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寿司ったらん
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学生設定で···いつか長編書きたいのだけど最近短編ばかりです。
夏の夜、俺はりょうちゃんの家に行き夜の散歩に誘い出した。
「りょうーちゃーん、あーそーぼー」
「静かに、何時だと思ってるの」
「まだ8時だよ、もう寝てたの?」
「あのねぇ、年寄り扱いしないでよ、1歳しか変わらないのに」
その1歳が大きく感じるのは俺だけ?
いつだって一足先を行くりょうちゃんをこんなにも追いかけている。
「で、なんで学校のプール?」
「こっそりさ、忍び込んで2人きりて入りたかったから」
「ちょっと、えぇ···見つかったらどうするの」
夜のプールは昨日の授業でも入ったはずなのに静かで暗くて昼間とは全く違う。
ふと授業中外を見た俺は同級生とプールにはしゃぐりょうちゃんを見つけてその姿をじっと見ていた。
俺とは全然違う、細い胸板や白い肌を。
「ほら、こっちから簡単にはいれるよ。大丈夫、バレないって」
「ほんとだ···少し怖いね、とっても静かだ···」
ゆっくりと水面に近づいて俺は荷物をプールサイドに置くとサンダルを脱いで足を水に付ける。
「ひんやりして気持ちいい···ほら、りょうちゃんも」
俺とおんなじようにして水に付けた足も、俺より細くてすらっと長くて綺麗だった。
「本当だ···きもちいい。夏って感じ···ふふっ」
俺の顔を少し見つめてからりょうちゃんはふっと吹き出した。
気温は高くて周りの草からは夏の匂いがする。けど水は冷たくてたまに強く吹く風が汗ばむ肌に心地良い。
「なに、なんで笑ったの?」
「ごめんごめん、なんか元貴らしいなって···ザブンと入っちゃったらどうしよう、なんて考えてたから。若井とかだったらやりそうじゃない?わーっと脱いで後のことなんか考えないでケラケラ笑ってそうだなって 」
その光景を想像したのかまたりょうちゃんふふっと笑って口元を押さえた。
···若井。
俺の同級生で、幼なじみで、りょうちゃんともそうで···友達で、ライバル。競ってりょうちゃんのことを追いかけてる···りょうちゃんは気づいてないけど。
あいつに黙って夜のデートのつもりでりょうちゃんを誘ったのに急に好きな人の口からでた名前に心がざわついた。
「あいつの名前なんか聞きたくない、りょうちゃんは若井に誘われたかった?」
「そういう意味じゃないよ···ってわぁっ!!?」
ぐいっとりょうちゃんの手を握ると水の中に飛び込む。
ザブン!と大きな水音が響いて俺たちは服を着たままプールに入っていた。
「ぷはっ、ちょっ、元貴!」
「静かに、バレるよ」
足はちゃんとついてハッとしたりょうちゃんは口を押さえてから俺を見つめた。
ぽたぽたと前髪から頬、首筋に水が伝う。肌にぴったりとくっついた白いTシャツは昼間見た裸よりももっと色気があって思わず手を伸ばしてその顔をみたいと前髪をかきあげる。
「も、とき···?」
「なんもわかってない、今、俺がどんな気持ちかなんて」
「···ごめん」
「そんな表向きの言葉なんていらない、もっと考えてよ···俺のこと···」
なんで、とか。
何を思っているんだろう、とか。
俺のことちょっとは意識してくれるかなとか。
俺がりょうちゃんのことを思う100分の1でもいいから。
俺のこと考えて。
少し背伸びしてそっと唇を寄せたそのおでこはひんやりとしていた。
「···え、と」
「帰ろうか、りょうちゃん」
プールから出てりょうちゃんを引っ張りあげて、2人でTシャツを脱いで水を絞った。
「ごめん、凄い濡れちゃって。怒られるかなー、帰ってる間に少しは乾くか」
「···なんなら乾くまで一緒にいようか。よくわからないけど···僕は元貴のこと大切に思ってるよ」
そう言って俺の手を優しく引っ張るりょうちゃんはやっぱり俺より大人な気がした。
「そんなこと言うならずっと乾かないでほしい、なんてね!···りょうちゃん、今日のことは2人だけの秘密にしててよ」
「···うん、秘密」
月明かりに照らされて夏の気配と一緒に俺たちは家に帰った。
冷えた手にりょうちゃんの対応が熱くて心地良い、そんな夏の夜だった。
コメント
6件
💙君の事を意識しながら💛ちゃんの事を思う❤️君が切なすぎました✨ これから2人の秘密が増えていくんですかね🥰❤️💛 素敵な短編をありがとうございました💕
必死な♥くん、疎い💛ちゃん。やっぱりもりょきは最高だ🫶

寝てたから反応が遅れたけど、新作だっ✨好き💞特に年の差が一つでもそれすら悔しいと思う大森さんが切ない。報われて欲しいなぁ