テラーノベル
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⚠痛いどころじゃない描写があります。
上弦の壱
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次々と湧いてくる鬼を倒しながら、果てしない空間をひた走る。ここのどこかに無惨がいる。何としてでも今夜絶対に倒す。家族や親友を、仲間たちを殺したすべての元凶を。
水の呼吸、花の呼吸、ヒノカミ神楽。習得した技は惜しみなく使う。無惨討伐の為に体力を温存すべきとも考えたが、時々他の隊士たちを庇いながら柊依自身も危険を回避して進むので、そうも言っていられない。湧いてくる鬼は下弦程度の力を持たされているようだ。難なく倒せるが、単純に数が多い。
そうこうしているうちに、蟲柱・胡蝶しのぶの殉職が鴉によって伝えられた。上弦の弐…、姉を殺した鬼と戦ったようだ。親友も、その妹の命も同じ鬼にくれてやることになるとは。でもきっと、しのぶは大人しく殺されるなんてことはないだろう。柊依が勘づいていた“作戦”が、しのぶの今までの努力が実を結ぶことを祈る。彼女の死を悼んで泣くのは今ではない。
しばらくして、水柱・冨岡義勇と竈門炭治郎が上弦の参を討伐したという報せが飛び込んできた。そして、しのぶが身を持って弱らせた上弦の弐を、栗花落カナヲと嘴平伊之助がとどめをさして倒したという報せも。上弦の陸も我妻善逸によって倒されたようだ。
残るは上弦の壱と無惨だ。どこにいるのか?早く見つけなければ。仲間が大勢死ぬ前に。
焦りを必死で抑え、柊依は鬼を倒しながらひたすら走り続けた。
上弦の壱と遭遇した。鋭い光を放つ6つの目に、侍のような姿。瞳に刻まれた“上弦”、“壱”の文字。
怖気が止まらない。身体が戦闘を拒否している。こんなことは初めてだった。でも。
こいつは柊依さんを瀕死に追いやった張本人だ。許せない!許さない!無惨の前に、絶対にこいつを倒さなくちゃ。
しかも僕を自分の子孫だと言う。それも不愉快だ。
全身が熱くなる。一際、頬や額が燃えるように熱を帯びる。刀鍛冶の里で痣が出ていただろう時の感覚だ。
「おちょくってるのかな?仮に末裔だとしても、何百年も経ってたらお前の遺伝子も細胞も、ひとかけらも僕の中には残ってないよ」
技を繰り出す。でも流石は上弦の壱。僕の攻撃を躱しながら、まだ喋り続けるくらいには余裕があるみたいだ。しかも自分の子孫がいたこと、それに出会えたことが余程嬉しかったのか、感慨深そうにしている。それも気色が悪い。
相手も抜刀した。その瞬間、僕はあっけなく左手を斬り落とされてしまった。
速い!相手の動きに全く反応できなかった。
すぐに破れた袖の布で患部を縛る。そしてそのまま次の攻撃を仕掛けるけれど、自らの日輪刀でその辺の柱に串刺しにされてしまった。
「ぐっ…!!」
激しい痛みに、視界が白く弾ける。
少し離れたところから銃で上弦の壱を狙っていた玄弥も、あっという間に胴を両断されてしまった。
これが上弦の壱の実力。全く歯が立たない!
身体を串刺しにした刀を抜こうと必死にもがく。
「無一郎!!」
「…兄さん…!」
同じ空間に兄がやって来た。
「…っ!何てことを!…無一郎、しっかりするんだ!すぐこれ抜いてやるから!」
そう言うや否や、兄さんは僕の身体を柱に縫い留めている日輪刀を抜く為ぐっと力を入れた。
「うっ…!有一郎…痛い…」
「痛いよな…、ごめん!」
思わず漏れ出る声に、兄さんも申し訳なさそうにしながら刀を抜こうとする。
悲鳴嶼さんと不死川さんも駆けつけてくれて敵と戦っている。でもあの2人でさえすぐに傷だらけ血だらけだ。
「ふむ…、無一郎。お前も双子だったか。片割れは有一郎というのか。兄弟で鬼狩りとは…懐かしや…」
「「!?」」
悲鳴嶼さんたちと戦っていた筈の上弦の壱が目の前に来ていた。
「兄さん危ない!!」
「っ!」
瞬く間に刀が振り下ろされる。咄嗟の出来事に、僕を助けようとしていたせいで兄さんの抜刀が遅れた。思わずぎゅっと目を瞑る僕たち。
ギイィィン!!
