《レンクンハ、オレニコクハクシテクレタ》
蓮くんは、事故に遭う直前、
ラウールに想いを伝えていた
ラウールは、自分の本当の想いを伝えるか迷った
だから、返事はまた後で、という形で別れた
ラウールは、蓮くんに想いを伝えられないままだった
ラウールは、後悔した
あの時、自分が返事をして、沢山話をしていたら
……蓮くんは、事故に遭わなかったんじゃないか
ずっと、
……一緒に居れたんじゃないか
ラウールの表情は、いつの間にか深い、悲しみと後悔に満ちていた
俺らに流れる音は、静かで、風で木の葉が揺れる音すら聞こえるぐらいだった
俺は、目に神経を集中させていた
《リョウタ、コレダケツタエタイ》
なんだろうと思ってラウールの顔を見る
ラウールの顔は、息を呑むほど、綺麗で、儚くて、今にも消えてしまいそうな、
そんな顔だった
「好きだよ」
ラウールの唇が動き、言葉を発する
《ウマクイエタ?》
俺は、呆然としていた
ラウールと過ごしたのは、少しの間だけだけど、
俺の、ラウールに対する想いは、
最初から決まっていたんだ
「俺も、好き」
そんなこと言っても、ラウールの耳には届かない
届くはずがないのに……
「両思いだね」
綺麗な笑顔で、
返された言葉は衝撃的だった
《レンクンハ、オレニ》
「っあ〜ごめんなさい」
ラウールが手話を忘れた
しょうがない
手話って難しいもんな
カットがかかり、手話を確認する
なんか、結局俺あんま手話やってない
再びアクションがかかる
『好きだよ』
と、告白されるところまで来た
《ウマクイエタ?》
『俺も、好き』
目を見て、しっかりという
届くことがないということを頭に言い聞かせる
ここからが問題だった
ラウールが両思いだねって言ってえ?ってなる場面なのにラウールは何も言わない
というか不思議そうにしている
カットがかかる
「お前、まだセリフあるよ?」
「え!うそ!!」
自分のセリフを忘れたんだって
どうしたラウール
コメント
2件
え?ラウール聞こえてる? それか、聞こえるようになった、? は?笑