をして!!?」
私を見つけたシリアスブレイカー様が
《ブリキノダンス》で鋼の身体になりながら
私の元へとやって来た。
足元の鳩達は びっくりしながら散り散りに飛んで行った。
私はシリアスブレイカー様を見た。
シリアスブレイカーブレイカー様の腕と肩は
包帯でぐるぐる巻きにされていた。
「シリアスッ……ブレイカァ…..さまぁ….!!」
「どうしたんだあるはッ!!なぜ泣くんだ!!?
おなかが痛いのか!!?」
私は自分がなんで泣いているのか自分でも
分からなかった。
シリアスブレイカー様の声を聴いて安心したのかもしれない。
シリアスブレイカー様の怪我が思ったより
ひどくてこわくなったのかもしれない。
わけもわからず泣きじゃくる私を見て、シリアスブレイカー様はオロオロした。
「……待ってろあるはッ!!!私が今からとっておきのモノマネを披露してやるからなッ!!!!
いっ、イクゾッ!!!田舎によくいるハトの
鳴き真似ッ!!!!!」
それからシリアスブレイカー様は私が 泣き止むまで必死に謎のモノマネを披露し続けた。
結局、私達は朝のホームルームに5分程
遅刻してしまった。
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)