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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

38 - 第二章 恋の分岐は、ありやなしや? EP.3「ようやく気づけた、彼の本当の素顔」①

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2025年01月07日

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うなだれる私を見かねてか、


「少し庭の方へ出てみないか」


と、彼が促す。


「でも、パーティーの主役であるあなたが、ここを離れるのは……」


気持ちの整理がなかなかつけられずに、力なくまた首を横に振る。


「私の心配はいい、あらかじめスタッフには伝えておくから。先ほどのステージで、私も少し身体が熱くなっているので、外で冷ましたいんだが、付き合ってもらえるだろうか?」


こちらを優しく気づかうような紳士的な誘いかけにほだされ、「はい」と首を縦に頷くと、落ち込みかけていた気持ちが、にわかに快方に向かうのを感じて、彼の言動ひとつでこんなにも翻弄されていることに、自分自身でも少なからず驚いていた……。


ホールの外庭に出ると、「すまなかったな」と、彼が口にした。


「何を謝られて……」


確かに落ち込んではいたけれど、私が勝手にそう感じていただけでもあった。


「君を、不安にさせただろう。今も、そして初顔合わせでも……。あれからずっと考えていたんだ、どうしたら挽回ができるだろうかと。だが、二度目のせっかくの偶然にも、私は失態を取り戻すことができずに……」


「失態だなんて……」彼もずっと気にしていたんだと思う。


「だから今日こそはと、気を張っていたんだが……」


自分と全く同じように彼の方も考えていたことを、思いがけなくも感じる。


「すまない、私が至らないばかりに」


「そんなに、謝られないでください」


「そうか、すまないな」


再びそう口にする彼に、クスッと笑いがこぼれる。


すると、「ああ、私はまた……」と、彼も吊られるように笑みを浮かべた。


空気がふっと和むのを感じて、「……だけど、さっきも少し話したのですが、あなたが会う度に素っ気なく感じられたのは、たぶん私を好きではないからなんだろうと思っていて」──ずっとはっきりとは言い出せないでいたことを、彼へ明かした。

若き覇王に、甘くときめく恋を

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