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どうしてこうなったか。今から順を追って説明しよう。
遡ること数時間前。
私とるぅ💛さんは気まずいまま、終電の一個前の電車に乗っていた。
実はこの日、午前午後とるぅ💛さんの予定が急に入ったので、夜に集まっていたのだ。
電車は、私の最寄りもるぅ💛さんの最寄りも乗り換え無しで行けるものだった。
すると、同じ車両で痴漢トラブルかなんかがあったらしくて、近くに居た私達は降りなくてはならなかった。
まあ終電じゃないから帰れるだろうと思っていると、次来た終電はまさかの私の駅まで行かないやつだった。
今日に限って、お金をギリギリまでしか持ってきてなかったため、タクシーも使えない。
なら遠いけど歩いて帰ると言ったら、
「バカなんですか!?」
と怒られた。
幸か不幸かるぅ💛さんの駅はギリギリ留まるため、私はるぅ💛さんの家に泊まることになったのだ。
「先にお風呂ありがとうございました……。シャツまで貸してもらって…」
「いえ大丈夫です。」
そう。今私はるぅ💛さんに服を貸して貰っている。やっぱり大人の男の人っていう感じで、私には大きい。
「これって彼シャツみたいですね。」
るぅ💛さんがいたずらっぽく笑顔で言う。
言わないように、というか考えないようにしていたのに!
それが顔に出ていたのか、るぅ💛さんはやれやれ顔で、
「『付き合いたいと思わさせる』って言ったじゃないですか。こうでもしないといつまで経ってもさくさん振り向いてくれそうにないんで。」
あの時から、るぅ💛さんは「白川さん」ではなく「さくさん」呼びになった。
そう呼ばれるたびに赤くなっているのをるぅ💛さんはもちろん理解しているので、凄くからかわれている。
「まあ……、でも、るぅ💛さんのなら悪い気はしませんけど………。」
するとるぅ💛さんが顔を背けて何かを呟いた。……首が赤くなっている?のか?よくわからない。
「では寝ますか。」
その言葉を聞いてドキッとする。
いくら優しいるぅ💛さんでも、いくら私に魅力がなくても、男女二人で一晩過ごすのは少し不安がある。
するとるぅ💛さんが、
「大丈夫です。何一つ、さくさんには触れないので。」
「……るぅ💛さんは、私のことが好きで付き合いたいんですよね。」
自分で言ってて恥ずかしくなるけど、聞きたかったことを聞いてみる。
「なんで、私に触れないんですか?手を繋ぐとか、ハグする、とか、、、、キスとかしたくないんですか。我慢できるもんなんですか。」
るぅ💛さんは、一回ハグをした以外、ほとんど私に触れていない。好きな人なら、触れたいものではないのだろうかとそれが不思議に感じた。
「したいですよ?すんごい我慢してますよ?今だって必死に理性を保っていますけど?」
なんか予想に反した答えが出てきた。真顔で。
「だって、僕の欲望のままにしたら、さくさんは嫌でしょ。だから、ちゃんと付き合ってからそういうのはしたいんです。…………してもいいんなら全然しますけど。」
「………だめ。」
少しの間があって、私は拒否る。
この「少しの間」はなんなのだろうか。自分もしたいと思っているからなのか。
駄目に決まってるのに。
「わかってますよ。もう寝ましょう。僕はソファーで寝るのでさくさんはベッドで寝てください。拒否権はないです。」
そんなこんなで私達は眠りについた。
ちなみに私はこんな状況でも、いつもどおり2分で寝れた。
眠れない。原因はわかっている。
好きな人が僕の家で、しかも普段使っている僕のベッドで寝ているのだ。
数メートル離れたところで彼女の寝息が聞こえる。
さっきまで不安そうにしていたのは嘘だったのかってくらい、すぐに寝ていた。
数時間前、僕は彼女に告白した。
さくさんはわかりやすいので多分僕の事が好き。ここまでは当たってたのに、断られるとこまでは想像できていなかった。
よく考えればそうなのだ。さくさんは明るくおおらかなとこがあるが、真面目なとこも結構ある。
断わられて理由を説明されたとき、顔には出さなかったが、僕はとても悔しかったし辛かった。
これが失恋かどうかはわからないけど、とにかく悲しかったのだ。
10歳も年下の子と付き合うなんて傍から見たら馬鹿らしいかもしれない。
けど、好きになってしまったのだ。
まだ可能性が全然あるなら、いや全く無くても、僕は諦めない。
そんなことを考えているとさくさんがなにやらフラフラしてこっちに来ていることに気づく。
「どうしたんですか?」
と聞いても返事は来ない。
よく見ると、しっかり目が空いてないようで寝ぼけているようだ。
そして、ソファーで再び寝始めたかと思えば僕に抱きついてきた。
………………抱きついてきた?
「…………え?」
落ち着いて今の状況を整理すると、途端に心臓がうるさく、体全体が熱くなってきた。
そして当の本人は全く起きる気配がなく、結構腕をしっかりと僕の体に巻きつけている。
さっき、手を出さない、と誓ったばっかなのに……いやこれは向こうからだからセーフ?
いやどっちにしても、この状況はまずい。
僕の理性が切れそうになる。
というか、さっきの彼シャツの話していた時も、サラッと可愛いことを言って来たり、他にも今まで不意打ちでどんなにさくさんに攻撃をされたかわからない。
そんなことも気にせず、さくさんは気持ちよさそうに寝ている。
「あったか〜い………いいにお〜い…………。」
なんていう寝言まで言っている。
僕の中の理性がほんのちょっとだけ切れた瞬間だった。
(………少し、だけ…)
僕と彼女の唇と額が少しだけ触れ合った。
「…………さくさんが悪いんですからね。」