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第86話、めっちゃ痺れた…!久条の完璧な笑顔が崩れるシーン、ゾクゾクしたよ。奏が逆に天宮くんを盾にして、彼女の矛盾を突くところが本当に鮮やかで。しかも「壊すより味方につける」って、冷酷でありつつも奥深い選択だよね。女王が「ありがとう」って呟いた最後、切なくて何度も読み返した。京太郎さんの心理描写、毎回すごく丁寧で引き込まれる…。続き、静かに待ってるね🌙
#主人公最強
ウサギ様
431
麗太
513
5,470
俺の心臓は、静まり返っていた。
絶望は、一周して、冷たい「覚悟」へと変わっていた。
久条が突きつけてきた、この醜い「真実」。
しかしそれは、俺を縛る「鎖」であると同時に、彼女自身を破滅させる「爆弾」でもあることに、俺だけが気づいていた。
【Target: 久条 亜里沙】
【心理状態:スキャン中】
【感情パターン:自信(85%)、支配欲(90%)、優越感(70%)】
【精神状態:極めて安定的。脅威対象(音無奏)を完全に支配下におけると確信】
ミラー:「どうする?脚本家。女王様は、お前の魂に最強の鎖をかけたぞ」
奏:「ああ。だがその鎖は、奴自身の首にも繋がっている」
ミラー:「どういうことだ?」
奏:「まあ待てよ。その前に思い出せ。ミラー。学園祭のあの夜、父さんをスキャンして知ってしまった『真実』あれと全く同じ情報だった。俺は今さら驚かないよ。対策は考えてある」
ミラー:「なるほど。それにしても女王の情報収集能力は半端ないな」
奏:「ああ。でもさっき言っただろ。その鎖は、奴自身の首にも繋がっているんだ」
俺は、ゆっくりと顔を上げた。
そして目の前の女王を、初めて哀れむような目で見つめた。
「それで?その『真実』とやらで、俺を脅すつもりか?」
俺のその、あまりにも不遜な態度に久条の眉がピクリと動く。
「そのとおりよ」
「勝手にしろ。やれるもんなら、やってみろ」
俺は静かに、そして冷たく彼女の脅迫を切り捨てた。
「いいか、久条さん。あんたがその情報を公にしたら、どうなる?あんたのその賢い頭脳で、よく考えてみろ。潰れるのは俺だけなのか?」
俺は一歩、彼女へと近づく。
「俺と同時に、バスケ部も終わる。大槻の暴行事件、それからバスケ部及び学園ぐるみの隠蔽。来週からのウィンターカップの出場資格は、間違いなく剥奪。最悪の場合、廃部だ」
久条の表情が、僅かに強張るのを、俺は見逃さなかった。
「そして7年前の不祥事とは言え、現在の部員たちには無関係とは言え、今のバスケ部のキャプテンでエースは、誰だ?」
俺は、彼女の心の、最も柔らかな場所を、容赦なく抉る。
「そう――天宮蓮司だ。彼の輝かしい経歴にも、確実にマイナスの影響があるだろうな」
「あんたに、それができるのか?天宮蓮司を、誰よりも輝かせたいと願っている、そしてその隣で自分も輝き続けたい。そんなあんた自身の、その手で」
俺のその問い。
それが彼女の最後の砦を、完全に破壊した。
「俺からもう一度聞く。あんたは俺と同時に、天宮くんも潰すのか?」
久条の、完璧な笑顔が、初めて、音を立てて崩れ落ちた。
その瞳に浮かぶのは、怒りではない。自らの放った刃が、自分自身に突き刺さったことを悟った、絶望的なまでの「矛盾」だった。
「っ」
彼女は、何も言い返せない。
俺が正しい。女王自身が、それを誰よりも理解しているのだから。
「したがって俺があなたに従う理由は、一切ない!!!諦めろ。このまま美崎に負けてしまえ」
俺は、冷たく突き放した。
彼女の肩が、僅かに震える。
女王が、ただの無力な少女へと変わる、その瞬間を俺は観測していた。
【Target: 久条 亜里沙】
【心理状態:再スキャン中CRITICAL】
【感情パターン:混乱(95%)、屈辱(90%)、絶望(85%)】
【精神状態:論理破綻。自己矛盾により、思考回路がフリーズ状態】
【脅威評価(対音無奏):『石ころ』から『理解不能な怪物』に更新】
ミラー:「どうする?このまま突き放すか?」
奏:「いやこのままじゃ面白くない。壊すより味方につけるほうがいい」
ミラー:「悪魔の慈悲ってやつか」
奏:「まあな。そろそろ切り出してみるか」
そして俺は、彼女に悪魔の救いの手を差し伸べた。
「まあ、それでも協力してやるよ」
久条が、信じられない、という顔で、俺を見る。
「あなたって、本当に全然、理解できない人ね」
「今回は、俺からの貸しってことにしてやる。中間試験問題について教えてやる。あれは俺の特殊なアルゴリズムによって、過去の出題傾向から、テーマを分析しただけの、ただの『予測』だ。超能力でも何でもない。今回も似たようなものだ」
俺は、斎藤に使ったのと同じ「建前」を、彼女に与えた。
「わかったわ。協力してくれるなら、何でも構わない」
「少し待っていろ。明日の出題テーマを予測してきてやる」
俺は、そう言うと、彼女に背を向けた。
数秒の沈黙の後。
俺の背中に今まで、聞いたことがないほど小さく、そして弱い声が突き刺さった。
「ありがとう」
俺は振り返らなかった。
ただ心の中で、静かに勝利を宣言した。
女王は今、この瞬間、完全に俺の脚本の駒となったのだ。