「む…、お前は……」
上弦の壱の声色に少し揺らぎがあった。
『2人とも大丈夫!?』
「柊依さん!」
そこには振り下ろされた刀を受け、僕たちを庇う柊依さんの姿が。
一旦相手の刀を弾き、改めて構える柊依さん。
「お前はあの時の柱の娘か……。また随分と…纏う空気が変わったな…」
『お久しぶりね。こんなところで再会するなんて。…よくも私の可愛い弟子たちを虐めてくれたわね。絶対に許さないから。覚悟なさい!』
顔は見えないけれど、その声の低さにすごく怒っているのが分かる。いつも穏やかな柊依さんのこんな一面は初めて見た。
柊依さんと上弦の壱が刀を交える。そこに不死川さんや悲鳴嶼さんも加勢する。
3人が息を合わせて戦い、敵の着物を引き裂いた。
「まだだ!頸を斬るまで攻撃を止めるな!!」
悲鳴嶼さんの叫び声が響く。
「その通りだ…。着物を裂かれたくらいでは赤子でも死なぬ…」
!!
何だあの刀は。さっきまでの形から変化して、とんでもない長さと大きさの武器になった。
「無一郎」
兄さんが僕に声を掛ける。
「今のうちだ!痛いだろうけど我慢してな」
「!うん、分かった」
兄さんが再び僕の身体と柱を離すべく刀を抜く。
激しい痛みが全身に走る。
「うぅっ…!」
「ごめん!もう少しだから!」
ドサッ!!
ようやく柱から刀が抜け、僕は崩れ落ちるように地面に倒れた。でもまだ身体に刀が刺さったままだ。
「ごめん、無一郎。大丈夫…じゃないよな」
「だい…じょうぶ……。兄さん、ついでにこのまま刀を抜いて…」
「でも…」
「痛いのは一気に終わらせたい……。それに、時間がない…。敵の気が逸れてるうちに…お願い」
「…分かった!」
兄さんが僕の身体に刺さった日輪刀を抜く。
再び激しい痛みに襲われる。包丁や短刀じゃないから、刀の長さの分だけ痛みに耐える時間が長い。
ガシャン
やっと刀が抜けた。
でも痛みのあまり声も出せずうずくまる。
「無一郎!しっかりしろ!」
「はぁっ…はぁっ……」
どくどくと血が出てくるのが分かる。左手も切断されているし身体には穴が空いているし。僕、このまま失血死するかもしれない。
少し弱気になってしまう。
いや、まだだ!こんなところで大人しく死んでやるもんか!
にゃおーん
「えっ!」
「猫!?」
どこから来たのか、見知らぬ猫が僕たちのほうに寄ってきた。背中に担がれた箱が開き、“止血剤”と書かれた注射器が姿を現した。
「これ、打つの?」
たずねてみると、猫はゆっくりと瞬きをした。
「大丈夫か?こんな都合よく止血剤持ってくるなんて。敵か味方かも分からないのに…」
兄さんは警戒しているみたいだ。
「僕は味方に賭ける。これがもし罠だったらその時は仕方ないよ」
右手で注射器を持ち、左手に針を刺して中の薬剤を体内に注入した。さっきまで刀で串刺しにされていたから、こんな細い針どうってことなかった。
「…どうだ?」
「………。うん、大丈夫みたい。猫、ありがとう」
にゃおーん
僕がお礼を言うと、猫は満足そうに鳴いて、ふっと姿を消してしまった。
止血剤を打ったけれど、念の為にと兄さんが自分の上着を脱いで僕の身体にぎゅっと巻いてくれた。そしてそのまま、みんなが戦うところへと駆けて行ってしまった。僕もすぐにみんなのところへ行きたかったのに、出血のせいで目が回って思うように動けなかった。
離れたところに玄弥が見えた。僕は目が回るのを必死で堪えて彼のほうに近づいていった。
「玄弥…、玄弥、大丈夫?」
「時透さん……」
驚いた。胴体を真っ二つにされているのに生きている。彼が鬼食いをしているせいなのか。
「時透さん、頼みがあるんだ。あそこに落ちてる上弦の壱の髪の毛、取ってきて食わせてもらえねえか?」
「分かった!取ってくるから少し待ってて」
僕はすぐさま床に落ちていた上弦の壱の髪を拾ってきて玄弥に持って行く。それをゆっくりと食べさせた。
上半身と下半身をぐっと押し付けると、みるみるうちに玄弥の身体が繋がった。すごい!
