その日、イレブンとセーニャが一緒に過ごした丘の上の夕焼けは、二人にとって特別な思い出となり、その後の日々も二人の関係に少しずつ変化をもたらしていた。
翌週、学校が終わると、セーニャはイレブンに向かって照れくさそうに微笑みながら声をかけた。
「イレブンくん、今日の放課後、また一緒に帰れますか?」セーニャは少しだけ不安そうに、でも真剣な表情で尋ねた。
イレブンはその言葉に嬉しさを感じ、優しく頷いた。「もちろんだよ。セーニャちゃんと一緒に帰るのが楽しみだよ。」
二人は放課後、一緒に校門を出た。学校の中ではなかなか表に出せない気持ちも、外に出るとすぐに自然に顔を見合わせて微笑みあうことができた。
道中、二人は色々なことを話しながら歩いていった。セーニャが最近の学校の出来事を楽しそうに話すと、イレブンも彼女の話に耳を傾け、時折笑いながら答えていた。
「そういえば、セーニャちゃん、あの丘の上の景色、また一緒に見たいな。」イレブンがふと思い立ったように言うと、セーニャは少し驚いたように目を大きく開き、その後に優しく微笑んだ。
「ええ、私ももう一度見てみたいです。でも、今日は…少しだけ違う場所でもいいですか?」
イレブンは少し首をかしげて、「違う場所?」と尋ねた。
セーニャは少し恥ずかしそうに、「ええ、実は…お家にちょっとしたお花を飾りたくて。それで、もし良かったら、少し一緒にお花を摘みに行きませんか?」と提案した。
イレブンはその提案をすぐに受け入れ、「それはいいアイデアだね。お花を摘むのは楽しいし、セーニャちゃんが喜んでくれるなら嬉しいな。」と答えた。
二人はお花畑に向かって歩き出した。道端には色とりどりの花が咲いており、セーニャは嬉しそうにその中からお気に入りの花を選び、イレブンにも渡してくれた。
「これ、イレブンくんに…」セーニャは小さな声で言いながら、摘んだ花をそっとイレブンに手渡した。
イレブンはその花を受け取ると、少し照れくさそうに笑った。「ありがとう、セーニャちゃん。君からもらった花、大切にするよ。」
二人はその後、少しの間静かに歩きながら、花を摘み続けた。セーニャが選んだ花々は色とりどりで、どれもとても美しかった。花を摘んだ後、セーニャはイレブンに花束を作って渡した。
「これで、イレブンくんのお部屋も、もっと素敵になるでしょうか?」セーニャは、イレブンが花を受け取った後に笑顔を見せた。
イレブンは花束を大事そうに抱え、そしてセーニャに微笑んだ。「うん、素敵だよ。セーニャちゃんが選んだ花だから、特別に感じる。」と答えた。
その日、二人はお花を摘んだ後、丘の上の景色をもう一度見に行くことにした。夕焼けが徐々に広がり始め、空は再びオレンジ色に染まっていった。
「見て、イレブンくん、また夕焼けが綺麗ですね。」セーニャが言った。
イレブンはセーニャを見つめながら、「本当にきれいだね。セーニャちゃんと一緒にいると、どんな景色ももっと素敵に感じるよ。」と答えた。
セーニャはその言葉に心が温かくなり、少し顔を赤らめながらも、「私もです、イレブンくん。」と静かに答えた。
二人は再び手をつないで、夕焼けを見つめながら静かな時間を過ごした。その時の二人の心は、言葉では表せないほど深く繋がっていた。
次回もお楽しみに。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!