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質実剛健と名高いアルタール王城の中においても、見る者の目を楽しませるために作られた空間はいくつか存在する。
そのうちのひとつが、優雅の園と呼ばれる奥庭だ。歴代の王族のために作られた庭園には、季節ごとに咲き乱れる花々と、それを楽しむための小路と東屋が作られている。
そして今――その東屋に置かれたベンチに座っているのは、一人の年若い青年だった。
短く切られた茶色の巻き毛をがりがりと掻きながら、居心地悪そうに周囲を見回している彼の名は、セルジュ・フォンテーヌ。
アルタール王国でも名門と名高い有力貴族のフォンテーヌ侯爵家、その一員である。
「なんだって俺が、こんな目に……」
セルジュという名の青年が、そんな呟きと共にため息を落とす頃。
「すみません、お待たせいたしました」
庭園の入＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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