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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第85話 - 第85話 【暴かれたアキレス腱】大槻の暴力と父の隠蔽!己の存在を根底から砕かれる残酷な真実
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2,340文字
2026年06月07日
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#青春
十色
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京太郎@ドラマ部門1位獲得
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「俺の奨学金入学の裏側?何だよ?言ってみろよ!」
俺のその虚勢に満ちた挑発。
それを久条亜里沙は、まるで愚かな子供の駄々を諭すかのように、ただ完璧な笑みで受け止めた。
「ええ、教えてあげるわ。あなたが、その奨学生という席に座れている理由。その全てを」
彼女は、静かに語り始めた。
それは、まるで出来の悪い悲劇の脚本を、淡々と読み上げるかのように。
「物語の始まりは、今から七年前。あなたが、まだ何も知らない、無垢な子供だった頃」
「舞台は、洛北祥雲学園高等部バスケットボール部の夏季合宿。主役は、大槻理人と当時、準レギュラーだった、三上卓哉という一人の男子生徒」
久条の言葉は淀みない。彼女の頭の中には、どこかから集めた完璧な調査報告書が広がっているのだろう。
「バスケ部員の彼は、少しだけ正義感が強すぎた。合宿初日、彼は、ヘッドコーチである大槻理人の、非科学的な根性論だけの練習メニューに、異議を唱えてしまったの」
「『休憩も水分補給もなしでは危険です』と。正しい意見だわ。けれど大槻という絶対的権力者の前では、正しすぎる意見は、時に反逆と見なされる」
俺は、肩をすくめて短く返す。
「ふーん。それで?」
「ええ。大槻の逆鱗に触れた三上さんは、その日から『特別強化』という名の公開処刑の生贄となった」
「休憩なし、水分補給なしでの、連続二時間の1on1。疲労困憊の彼に、大槻は『入るまで終わらせない100本シュート』を命じ、そして次は大槻が自らディフェンス役を買って出た」
「体当たり、肘打ち、罵声。そして転倒した彼の肩や脚を踏みつける。それは、もはや指導ではなく、ただの暴行よ」
ミラー:「これは、もはや指導じゃない。ただのリンチだな」
奏:「ああ。めちゃくちゃだ。あいつらしいよ」
俺は、黙って彼女の言葉の続きを待った。
「そして悲劇は訪れた」
「疲労困憊、意識朦朧とした三上さんは、大槻の容赦ない体当たりにより、激しく転倒してしまった。頭と膝を強打。診断結果は、脳震盪と、左膝半月板損傷。視覚と平衡感覚に後遺症が残り、彼の選手生命は、その日、完全に絶たれたわ」
「ひどい話だな」
俺は、他人事のように言った。
「ええ。本当に。もっとも物語は、ここからが本番よ」
久条の瞳が、初めて俺を射抜くように、鋭く光った。
「このまま大病院に運べば、事件が公になる。警察沙汰になる。それを恐れたバスケ部トレーナーと大槻が、何をしたか、分かるかしら?」
「彼らは、応急処置という名目で、三上さんを近隣の、ある小さな個人医院に運び込んだの。事故現場から地理的に近く、それから何より外部の目がない、完全に情報をコントロールできる場所へ」
俺の心臓が、大きく跳ねた。
だが俺はその動揺を、完璧に隠し通した。
「それでどうなった?」
「その個人医院の院長は、優秀な整形外科医だった。彼は、運び込まれた生徒の怪我が、ただの事故ではないことに、すぐに気づいたはずよ。けれど、彼は、学園からの強い『要請』を受け入れた」
「彼は、カルテに真実とは違う言葉を書き込んだ。『暴行』ではなく、『練習中の不慮の事故』とね」
「そして、その偽りの診断記録と共に、三上くんを大病院へと転院させた。その後の治療やリハビリも、全て彼が、特例として担当したわ。なぜなら彼こそが、この事件の唯一の『真実』を知る、共犯者だったから」
俺は視線を少し逸らして、何でもないふうに返す。
「続けろよ」
久条は、そこで一度、言葉を切った。
そして俺の魂に、最後のとどめを刺すように、その悪魔の脚本の最後の役者の名を告げた。
「ここまで言えばわかるわよね?」
「その優秀で、それから話の分かる整形外科医。彼の名前は――」
「――音無智明。あなたのお父様よ」
「やっぱり、もうやめてくれ」
「そして、その見返りとして、あなたのお父様が、学園から受け取ったもの。それが、出来のいい息子、音無奏くんの、この洛北祥雲学園への『奨学金付きの入学許可』というわけ」
「あなたの今の立場、あなたの誇り、あなたの全て。それはあなたのお父様が、一人の少年の不幸、その真実を隠蔽したことへの、報酬なのよ」
「三上さんや家族は、なぜ事件を黙っているんだ?」
「三上さんは、その学年で唯一の奨学金スポーツ特待生だった。だから家は決して裕福じゃなかったわ。そして彼と家族は悟ってしまったの。真実を叫べば、彼の未来も、家族の暮らしも、権力者に一瞬でつぶされるって。学園は、口外しないことを条件に、示談金と彼の将来の生活費を約束した。大学の学費、治療費全てよ。彼は、正義を貫くことと、家族の将来を守ること、その二つを天秤にかけさせられそして後者を選ばざるを得なかった。だから、彼は何も言わなかった。ただ、選手生命を奪われたまま、静かに学園を去ったの」
「じゃあ、当時の部員たちは、何も言わなかったのか?」
「言えるはずがないわ。大槻に逆らうことなんて、誰一人できなかった。それにバスケ部はインターハイやウィンターカップに出場できる戦力があった。自分たちの夢を自ら潰すような真似、できるわけがない」
「だから、全員が見て見ぬふりをした。その沈黙が、三上さんをより深い孤独に追い込んだのよ。」
彼女は、静かに立ち上がった。
そして凍りついたまま動かない俺の、その頭上から、慈悲深い声で、最後の審判を下した。
「さあ、脚本家さん。これで、あなたは私の命令を断れない理由が、よく分かったかしら?」
「私はあなたのアキレス腱をいつでも、世間に拡散することができる」
「もう一度、命令するわ。明日のディベートのテーマを、分析して、私に教えなさい」
俺は何も答えられなかった。
ただ俺自身の存在が、この世界のあまりにも醜い「罪」の上に成り立っていたという事実の重さに打ちひしがれていた。
コメント
1件
いや……マジでえぐいわ、この展開。奏が今まで背負ってきた「誇り」とか「努力で掴んだ場所」って感覚が、父親の隠蔽工作の“報酬”だったって叩き割られる描写、読んでてこっちの心臓までギュッてなった。久条の冷静な語り口が逆に残酷さを増してて、ラストの「どうする、脚本家さん?」の問いかけ、めっちゃ重い。ここから奏がどう這い上がるのか、次話が待ちきれん🔥