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プロローグ
「閻魔様、閻魔様。起きてください」
閻魔大王の寝室に、側近の部下が入り込んできた。
「何事だ、騒々しい」
「脱走です」
「何?兵はどうした」
閻魔大王は起き上がって立ち上がると、部下の何倍もある長身から見下ろした。
「そ、それが。ほんの少し油断した隙に、申し訳ありません」
「何をやっているんだ」
見上げた部下は、閻魔大王の気迫に恐縮して震えた。
「それとですね」
「何だ。まだあるのか」
「は、はい。実は、鏡が盗まれまして」
「……そうか」
閻魔大王は呆れて、怒る気も失せていた。
「手引きをした者がいるかも知れないな。で、そいつらはもう、降りたのか?」
「はい。すでに身を隠したものと思われます」
「仕方ない。討伐対を組織して、直ちに出動するように。結界を張るのを忘れるな」
「はい」
「いや、ちょっと待て」
閻魔大王は、敬礼して出て行こうとする部下を呼び止めた。
「は?」
「良いことを考えた。今回は、ちょっと人間にやってもらおう」
「はあ?」
「人間にも、たまには罪人を作った尻ぬぐいをしてもらわないとな。彼女たちをここへ」
「は、はい」
閻魔大王のちょっとした気まぐれで、選ばれた一部の人間が大変な役目を負うことになった。
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