そして、僕たちは敵を倒すために作戦を話し合った。
行冥、実弥、柊依の3人で上弦の壱・黒死牟を相手に戦う。そこに有一郎も加わった。
『有一郎くん!』
「柊依さん、今まで心配掛けてごめんなさい!もう大丈夫だから。俺も戦う!」
『!…そう。分かったわ。頼りにしてる!』
凛々しい顔をするようになった弟子に、柊依も安心したように笑みを浮かべた。
“岩の呼吸・壱ノ型 蛇紋岩・双極”
“風の呼吸・漆ノ型 勁風・天狗風”
“花の呼吸・陸ノ型 渦桃”
“水の呼吸・玖ノ型 水流飛沫・乱”
それぞれが攻撃を仕掛ける。しかし、相手は上弦の壱。それも“呼吸”を使っている。柊依と有一郎はそのすさまじい威力に吹き飛ばされてしまった。
ドサッ!ドサッ!
2人とも同じ場所に飛ばされた。
『有一郎くん、大丈夫?』
「うん、なんとか…」
ゆっくりと身体を起こす。
『…有一郎くん、ヒノカミ神楽、使える?』
「分からない。実戦でやってみたことはないんだ…」
『そっか。私はここから花の呼吸ではなくヒノカミ神楽を使って敵と戦おうと思うの。有一郎くんもできそうだったらやってみて。どれかひとつの型だけでもいいから』
「…うん!」
立ち上がり、2人は再び黒死牟のもとへと向かった。
黒死牟の刀の大きさと長さ、とんでもなく広い間合いに苦戦を強いられる行冥と実弥。2人よりも身体が小さく身軽な有一郎が攻撃の隙間を潜り抜け、自らも技を繰り出す。水の呼吸、そしてヒノカミ神楽を。
「!!…有一郎…なぜお前がその技を…!」
黒死牟が6つの目を大きく見開いた。有一郎も無一郎も、自分が継国家に残してきた子どもの末裔。子孫なのだ。しかし、なぜ有一郎が自分の双子の片割れが使っていた技を使えるのか。黒死牟には理解できなかった。
そこにまた行冥と実弥が攻撃を仕掛ける。そして、柊依もヒノカミ神楽を使い黒死牟を攻撃する。
その瞬間。何百年も前に絶命した双子の弟の姿が柊依と重なった。
「…縁壱…!!」
『?』
黒死牟が身体や表情を強張らせたその一瞬の隙をつき、更に柊依が舞う。斬撃が黒死牟の全身を斬りつけた。
「ぐぅっ…!?」
斬撃を食らった箇所が灼けつくように痛み、思わず顔を歪める黒死牟。
そこに、無一郎が突撃して黒死牟の横腹に刀を突き刺した。そして玄弥の放った銃弾から木の幹が生え、黒死牟の身体を固定した。行冥、実弥、有一郎も一斉に攻撃を仕掛ける。
すさまじい咆哮と共に、黒死牟の身体から無数の刃と斬撃が迸り出た。柊依は飛ばされる瞬間、咄嗟に無一郎を抱えて身を翻した。それがなかったら、無一郎の身体は真っ二つにされていたかもしれない。
行冥や実弥は更に傷を負い、有一郎はかなりの距離を吹き飛ばされ、玄弥は縦に両断されてしまった。 しかし、彼の肉弾がまだ黒死牟の中に残っていた。
最後の力を振り絞り、玄弥は再び血鬼術を使い木の幹で黒死牟の身体を固定。そのおかげで黒死牟は技を出せなくなったようだ。
玄弥以外の5人がまた攻撃を仕掛ける。やっとの思いで黒死牟の頸を斬り落としたが、なんと彼は頭を再生し、おぞましい怪物のような姿へと変化した。
一瞬怯みそうになったが、柊依はぐっと刀を握り直し、またヒノカミ神楽を舞う。斬撃が黒死牟の身体を灼く。
無一郎と有一郎も強く刀を握り締め、赤く染まった刀で黒死牟の身体に力一杯突き刺す。
構えた実弥の刀身に、黒死牟の姿が映った。
そして、柊依が放った攻撃を受けた箇所、無一郎と有一郎が刀を突き刺した箇所から、黒死牟の身体は乾いた粘土のようにぼろぼろと崩れていった。
終わった。ようやく上弦の壱を倒せた。
ヒノカミ神楽を舞い続けた柊依は疲労困憊でその場に倒れてしまった。
気絶してはいけないと心の中で叫ぶが、それも虚しく次第に意識が遠のいていく。
そして、彼女はそこで不思議な体験をすることとなる。
続く
コメント
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もう第24話、読み終えたよ…!😭💕✨ 上弦の壱・黒死牟との戦い、めっちゃ熱くて手に汗握った…!柊依さんが無一郎くんたちを庇うシーン、かっこよすぎて鳥肌止まらなかったよ…🥺💖 ヒノカミ神楽舞う姿、マジでエモすぎる…!そして有一郎くんも戦いに加わって、兄弟での絆が光ってたのが胸熱すぎる…!! 続き、本当に気になる〜!!次も楽しみにしてるね!🔥🌸
Ryryyyyyy
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